【感想】ガラスの仮面 7巻 才能を妬まれ様々な舞台から追われるマヤ。そして始まる新しい舞台『嵐ヶ丘』
あらすじ
栄進座の「おんな河」で、ほんの端役の子守役を演じるマヤだったが、その才能に、マヤを起用した大女優が感じたおそれとは? bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は美内すずえさんです。
登場人物
北島マヤ:演劇をするために様々な劇場を周り『栄進座』という劇場の舞台に立てる事になった。子守り役を演じる
姫川亜弓:『王子とこじき』という劇で1人2役を演じる。
感想
マヤの才能がマヤ自身を苦しめる
はい!というわけで、今回紹介するのは『カラスの仮面』の7巻です。
マヤの演技力が磨かれるにつれて、段々と周りとの違いが明らかになっていくようになります。マヤの力が伸びるのは読者的には良い事ですが、その世界で生きるモブの中では良い事とは限りません。
マヤが輝き過ぎるがゆえに、それに苦しめられる周りの関係者達からの妬みや嫉妬。
という場面が今後もちょいちょい出てくるのですが、結構マヤは前向きというか『嫌だし悲しいけどでも私には演劇しかないから』という感じで立ち直るのであんまり苦労してるような気がしないんですけどね。
苦労してるんだけど。
6巻では栄進座の座長(でいいのかな)の大女優原田さんに使ってもらって舞台に立てるようになったマヤ。さてさてこれからどうなる事やら。
では紹介していきましょう!
舞台度胸
お話は、マヤと亜弓の交互に進んでいきます。
『王子とこじき』の舞台で、見事な1人2役を演じる亜弓。美しい王子役かと思えば、舞台袖に引っ込んだ次の瞬間には汚らしいこじき役に変身。素晴らしい演じ分けで観客を虜にします。
一方、栄進座で子守り役を演じているマヤに、トラブルが発生します。
なんと、マヤに役を奪われた人の嫌がらせにより、子供として使っていた人形の首が取れてしまいます。
一気に静まり返る舞台。
しかし。
俺達は知っています。この北島マヤという子は、自分が所属する劇団の進退がかかった全日本演劇コンクールの舞台で、本来予定になかった1人舞台をほぼアドリブで演じ切ったという、オリハルコンメンタルの持ち主であるという事を。
マヤは、落ちた子供の首を拾い、ニッコリ笑って一言。
この展開に観客は大ウケ。見事なアドリブでピンチを切り抜けました。
平然と舞台を後にし、舞台裏に戻った途端に震えて座り込んでしまうマヤ。舞台の上ではとんでもない度胸ですが、そこから戻れば普通の少女になるのです。
そしてまた場面は変わり、王子とこじきの舞台に。見事な演じ分けを続ける亜弓の様子をTVで見る病室の月影先生。
これまでに無い意外な二面性を見せる新しい亜弓たんにハァハァする月影先生(違う)。一体何を思うのでしょうか。
そしてまた場面は栄進座に。
トラブルにも負けず、見事に子守り役を演じ続けるマヤでしたが、それを見ている原田さんは、もうこの舞台を最後にマヤを使わない事を決めます。
約40年も前から『推し』という表現がある事に震えるわけですが、それはともかく。
「あの子にはね。宿命(さだめ)があるんですよ。そう・・・。舞台あらしという・・・ね」
という事らしいです。
この次のページで、このグラサンの男性が
「舞台あらし・・・。あの子がそんな・・・。舞台あらしとは一体なんです?原田先生・・・。」
というセリフを話すんですが、あの子がそんな・・・。からの実は知りませんでした。という流れがなんかちょっとシュール。よくわからないけど話に乗ってみました。みたいな。知らんけど。
マヤの素質
栄進座での舞台も終わり、少しだけ日常パートへ。4ページほど。
学校でのマヤはあんまり成績も良い方ではなくドジっ子。という事はわかるんですが、あんまり日常パートがありません。ほとんど演技関係の話ばっかりです。
そして話はマヤの学校生活から、病室の月影先生へと移ります。
マヤの栄進座での舞台の様子の報告を聞く月影先生。
栄進座からは次の舞台の打診などは特に無い。という話を聞き、うすら笑いを浮かべる月影先生。
原田さんにとって一番大切なのは栄進座。彼女は本能でマヤの素質をかぎつけ、そしてマヤを恐れたのよ・・・。
と月影先生。果たしてマヤに秘められた素質とは!
一方、そのマヤ本人は、栄進座での出番が無くなってしまったので新しいバイト先を桜小路君に見つけてもらいました。
どうやら大学生の演劇サークルのお手伝いのバイトのようです。
桜小路君は、君が劇団オンディーヌに入りさえすればこんな生活続けなくてすむのに。とマヤを説得しますがあまり上手くいきませんでした。
秋の公園。焼き芋デートをする2人。いい雰囲気です。
でも、この反応はたぶんダメなやつだよ桜小路君。いい人なんだけどなぁ。ホントに。いい人なんだけど。
舞台あらし
今度の場面は横浜。この巻はマヤ本人というより周りが色々進展する話が多いですね。
久しぶりにマヤの母親が登場します。以前と同じ中華料理店で住み込みで働いている様子のマヤの母でしたが、体に異変が起きていました。
咳こんで吐血するマヤの母。どうやら結核の疑いがあるようです。
ゆっくり療養できればいいんですが、そんな金銭的余裕もありません。働かなければ食っていけないのです。
そんな体でありながら、母はマヤの事を想います。
女優になるとか言って飛び出して、手紙1本もよこさないで本当に親不孝な娘だよ・・・。と。
これね。凄い大事な話なんで覚えといてほしいんですけど、母親に手紙が届かないのは月影先生が小包を焼いたりしたから。みたいな過去のエピソードがあるんですよ。
母から届いた手紙や荷物を月影先生は燃やしたんですよ。だから、マヤも母から連絡が無いと思ってるはずなんです。
ここが、凄い大切。今後のこの親子関係のエピソードで一番最初にクズだったのは月影先生。これ試験に出るので覚えといてください。
そして場面は変わり、東洋劇場という場所で開催される『嵐ヶ丘』という舞台の話と、大都芸能ではヘレン・ケラーの『奇跡の人』の話題が。
わかりやすいタイプのフリではありますが、まだ少し先の話になります。
一方。
大学生のサークルの手伝いで幼稚園での舞台の雑用をするマヤ。
ちょっと細かい事情はわからないのですが、たぶん事前準備のためにマヤと他数人が前入りだったみたいなんですが、サークルの演者の人達はどうやら高速の渋滞に捕まって時間に遅れそうだ。という話に。
相手は園児ですから、あまり我慢が出来ません。騒ぎ始めた子供達を楽しませるために、サークルの人達が来るまでの間マヤが1人芝居『白雪姫』を開始します。
様々な役を1人で演じ分けるマヤの演技に子供達はくぎ付けになります。サークルの人達が来るまでの間だけでも、舞台の上で演じてください。と園長先生に頼まれ、舞台上で演じる事になりました。
そして場面は月影先生の病室に。月影先生と、栄進座の原田さんとの会話が始まります。
そこで、栄進座でマヤを使わなくなった理由を原田さんが語ります。
あの子は、こわい子だ。と。
マヤはあまりに人の目を引きつけすぎる。マヤの出る舞台は荒らされてしまう。ほんの端役だったからよかったものの、もしも出番の多い役だったら・・・。
そんな演劇モンスターに栄進座が振り回されるのはごめんだわ。と。
それに対して月影先生は『同じ演劇をやる者にとってあの子は脅威。若いうちは才能を妬まれてあちこちの舞台からはじき出されるはず。でも、いずれ大衆はあの子を望むようになる』と。
そして場面はまた幼稚園に戻ります。
ようやく到着したサークルメンバー。しかし、その時にはすでに舞台上での白雪姫に園児は夢中。メンバーの到着に気付いたマヤが劇を止めようとしますが、園児が白雪姫を望んだのでそのまま続行。
結局マヤの1人芝居は大盛況で終わり、その後改めてサークルメンバーによる劇が開始されました。俺だったらこんな空気でやりたくねぇよ。
しかも、このサークルメンバーの劇は1コマで描写されて終わりなのですが、その場面がもしかしたら白雪姫なのではないか?と思われます。最悪だ。
これ。なんとでも解釈出来る感じですけどね。マヤは関係者なんだから事前に演目を知ってたはずなので、知ったうえで先に白雪姫を演じたのだとしたらちょっとマナー違反感ありますよね。
そして、すっかりマヤに話題をさらわれてしまったサークルメンバーは、マヤをクビにします。才能がありすぎるが故に、はじき出されてしまう。
舞台『嵐ヶ丘』
何をやっても舞台から追い出されてしまう可哀想なマヤの元へ、東洋劇場の企画部を名乗る男から舞台『嵐ヶ丘』への出演の誘いがやってきました。
当然承諾するマヤ。マヤが演じる予定の役は『キャサリン』という女の子の少女時代の役。
どうやら他にも候補がいるようなので、テストを受ける事になりました。
そしてテスト当日。
他の候補者が自分なりのキャサリンを語る中で、なんとマヤは『原作読んでません』とかいう爆弾発言。お前何しに来たんや。
当然テストでキャサリンらしく振舞えるはずもなく、結果は散々。
しかし・・・。
なぜか、テストに合格しました。MAKURAの疑いありですねこれは。
一応選考を通った理由は『キャサリンとしてまったくの白紙なので伸びしろがある』とかなんとか。言いたい事はわからないでもないけども、この日に備えて真面目にやってきた他の人達に対してあまりに不誠実では・・・?
まぁそうなるよね。
微妙な出来レース感のあるテストでしたが、とにかく受かったのだから少女時代のキャサリンの役を作っていくマヤ。
これまでの役作りが冬の小屋に閉じ込められたり片足をロープで縛ったりと、結構壮絶なものだったのに対してこのキャサリンは割りとあっさり目。
なんというか、この辺ちょっと色々スランプだったのかなぁと感じなくもないです。そんな時もあるよね。
それから
ここまでで7巻の3/4くらいです。ここからいよいよ舞台『嵐ヶ丘』が始まっていきます。
『最初からいい人』という桜小路君。そして、ヒースクリフ役を演じる真島君。2人に芽生える恋心にも注目していきたいところです。
個人的に7巻で一番お気に入りのコマです。なんだこの絵は。
あと、これからの展開の話になりますが真島君も好きです。段々とちょっと頭がアレな感じになっていくのがたまりません。悪い意味で役から戻ってこれなくなる。
8巻へ続く。
画像:「ガラスの仮面」コミックス7巻から引用
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