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【感想】ガラスの仮面41巻 幕を下ろした紅天女。伝説は次世代へと続いていく

2024年2月28日

当ブログはその性質上、どうしてもネタバレを含みます。そんなの嫌だ!という方は十分に注意して読んでください。

あらすじ

すべての力を振り絞り、「紅天女」を演じた月影千草。そして新しい「紅天女」はマヤと亜弓に託された。運命の人への愛に気づいたマヤもまた「紅天女」の恋のように、魂の片割れを意識するのだった。

bookwalker作品紹介より

というお話です。作者は美内すずえさんです。

登場人物

北島マヤ:これから紅天女の試演で選ばれるために頑張っていく。恋をかなり自覚している。この巻で戦闘シーンがある。

姫川亜弓:紅天女の試演で勝つために頑張る。この巻でマヤに自分の中にある気持ちをぶつける。そしてガチンコ殴り合いバトルへ。

月影千草:人生最後になる紅天女を演じ終わる。人としてダメな部分も多いけど、とりあえずは一区切り。お疲れ様でした。

感想

月影先生の人生最後の紅天女が終了!次の世代にバトンが渡される。

はい!というわけで今回紹介するのは『ガラスの仮面』の41巻です!

さて。この41巻の感想がここから始まっていくわけですが、その前に。ちょっと発売日の話をしたい。

  • 40巻 1993年9月17日発売
  • 41巻 1998年12月22日発売 5年ぶりの新刊
  • 42巻 2004年12月16日発売 6年ぶりの新刊
  • 43巻 2009年1月26日発売 5年ぶりの新刊

となっています。

40巻から43巻までの間になんと16年が経過していると。とんでもないことですね。

当時の空気が俺にはわからないのでwikiからの引用になるんですが

1982年頃(劇中劇「ふたりの王女」の前後)より、雑誌版から単行本にする際に大幅な改稿を行なうようになった。単行本の巻末にも雑誌掲載原稿を改稿した旨記載されているが、特に単行本38巻以降は、雑誌版原稿を使用せず、全面改稿されている[8]。実際に、1989年以降『花とゆめ』誌に掲載されたストーリーの大部分が単行本に収録されず(いわゆる未刊行部分)、単行本版・『花とゆめ』連載版・短期集中連載及びプラチナ増刊版という、3種類のストーリーが展開されるようになった。例えば、第13章の題名は『花とゆめ』連載版では「生命」であったが、単行本版では「ふたりの阿古夜」となっている。

1995年から翌年まで二年の長期休載を経て、1997年の1997年20号、連載351回をもって『花とゆめ』における連載は事実上終了した。1998年に1989年11号までの内容で構成された41巻が、2004年12月16日に完全書き下ろしで42巻が発売された。

ガラスの仮面wikiより

ということのようです。ここに書いてる『雑誌版と単行本版は話が違う(部分もある)』というのが気になるところですね。結構有名な話というか、気になる方は調べてみてください。俺は雑誌版は読んだ事がないです。

ただ、ここよりも先でも同じような感じみたいなので、軽い気持ちで調べると先のネタバレを踏む事になりますが、そこは自己責任で。

さて。そんなわけで。

『1998年に1989年11号までの内容で構成された41巻が』とあるように、ファン待望の新刊であった。という非常にありがたい巻となっておりますので、噛みしめていきたいですね。

女優月影千草 最後の紅天女

月影先生がついに紅天女の芝居を終え、その命燃え尽きたかと思われましたが見事に復活。

舞台裏では血を吐き、一時は意識不明になるも舞台後の挨拶に挑みます。

その様子は、まるで先程までの瀕死を感じさせない気丈なふるまい。何事も無かったかのように挨拶の場に登場します。

その舞台裏の様子を知っているのは一角獣withつきかげのメンバーだけなのです。

『アンコールにこたえる往年の大女優月影千草を演じている』と麗が語ります。

人としてどうかと思う部分も多々ある人ではありますが、何かしらの業界を一点集中で続けてきた人というのはこういうものなのかもしれません。

そして、そんな月影先生の舞台を見て涙する英介。まぁお前がだいたい悪いんやけどなと思わないでもないですが、そこにいるのが耐えられなくなって姿を消しました。

舞台が終わり、女優月影千草の最後の挨拶が始まりました。

紅天女への想い。さらに、尾崎一漣への想いを語る月影先生。

『恋とは相手の魂を乞うること』これが月影先生が紅天女を通して悟った事でした。

職業や立場、年齢や人種。様々なものを飛び越えて、ただ相手の魂に惹かれる……。磁石が引き合うように。そして、相手と自分の魂を重ねて1つになる。

『奥さまのあったあの方はいつも家庭を大事にされ表面上わたくしの事は女優としてしか愛してはくださいませんでした』と月影先生。

この辺に関してはまぁ、どうなんですかね。一漣側の心理描写が描かれる事がないので一漣の本当の気持ちがどうだったのかは今のところ永遠の謎です。

一漣は妻子が出ていったあともその最後の日の前日まで月影先生と一線を越える事はありませんでした。逆に言えば、月影先生と一線を越えたのちその人生を終えたのです。それが、ただ月影先生への愛だけだったのか?

本当に魂の片割れだとお互いが想うような関係なら、何も死ななくても……。と思わなくもないです。というか、俺なら絶対に死なない。

どうあれ生きてこそだと俺は思います。まして魂の片割れというほど大切な人を置き去りにして生きる事を諦めてしまう想いが、そこまで尊いものだろうか。今生きている俺はそこが疑問だし、そう思うべきです。なぜなら、俺は今も生きているから。

まぁ、その辺は月影先生なりの美学もあると思いますから、外野がどうこう言う事でもないのかもしれません。

そして、挨拶の最後に月影先生は今回の舞台で使った仮面を自ら破壊します。

これにて、古い世代の紅天女はもう終わり。これからは次世代の紅天女をマヤと亜弓で作っていくのです。と締めくくって女優月影千草の最後の舞台は終わりました。

一応『紅天女はもう最後』と言っているだけなのでもしかすると今後また舞台に復帰する事もあるかもしれませんが。

そして、ずっと月影先生のそばで支え続けてきた源造も、一真役としてこの舞台に立てた事を感謝してこの舞台は終わりとなります。

マヤの魂の片割れ

月影先生の紅天女を見た余韻で茫然とするマヤ。

あんな紅天女をあたしが演じる事が出来るんだろうか?そして、魂の片割れ……。そんな人があたしにもいるのだろうか?

そんな事を考えながら、月影先生が着ていた衣装をちょっと着てみて踊るマヤ。その姿を速水が目撃します。

この2人がそうなれば、もちろん一番話が早い……。のですが(渋い顔)

紫のバラのひととして。速水真澄として。あたしはうんと年下でお金持ちでも美人でもないけど、誰よりもあなたが好きです。

そんな想いを込めて、速水に向けて劇中の阿古谷のセリフを喋りだすマヤ。

『捨ててくだされ名前も過去も……。阿古谷だけのものになってくだされ……』

そんなセリフと共に速水に向かって手を差し出すマヤ。

おねがい!応えて速水さん……!

そのセリフに応えるように、マヤに向かって手を差し出す速水。

そして……。

お互いが、お互いの魂の共鳴を感じました。

本当に、この2人が一緒になればそれで全てが丸く収まるのに(マジギレ)

今の出来事は幻か?突然の不思議体験に驚く2人。

そして、そこに紫織お嬢様が登場。なにしに来たんやお前は。

呑気に2人の仲を引き裂く紫織の登場でその場は解散に。

うふふ顔の紫織お嬢様がいい味出してますね。

速水と同様に、マヤもまた先程の不思議体験に震えます。あとちょっと勇気があれば。川の向こうに渡る事が出来ていたなら……。

こうして、様々な人の想いを乗せて、伝説の1日は終わったのでした。

元気になったまほうおばばはメラゾーマを使う

伝説の日から一夜明けて。

前夜の事が忘れられず上の空になっている速水。

恋わずらい

いくら金があっても、権力があっても、イケメンであっても。惚れた女の1人もどうにもできない。人生とはままならないもんですね。

氷の心を持つ男の氷が解けた瞬間です。

電話の受話器を逆さまに持ってみたり、英介にだされて薬を間違えて飲んだり(最悪死ぬかもしれない)など、真澄様らしからぬ様子にとまどう周りの人達。

しかし。

それはそれこれはこれ。周りの人が出払ってから『速水家として』の会話をする真澄と英介。ビジネスの話ですね。

まず、真澄の恋の予感を感じ取る英介。その空気を読む力が自分の現役世代の時にあればと思わないでもないですが、その力があったとしてもこの厄介は千草のストーカーを止める事は無かったでしょう。

そして、紫織お嬢様との結婚が真澄にとっての大事な仕事だというのを忘れるなよとクギを刺されます。お前が言うなよと思います。紅天女の、月影千草の亡霊に一生取りつかれたお前が言うなと。

次の話題は『紅天女どう思った?』という話。

速水英介、真澄と2代続く推しの舞台紅天女についての推し語り。

紅梅の谷でのその舞台は、様々な環境がどれも最高の物だったのでこれ以上の舞台は作れないだろう。それが速水親子共通の見解でした。

旧世代の紅天女はもう超える事の出来ない伝説になってしまった。しかし。これからの、新しい世代の紅天女はまた別の話。

新世代の紅天女はなんとしても大都で獲るのだ!!と英介から指示を受ける真澄。自分の世代に対する厄介だけでは気が済まず、次の世代にも遺恨を持ち込もうとするどうしようもないクズです。

さて。そんな次世代紅天女ですが、当代の紅天女はその候補が2名。

みなさまおなじみの北島マヤと姫川亜弓の両名です。

まずは亜弓の評価。

『あまり気付いている者はおらんようだが』とか前置きしてから亜弓の努力の才能を語るとか、なんかもういかにも『俺は他の人とは見る角度が違うし』という感じのオタクの語り方で許せませんね。

亜弓の努力の才能なんてこれまでこの漫画を読んできた人達は知ってて当然だし、作中でもめちゃくちゃな特訓いっぱいしてきただろ!

そして北島マヤの評価。

ここまで英介の話に対して白目かしんどそうな顔で返事をしてきた真澄ですが、さすが自分の推しに話題が変わった瞬間に最高にいい顔で返事をします。

まぁ色々と英介なりの『北島マヤ評』をベラベラと語ってみせますが、そんなもんお前誰の前で言うてんねん。お前の目の前におるのはあの『紫のバラのひと』様やぞ!!と思うわけですよね。

自分がドヤ顔でベラベラ語っている相手が、まさかその相手をプロデュースしていた天才Pだとは知るよしもない。恥ずかしい奴め。

そして。この厄介オタクはとんでもない事を言い出すのです。

もしもマヤが大都になびかないようなら、北島マヤを潰せ!と。

しかも、躊躇する真澄に対して『良心が痛むか?あの子の母親を死なせた張本人のお前が』のセリフ付きで。

これはもう地雷ですよ特大です。ほぼ核です。この場で胸倉掴まれて顔面バーンといかれても文句言えません。

そもそもが、英介の人生を賭けても推しとの関係は何一つ進んでないわけです。どれだけ偉そうな事を言っても、経営の事はともかく推しとの関係に関してはこいつの言う事は何1つ役に立ちません。

まぁしいていうなら反面教師として。でしょうか。

うるせぇよクソ親父!お前も結局月影千草をどうにも出来てねぇじゃねぇか!!とでも言ってやればいいと思いますが、真澄はそんな事言いません。

今後、真澄はこの厄介オタクや世間とのしがらみでどこまでも沼に堕ちていく事となるのです。

さてその一方。紅天女の里からいよいよ帰る事になる女性陣達の様子です。

一漣への想いを源造に語る月影先生。

俺個人の人生観から言えば言いたい事も無くはないですが、結局のところ月影先生と一漣との間にしかわからない事なので外からやいやい言うのは野暮というものなのかもしれません。

月影先生の事を『千草』と呼んでる間は女優を見ていたのかもしれませんね。最後に『千津』と呼ぶシーンとかあればそこに愛を感じたんですけどね。

そして、亜弓とマヤ。

まだ紅天女のなんたるかを全然掴めていないこんな気持ちで東京に帰っていいものか?と悩む亜弓。

それに対して、速水さんに逢いたいというその気持ちで涙しているマヤ。

この辺に2人の本質の違いというか扱いの違いを感じますね。

そんな迷える2人を連れて、紅梅の谷へのつり橋に向かう月影先生。

そこで。

カイザーフェニックス!!!!!!!

ついに月影先生のメラゾーマが放たれる時がきました。『不死鳥』の名を冠した究極の魔法。まさに月影先生にふさわしい奥義と言えます。老バーン。

斜めになった吹き出しが疾走感を感じさせます。

何をしたのかというと、紅梅の谷に向かう橋にガソリンをぶちまけて火を放ちました。地元住民はこの事を知っているのでしょうか?下手をしなくても逮捕案件です。直せって言うたり燃やしてみたり。最悪かこいつらは。

見開きで大炎上する吊り橋。なんてことだ。自分達の芝居の都合でとんでもない事をしやがった。

完全にバトルファンタジー漫画の修行シーン

という事で、最後の最後にとんでも大暴走をした魔法老女。僕と契約して紅天女になってよ(英べぇ)

紅梅の谷への吊り橋を破壊した事により、もう誰もあの谷に辿り着く事は出来ない。幻となったあの谷を、芸の力と想像力で現実の世界に創り上げるのです。

橋を燃やした理由を熱く語る月影先生。その話の続きは署で聞こうか。

その後は、わかるようなわからないようなスピリチュアルな事を言いながらエンディングのような雰囲気を出して月影先生の話は終了。

これにて『ガラスの仮面クエスト』の1は終了です。本編は今後始まる2なわけですね。長かった。

今後のマヤと亜弓の活躍に期待です。

それから

ここまでで41巻の半分くらいです。

この後は、なんとマヤvs亜弓のバトルシーンもあります。

個人的なガラスの仮面の名シーンを選べと言われたらここでのバトルシーンは候補になります。

これまでお互いなんとなく言わなかった本音を。心の底にある相手に対する嫉妬や憧れの気持ちを、隠す事なくぶつけ合って殴り合うシーン。

才能があり天才なのに、その事に気付かないふりをして自分にずっと敗北感や絶望感を与え続けてきた芝居星人北島マヤに対する本音を。雨の中ぶつける亜弓。

一方、綺麗で才能あってサラブレッドで、誰からも憧れの対象である亜弓がずっと羨ましかったとぶちまけるマヤ。

古びた橋を渡るマヤを見殺しにしようとした。そんな事まで告白し、いよいよ2人の気持ちは限界に。

ちなみに、ここでかなりの数のお互いへの悪口というか思いをぶつけあうんですが、マヤはそもそもが芝居の才能はともかく人生全般において『持たざる者』なので、言われる悪口の量が少ないんですよね。

芝居以外に何も持ってないので、そこしか言うとこがない。

一方の亜弓は、芝居以外にも色々な物を持っている分その悪口へのバリエーションも豊富で、客観的に見て明らかに圧倒的に亜弓の方が可哀想です。

マヤはそんなに悪い事言わないんですが、亜弓自身による自虐のレパートリーといいますか、そういうのが豊富です。『とりまきはいても仲間なんかいない』とは亜弓本人の談ですが、まぁそれはそう。という感じですよね。

こうして。

お互いが本音をぶつけあい殴り合う事で『本当の自分』を相手が知る事になりました。マヤは知らないかもしれないけど、今マヤが戦った目の前のお嬢様は昔路地裏でチンピラ相手に割れたビール瓶で刺そうとした超武闘派なんだけどな。

本当の永遠のライバル。2人の紅天女候補のこれからが楽しみです。

そして。

それ以外の周りの大人達もそれぞれの紅天女に向かって動き始めます。

そんな中でも、あの魂の共有体験からマヤの事を忘れる事が出来なくなった真澄。ずっとマヤの事を考え続ける日々。しかし。その心は曇っていく一方です。

なぜなら。

さぁいよいよしょうもない展開になってきました

42巻へ続く

画像:「ガラスの仮面」コミックス41巻より引用

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