【感想】ガラスの仮面 15巻 マヤに訪れる恋。そして、大きな人生の転機
あらすじ
マヤの周りに次々と現れるライバル。そして今マヤにはもう一つ大きな黒い壁が立ちはだかろうとしていた。マヤはいったいどうやって乗り越えるのか? bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は美内すずえさんです。
登場人物
北島マヤ:現在絶賛共演者の里見にお熱(死語)。14巻で金田一なら死んでるレベルのいやがらせを受けるがなんとか無事。色々な事情で色々な人から狙われる。
姫川亜弓:恋を知るために色々な男と仲良くなったりする。向上心があるのは素晴らしいけどなんかちょっと悲しい。明らかなモブ顔の青年が最初の犠牲者となった。
里見茂:マヤの意中の相手。たぶんイケメン。親衛隊がもの凄い怖い。
感想
芸能界の闇!……とかいうとちょっと主語がでかい。割と一部の私情多め
はい!というわけで今回紹介するのは『ガラスの仮面』の15巻です。14巻が2月半ばだったので約3か月ぶりとなります。
1巻から順に長い時間かけて読んでくださる方もいまして、それなのに15巻とか序盤で終わるのは大変心苦しいので頑張っていきたいと思います。
GW中にいっぱいブログを書いていきたい。
では紹介していきましょう。
嫌がらせの宝石箱や
これまでにマヤが受けた嫌がらせ
- 車がスト2のボーナスステージばりにボコボコに壊され抗議文を送られる
- 撮影で食べるパイの中にガラス片が仕込まれる
- 衣装のエリにカミソリが仕込まれる
- 洗面所に貼られた番宣用のポスターがズタズタに切り裂かれる
- 撮影で登るセット用の船のマストに細工をされ宙づりになり転落死一歩手前に
- 撮影で使う人力車の踏み台が外れる
- くしに接着剤を仕込まれる
- タオルにコショウを仕込まれる
- ステージの上部から水の入ったバケツが降ってくる
- 撮影で使うお手玉の糸が抜かれ使用中にバラバラになる
これを受けてなお『私にはお芝居しかない!』と思えるとか、どっか脳の大切な回路が死んでいるとしか思えません。しかも警察沙汰にもしない。地獄かここは。
しかし、そんなヤバイ職場環境にも負けずに頑張った結果、嫌がらせをしていた1人である巴万里とは和解出来ました。
まぁ和解とか言ってもただ謝ってきただけですけどね。やるだけやって演技に感動したから謝って終わりとか釣り合わなくない?
でもまぁマヤ本人が良しとしましたのでこの件はこれで……。と思いきや。巴万里(の取り巻き)が行ったのは抗議文を送ったのとお手玉の糸を切った事。
それ以外の犯人は依然不明。こんなん頭おかしくなるわ。
と、ここまでが14巻の展開。ここから、負けじとマヤは頑張っていきます。すげぇな。ポジティブすぎるやろ。
決意も新たに頑張っていくと決めたマヤ。ふと見たTVでは、同じく連ドラに出演している亜弓の番組が放送されていました。
恋する女の表情を完全に自分のものにしている亜弓。
どうしてあんな表情が出来るのか。今までにない、本気で恋する表情。
それにはやはり、間進というモブとの恋愛が大きく影響しているというウワサです。
あまり人目も気にしないでデートやらを繰り返しているようで、すっかり週刊誌のいい的に。現代なら謝罪からの引退もありうる事態ですが、この当時はそこまででも……ないことないよね。たぶん。
まぁ世間がどう言おうと恋愛なんて当事者達が幸せならそれでいいのです。2人の恋愛は、順調に進展していくかのように思え……ません。けどまぁ。
流行のチェックのベストを着たり、亜弓にジュースをおごろうと日頃から大量に100円硬貨を持ち歩くなど、涙ぐましい努力を欠かさない間君でしたが、演技が上達してしまった亜弓はこんな事を言い出します。
少し離れて歩いてくださらない?でないとまた週刊誌の噂になってあなたいやでしょう?
などとなんたらメモリアルのような事を言い出しました。
こうして、間君の人生のピークは悲しくも終了してしまったのです。合掌。
マヤ達の周りには結構アレな感じの大人が多く、そのクセの強さで振り回される事が多いために被害者のイメージが強いのですが、これはやったらアカンよね。亜弓マジ鬼畜。
亜弓は演技を覚えたし、間君は仮初でも幸せを味わえたしでwin-winな関係……かなぁ。
せめて、こう、1回くらい……。と思うのですがどうですかね。その辺は非常にデリケートなところですが。
そして間君を置き去りにし、亜弓がタクシーで向かった次の現場で待っていたのは、次の舞台での共演相手。
亜弓、舞台でおじさまの恋のレッスンたっぷり勉強させていただくつもりよ。
亜弓、舞台でおじさまの恋のレッスンたっぷり勉強させていただくつもりよ。
大事な事なので2回言いました。これはもうダメです。亜弓は他人の汚れには厳しいのに自分自身は結構なんでもありで生きてるような気がする。
たぶん、同じ事をマヤがしたら怒る気がするんですよね。なんとなく。
一方。
純愛ラブロマンス(亜弓が穢れてるかどうかは不明だけど)を続けるマヤ。
マヤが里見を好きで、どうやら里見もマヤが好き。という状況を面白く思わない里見親衛隊の方々が、なんとか現状を打破するためにマヤの当て馬に桜小路を選びました。なんかそういう役割ばっかりで可哀想だからやめたげてよ。
桜小路とマヤが上手くいくようにマヤのスケジュールを調べ上げて桜小路に教える親衛隊。結構マメ。
桜小路の想い
スケジュールを把握したのでさっそくマヤと会う時間を作った桜小路。
2人で歩くその途中で、ついに本題を切り出しました。
今となっては劇団オンディーヌの名前も懐かしい感じがしますが、この2人は長い付き合いです。
あの頃から、ぼくはずうっときみが好きだったよ。
真っすぐに想いを伝える桜小路。ぼくのことをきみはどう思っているの。
それに対してのマヤの返事。
「やさしくて親切でいい友達だってあたし……」
いい友達。いい友達。
悲しいけどしょうがない。タイミングが悪い。
誰か好きな人がいるの?と聞く桜小路。それに無言になってしまうマヤ。その様子を見て、いるんだなと理解してしまう桜小路。
そうして、ここから実に3ページに渡ってマヤへの想いを独白し、マヤへ別れを告げます。
さようなら。さようならマヤちゃん。
マヤを一度だけ抱きしめ走り去る桜小路。名シーンです。
いいひとだったのに。死体蹴りのオンパレードです。マヤにそんな気持ちは無いでしょうけどね。
誉めはするし好印象だけど一線超えるのは勘弁。そんな、そんな面白い条件あるわけないだろうよ!
こうして、役者道をひたすらに進む決意を固めた桜小路。
今後もこの作品内では恋愛というか人を愛する気持ちみたいなのはずーっとテーマとして出てきます。なかなか完全に理解出来ない難しい話ですよね。
順風満帆な人生
恋の話も少し落ち着き。仕事としては順調そのものであるマヤ。
大河ドラマ『天の輝き』で演じる『田沼沙都子』役は大好評。沙都子が出演しない日は局に苦情の電話がジャンジャンかかってくる始末。確実にスターへの道を歩んでいきます。
しかし。
光あれば闇あり。その活躍を面白く思わない人物がどこにでもいるのです。
日向電機のポスターモデルの仕事をマヤに奪われた大物女優山崎竜子。
なにやら企んでいそうな感じですが果たして。
それに対してマヤは大忙し。ワイドショーへの出演や、各種イベントなどにひっぱりだこです。
大河ドラマと同時進行で撮影している映画『白いジャングル』の撮影も順調。
そんな白いジャングルの上映試写会での出来事。
マヤに仕事を奪われてご立腹の山崎竜子。そんな山崎がなぜか映画の試写会後のパーティ会場にやってきました。
マヤの事が憎くてたまらない彼女が一体なぜこんなところに?遠巻きにウワサをする周りの人々。
山崎の目的は大きく2つ。
- 山崎の息のかかった映画評論家にでっちあげの酷評記事を書かせるため
- マヤを映画の主役にするために大都芸能が行ってきた汚い手口を暴露するため
です。前者はともかく後者に関しては普通に大都芸能がダメなのでは……?
しかし、この不穏な空気を敏感に感じ取った速水は先手を打ちました。
山崎に対して大手化粧品会社の海外ロケCMの話を持っていったのです。
海外ロケでのCMをきっかけに、世界に羽ばたく大女優としての道を暗示される山崎。
そして……。
見事大都芸能の味方につける事に成功しました。
というわけで、大都芸能がここに至るまでにどんな汚い手を使ってきたのかも同時に闇に葬られる事に。気になるなぁそれ。
こんな手があったならもうちょっと早く助けてあげればよかったのに。と思わないでもないですが、とにかくvs山崎の件はこれにて一件落着。これから先は何事も無くパーティが進んでいくかと思われましたが……。
熱愛が発覚
突如パーティ会場に里見が現れます。彼と共演しているのは大河の方なので、この映画の試写会には直接関係ありません。
ではなにをしにここへきたのか?
大勢のマスコミの前で突然自分の気持ちを告げる里見。
妹のようにではなく友達のようにでもなく、ぼくは彼女が好きです。と。
こうなったら当然気になるのがマヤの返事です。
以前速水の秘書に『スキャンダルはご法度』と強く言われていたマヤ。ここは当然……。
別に誰かに強制されて言わされたわけでもなく、ごく自然なマヤの気持ちを告げるシーンなんですがなんでこんな悲しそうな表情やねん。
今話題の人気タレント2人の堂々とした交際宣言。大勢のマスコミを前に露骨にここで引き裂く事も出来ない大都芸能側としては、渋々ではあるが認めざるをえません。
マネージャーに対して『今度マヤちゃんを連れだしていいですか?』と許可を取る里見。イケメンなうえに根性も度胸もあるとかチートだチート。
場の空気的にもここでこれを拒否する事は出来ません。認めるマネージャー。
一斉にマスコミに取り囲まれ、取材を受ける事になるマヤと里見。
そんな2人の様子を見て、取り乱す速水。
なかなかに複雑な恋の模様となってきました。
桜小路に足りなかったのは、こういう激情ではないかと思います。
そして速水以外にも、様々な人達がこのビッグニュース快く思わず、またマヤを失脚させようと陰謀を企てる謎の人物もどうやらいるようです。
マヤをおとしいれようとしているこの謎の人物達の正体は一体……?
それから
ここまででだいたい15巻の半分くらいです。
ここからは、マヤと里見のラブラブデートを見せつけられたりします。
少しずつ接近していく2人の仲。そして、それをあまり快く思わないマネージャーや里見親衛隊。
また、マヤを失脚させその地位を狙っている謎の人物達。
マヤを慕う人物の意外な正体が明らかになっていきます。
だいたいいつもその巻の前半部分を詳しく書いて、後半はなんとなくボカして書くんですが、この巻後半に結構需要な話が多いんですよ。
里見とイチャイチャしたり、悪い奴の正体が明らかになりそうだったり、里見親衛隊にマヤが狙われたり、亜弓が共演者のオッサンともうなんだか完全に怪しい雰囲気を醸し出してたり、マヤの過去を切ろうとしてマネージャーの陰謀で劇団仲間と引き離されそうになったりします。
多いな。重要な出来事。
しかし。しかしです。
この15巻の最後の方で、これら全ての要素が吹き飛ぶレベルの出来事が起きます。
もう何十年も前の漫画にネタバレも何も無いかもしれませんが、もしかしてこの漫画を未読でこのブログだけを読んでいるような人がいるかもしれませんのであまり詳細を書く事もしたくないですが、かと言ってこれに触れなければ今後のガラスの仮面を語る事もまた出来ません。
とある山奥にある診療所。そこで治療をうけているマヤの母。大都芸能の陰謀によって、外界との接触を一切断たれ世間の情報をほとんど知らない状態で実質監禁されていました。
そのマヤの母が、ふとしたきっかけでマヤが今大活躍しており世間でスターになっている事を知ってしまいます。
診療所から1人抜け出すマヤの母。目が不自由で歩く事もままならないはずなのに、マヤに会いたいその一心で山を下りてしまいます。
徒歩でマヤの場所を目指す母。駅につきえすればあとは東京までなんとかたどり着けるはず。
しかし。途中でうっかり財布を落としてしまいます。これでついに運賃もままならなくなってしまう。
心優しいドライバーの好意でヒッチハイクさせてもらいある程度近くまでは行きましたが……。
マヤの母を、悲劇が襲います。
目が見えない母は、自動車にはねられてしまうのです。
もう息も絶え絶えですが、見えない目で、人を頼ってついにマヤの映画が上映されている映画館に辿り着いたマヤの母。
映画館の中で、娘の声を聞きながら、息を引き取ってしまうのでした。
ここは本当に、ぜひ読んでほしい。凄い悲しいんですよ。そしてなにより、こうなった原因を作ったのは大都芸能でありまた速水です。
これは到底許される話ではないのですが、とにかくここで激動の15巻は終わります。
果たしてこれからのマヤを待ち受ける運命とは。
16巻に続く。
画像:「ガラスの仮面」コミックス15巻より引用
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