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【感想】ガラスの仮面 19巻 どこにでもいる平凡な女子高生『佐藤ひろみ』を演じるパントマイム1人芝居!

2023年11月30日

当ブログはその性質上、どうしてもネタバレを含みます。そんなの嫌だ!という方は十分に注意して読んでください。

あらすじ

一人の平凡な少女の一日を演じた一人芝居「通り雨」で、その才能を磨くマヤ。そして演劇部からマヤにロボットの役が舞い込む…。

bookwalker作品紹介より

というお話です。作者は美内すずえさんです。

登場人物

北島マヤ:女海賊ビアンカを1人で演じ大成功。続いて『通り雨』という劇をやる事に。平凡な女子高生『佐藤ひろみ』を1人パントマイムで演じる事は出来るのか?

感想

究極の1人遊び!!パントマイム1人芝居に挑む学園編!

はい!というわけで今回紹介するのは『ガラスの仮面』の19巻です!

と、ナチュラルな感じで始めようとしていますこの感想。実は3年6か月ぶりの更新です。ブランクが凄い。一切更新しなくなって3年以上が過ぎたのに、日々3ケタ近いアクセスがあり今でもガラスの仮面の記事は大人気なので18巻で終わらせるのはもったいないと思ってずっと心に引っかかっていたのですがついに更新再開です。

とはいえ、過去記事からリアタイで追ってる人はもうたぶんいないと思うので、3年の差があっても読者の方には関係無い。そんなわけでグダグダ言ってないでサっと始めましょう!

指導者が欲しい

『女海賊ビアンカ』の上演が大成功に終わり、続いて『通り雨』の1人芝居に挑むマヤ。連日学校に残って猛特訓です。

一応学園の行事?というか生徒達のリクエストでの上演という形であり、あくまで余興の延長線上だと思うのですがそんな事はこの芝居狂には関係ありません。舞台があるなら全力でやる。それがどこで誰が観客であろうともだ!!!

この前の18巻の後半くらいから通り雨の話が始まりまして、それと共にマヤの学園生活も描かれているのですが『学園があって芝居がある』のではなく『芝居のために学園がある』というスタンスで描かれるマヤの青春。

朝起きて身支度すれば佐藤ひろみ。授業を受ければ佐藤ひろみ。サッカー部の先輩を会えば佐藤ひろみ。友達と遊べば佐藤ひろみ。

彼女の自我がこれでいいのか心配になるわけですが、これも含めての北島マヤです。放課後にティータイムしてふわふわ時間を楽しむ余裕などないのだ。

令和の世の中でこんな事を許していたらプチ炎上しそうな学校での猛特訓ですが、それでも何かが足りない。

学園編でのマヤの身の回りの人物は演劇素人ですから、指導者がいない。演技を教えてくれる人が欲しい……。思い悩むマヤ。

一方その頃。ライバルの亜弓もまた1人芝居に挑戦です。演じる演目は『ロミオとジュリエット』で、そのジュリエットだけの1人芝居。

演技指導として国内外問わず一流のスタッフを集結させる亜弓陣営。

なんだか凄い感じの巨匠の中に1人混ざる界の大物こと小野寺氏。いやまぁ凄い人なんだと思うんですけど。

現在の自分の置かれた環境と、同じ紅天女を争うライバル亜弓との環境の違いに震えるマヤ。

個人的には、自分が年を重ねれば重ねるほど亜弓に感情移入してしまいます。『自分が持つ最善のカードを最速で切り続けてなお後ろから猛追してくる天才がいる』という事への恐怖。

『努力が出来るだけの凡人(あくまで極限の先端でのレベルの話で本当の凡人に比べれば才能がある)』亜弓と『なんだかよくわからないが毎回オカルトじみたニュータイプ能力で追いかけてくる本物の天才』であるマヤとの闘い。

芝居星人。住む世界が、土俵が違うわけですが、当の本人はそんな事には気付かないまま指導者不在に震える日々。

月影先生の元へ

とにかくどこかで1回自分の出来を見てもらいたい。今後やっていく上での柱が欲しい。そんな心境で恩師の元を訪れるマヤ。

恩師に芝居を見てもらいたいがために、劇場の外でこの姿勢で正座して出待ちをする少女。JKですよこれで。同級生がやれドーナツだアイドルだとキャッキャやってる時にこれですよ。

余談ですが『JKですよこれで』の文章を書こうと思って『女子高生……だったよな?何年だったっけ?』と調べようとしてさかのぼっていったらかなり前(9巻)までさかのぼりました。そっから色々あったので、この時何年生かは正確にはわかりませんでした。マジで色々あった。人生経験値半端ない。

ちょっとでいいので自分の芝居を見て欲しいと懇願するマヤ。

ちなみに、こういう事態になっている原因は月影先生が最近色々あったマヤに対して『まずはその汚名を返上するまでは劇団での活動は認めません!』と言ったからです。

そして『最近色々あった』の中には母の死から続くスキャンダルがあり、母との悲劇の別れの原因を作ったのは月影先生と速水なのでメタ視点で見れば壮大なマッチポンプなわけですがいいのか本当にそれで。月影先生に人間の心とかないんか?

1人芝居での壁を正直に告白するマヤ。

個人的には、ここで最初マヤは『パントマイム』と言ったのに月影先生が『マイム』と言ったあとからマヤも『マイム』と言っているあたりが好きです。ちょっと玄人っぽく言い直した感じが好き。

ここで大切な事は『どうすれば観客にわかってもらえるか』という視点。

1人よがりではない、自分さえ気持ちよければそれでいいというわけではない、観客の目線に立った芝居。

ここでの月影先生からのアドバイスは『観客は自分の心の中にある記憶からパントマイムを見ているのだから心の演技を大事にしなさい』というものでした。

自身が見た事もない『何か』の動きをパントマイムで表現されてもそれが何か理解出来ない。という事です。

ここまで言ったところで急に月影先生の体調が悪化。

1つの芝居の成功はまた次の芝居の幕を開ける。やればやるほど役者は伸びていく。紅天女はその果てに……。

息も絶え絶えにそんなメッセージを残してタクシーで帰る月影先生。そんな月影先生の様子を見守ってもらえるようにと速水に電話するマヤ。

マヤには頼るべき大人の数が少なすぎる。

心の演技とは

一方その頃。一流のスタッフ陣を揃えて念入りな稽古をする亜弓。

一流のスタッフ達からの厳しい指導にも決してひるむ事なく、むしろおかわりを催促する亜弓。左の人はパントマイムの先生なので汗だくもわかりますが、小野寺がそんなに汗をかく理由がわからん。オッサンの汗だくサービスシーン。

そして、佐藤ひろみの心の演技を掴むために、日常の体の動きを改めて確認しながら生活するマヤ。

学校に行く時の支度。屋上から校庭を眺める時に金網を持つ時の手の形。

教室に入る時。戸を開ける。閉める。

手の形。

お弁当を持つ。ふたを開ける。箸を持つ。そして食べる。

もぐもぐむしゃむしゃ。むしゃむしゃもぐもぐ。

パントマイムお弁当シーンが、セリフ無しで3ページに渡って描かれます。この辺に凄く『漫画力』を感じます。

平凡で普通なお昼ご飯シーンではないですが、北島マヤの人生ならこれでいいのです。これまで積み上げてきた彼女の役者狂としての人生が、これをやってもおかしくないという説得力を生む。素晴らしいですね。

ここからさらに彼女の『佐藤ひろみ』としての心の演技を掴む練習は続きます。エア寝起きから始まり、カーテンを開ける仕草。お気に入りのぬいぐるみの抱き方。コップの持ち方。

憧れのサッカー部の彼が飛ばしたボールの受け方。手芸部であるひろみの手芸の動き。きっと、手芸が好きで時間を忘れてひろみは没頭してしまうはずだと。

1人体育倉庫で空想の人物の心と向き合い、それを理解し始めるマヤ。ギリギリの精神性の持ち主ではありますが、何かの分野に特化した人物の内面というのはこういう物なのかもしれません。

パントマイムを磨く

そして場面は変わり、亜弓陣営の稽古の様子。

その場で前に進む事なく全力ダッシュ。絵面はコメディですがやってる事は凄い。

ここからは、亜弓の脅威のパントマイム力が描写されます。

亜弓の持つ武器の1つである『基礎力の高さ』がこうして積まれていくわけです。これだけは、ぽっと出のマヤでは絶対に勝てない分野。積んだ努力がその違いを生む。

『並大抵の才能ではない』とは周りのモブの評価ですが、個人的には『与えられた天性の才能に自惚れる事なく無限に自己を磨き続ける事が出来る』という事こそが亜弓の才能だと思っています。

十で神童十五で才子二十過ぎれば只の人なんて言ったりしますが、前に進む努力を続ければ前に進むのだ。当たり前の事ですが、凄いですね。

そして一方我らがマヤは。

芝居の舞台となる体育倉庫の床に線を引いていよいよ本格的な『佐藤ひろみごっこ』です。もはやごっこなどというレベルではない。

朝起きるて2階から降りてくる。そのあとに洗面所で顔を洗い台所でご飯を食べる。

居間を抜け、庭にいるお父さんに声をかける。まるでままごと。

呆れてマヤを注意しようとする草木さんを逆に注意してこう言います。

「あ、ダメよ草木さん壁を突き抜けてきちゃ。そこ壁があるんだから」

壁!壁!あっちからこっちまで壁!

このコマ凄くないですか。多分、アニメだとこうはいかない。静止が映える漫画だからこそのこの表現。

壁があるんです。マヤの脳内に描かれた佐藤家の間取りのそこには壁があるんです。

先ほどの亜弓のパントマイムとの比較として、ここからはマヤのパントマイムが描かれます。

一流の講師を用意し、徹底したトレーニングで手に入れた亜弓の神がかったパントマイム。

それに対してマヤは、徹底して日常を再現する事でパントマイムを表現してみせます。

いやホント今さらだけどこの漫画マジで面白いな。

襖、ドア、たてつけの悪いガラスの障子。どれも『開ける』という動作ですが、これの違いを見事に表現してみせるマヤ。

居間で家族とTVを見る。

『お芝居をやっている時だけはあたしに家族ができる……』

リアルなマヤは天涯孤独の身ですが、芝居をしている時だけは、その役になりきる事が出来る。そこには家族がいるのです。なんと悲しく深い業でしょうか。本人がそれに負けていない芯の強さを持っているところが凄い部分ですが、もしこの子が芝居に出会ってなかったらどうなっていたのでしょうか?

と思ったけど、芝居に出会って無かったらそもそも不幸になってない気がする。いやでも序盤貧乏だったもんな。どっちが幸せなんだろうか。

そしてどんどん佐藤ひろみを演じ続けるマヤ。

ついには、佐藤ひろみとしてのクセまで演じてみせます。入り込みすぎて不安になるわ。

それから

ここまででだいたい19巻の半分くらいです。ここからは、いよいよマヤが演じる1人芝居『通り雨』が始まります。

ザックリしたストーリーとしては、平凡な女子高生佐藤ひろみが自分の父親の浮気現場を目撃してしまい、それを誰にも話す事が出来ず悩んでしまう。

そして悩んだ結果、浮気相手の女性の家に乗り込む事に決めるひろみ。

父に自分達を大事にして欲しいから、お父さんと別れてくださいと説得に行きます。

こんな内容の芝居を高校生が見て、果たして面白いと感じるのかどうかと思わないでもないですが、父親目線や浮気相手目線の芝居がありませんから、見てる人にはまさに等身大の高校生の悩みをという風に見えるかもしれませんね。

浮気相手の女性はひろみの父を諦めてくれるのでしょうか?平凡な女子高生であるひろみの運命やいかに。

もう一方の亜弓の1人芝居『ジュリエット』も大成功。改めて自分のライバルの大きさを感じることになりました。

そして、無事通り雨の舞台を大盛況で終えたマヤの元に次の舞台の依頼がやってきます。次の舞台は演劇部の劇。マヤが演じるのは『お手伝いロボのルル』です。

なんと次回はロボ!

『ロボの動きを研究してきてちょうだい。出来る?』と演劇部の部長に聞かれ即答で『はい!』と答えるマヤ。

以前、マヤは人形の役を演じた経験がありますからね。人形の思い出を振り返って演劇部のみんなに話すマヤ。

こんなん普通の生徒ならドン引きですわ。言うてる意味がわからん。しかも、この時母親の結核と失踪を知って舞台で泣いたら水ぶっかけられてキレられたからね。めちゃくちゃな世界で生きてるわ。

さてさて。次の舞台は果たして成功するのでしょうか?

20巻へ続く。

画像:「ガラスの仮面」コミックス19巻より引用

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