【感想】ガラスの仮面 14巻 恋するマヤと迫る芸能界の闇
あらすじ
亜弓もテレビドラマに出演。着実に実力をつけていく。スターへの階段を昇りはじめていたマヤに、周囲の見えない闇が動き出す。 bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は美内すずえさんです。
登場人物
北島マヤ:共演者である里見に恋してしまう。この事がきっかけで、演技が出来なくなったり親衛隊に狙われたりするように。
姫川亜弓:マヤとは対照的に、恋をしていない事が演技のネックになる。それを克服するために『演技のための恋』をする。14巻ではあまり出番がない。
里見茂:マヤの意中の相手。どことなく速水に似てる。親衛隊が超怖い。
感想
マヤに訪れる恋!何も手につかなくなって乙女だけど周りは許してくれません。
はい!というわけで、今回紹介するのは『ガラスの仮面』の14巻です。実に1週間ぶりの更新。
3月10日付近に仕事の山がありまして、そこを越えればちょっと楽になりますのでそこからはまた更新していけるかなと思います。
読んだ冊数はどんどん増えるんですけどね。世の中には無限に漫画があるとしか思えない。
マヤの恋
里見に恋をしてしまったマヤ。演技をしていてもまったく集中できません。
目が里見を追ってしまう。里見の笑い声が、話す声だけが聞こえてしまう。
演技をしていても『自分』に戻ってしまう。
悩むマヤ。ちなみに、この後なぜか桜小路くんが比較され『桜小路くんにはこんな気持ちじゃなかったわ……!』とか、勝手にディスられます。桜小路くん可哀想。いい人なのに。
そして一方。
同じくTVの仕事をこなす亜弓でしたが、共演者が影で『あいつは恋をしていない』と批判しているのを聞いてしまいます。
恋をしている演技をしているだけだ。目を見ればわかるし、いずれお茶の間にも気づかれる。と。
最近『お茶の間』って言いますかね。古の言葉。
なかなか情熱的なポエミーなセリフではありますが、あの天才女優姫川亜弓にも思わぬ弱点がありました。
そして亜弓は、そんな自身の欠点を克服するためにある行動に出ます。
たまたま亜弓の目についた、売れない下っ端俳優の間進。
亜弓は彼に近づき、いかにも好意があるかのように振舞い始めます。
本当に好きならいいんですけどね!やめてあげてそういうの!
というわけで、恋という事を学ぶために、何かあっても特に支障の無さそうなタイプの下っ端俳優を捕まえて観察対象にする亜弓。ひでぇ話ですよ。
あの有名天才女優の姫川亜弓に露骨なモーションをかけられて舞い上がる進。そらそうよ。ガッキーが俺にこんな事言って寄ってきたらそらもう……。
マヤは『恋をしている事』が。亜弓は『恋をしていない事』が。それぞれ正反対の壁にぶち当たるのでした。
スターになるという事
相変わらず里見の事が気になって気になってしょうがないマヤ。稽古をしていてもまったく身が入りません。
やってもやっても沙都子になりきれず、ついには別室での1人稽古を命じられてしまいます。
同世代の女の子が恋に遊びにとやってる頃に、芝居ばっかりやってきたもんね。しょうがないよね。
とまぁオジサンは思うわけですが、マヤ本人にとってはとても深刻な事態になってきました。
一方亜弓は、いよいよ本格的に自分に恋をし始めた進のその情熱的な目を見て、なにやら掴んだ様子。やめたげてほんとに!ひどいよ!
不調から抜け出せないマヤですが、そんな事とは関係無く大人の世界は進んでいきます。芸能界はショービジネス。大都芸能の所属となっているマヤの今後のスケジュールが、マヤの意志とは関係無くどんどん埋まっていきます。
ざっと今後1年分のスケジュールがすでに埋まっているようで、様々なCMやタイアップ企画。また、新たなる映画の出演の話も決まっているようです。
そして、そんな売れっ子女優の北島マヤの身辺調査を大都芸能が行った結果、ついにマヤの母親の居場所を突き止めました。
これで母と子が再開できる……。と思いきや、なんとその母親の存在をまだ隠せと命令する速水。
『母親が行方不明』という、その悲劇のヒロイン属性を餌に世間の注目を釣ろう。という、速水の考えがあるようです。
こうして北島親子は、またしても巡り合う事が出来なくなってしまいました。いつの日かこの2人は出会う事が出来るのでしょうか。
そして場面は再びマヤに。
別室での1人稽古を命じられたのに、もうまったく稽古をしようという気にもなれないマヤ。
あんなにも芝居が好きだったのに。ボロボロと1人別室で泣くしかありません。
きっと里見さんは私の事をバカだと思っているわ。と。
里見を想う恋心のせいで芝居が手につかない。芝居が手につかないせいで、きっと里見にバカな子だと思われているわ。と。とてもいじらしい可愛い乙女です。切なくなる。
でも、ここで泣いていても芝居が上手くなるわけではありません。ちょっと気を取り直して顔でも洗いに行こう。と部屋を出ると、そこには里見からの差し入れが置いてありました。
この大河ドラマ編は、これまでとはちょっと雰囲気が違ってマヤ主体で世界が動くのではなく、テレビ業界というか芸能界の大きな流れみたいなのに振り回されるばかりの話なので正直ちょっと退屈というか、なんか違う気がするな。という感じなんですが、そんな中にマヤの恋心の話が入ってきてなかなか読ませる話になっています。
どっちかって言うとマヤはTVよりは舞台派なんだろうな。というのがヒシヒシと伝わってきます。
さて。
差し入れをもらった事により、里見に嫌われたくない。だから頑張らないといけない。と思い直したマヤ。
心を入れ替え、これまでとはまるで別人のような素晴らしい演技を見せるようになります。
一方の亜弓も、いよいよ『恋』という感覚をつかみ始めました。
あまりに演技狂な話が多いのでスポ根か何かだと思いがちですが、あぁそういえばこれ少女漫画だったな。と思い出す流れ。
ここからマヤはどんどん忙しくなっていきます。
大河ドラマのスポンサーである電機会社のポスター撮影。JK女優としてのインタビューなど。
スター北島マヤとしての、華々しい順調なスタート!
……かと思われましたが。光あるところの影あり。
誰かが活躍するその裏では、誰かが泣いているのです。椅子は、全ての人に用意されているわけではないのです。
マヤが現場入りすると、そこには泣き崩れる1人の女優がいました。
心配したマヤが声をかけると、彼女はマヤをにらんで走って出て行ってしまいました。
どうした事かと周りの人にたずねると、返ってきた答えは衝撃的なものでした。
泣いていた女優は、スポンサーの意向でマヤの出番が増えた代わりにそのせいでしわ寄せを食らった人だったのです。
これにショックを受けるマヤ。逃げた女優を追って謝罪しますが、そもそもマヤが悪いわけではないし、謝られても結果が変わったりもしないので、同情はやめろと怒る女優。
さらにショックを受けるマヤでしたが、これを里見が慰めます。なんとか立ち直れるか……。と思ったそこに。
さらに事件がおきました。
芸能界の光と影
ドラマの出番の配分で女優を泣かせたマヤ。そんなマヤの前に、大女優だという山崎竜子という女性が現れます。
この山崎という女性もまた、マヤのせいで椅子を失った1人。
大河ドラマのスポンサーである日向電機のCMポスターのモデルを8年続けていたのですが、今回ついにマヤにその座を奪われる事になり、内心非常にご立腹。
大御所のバ……女性。彼女の悪どい手口で潰された若手役者は数知れず。自分の事を精一杯やっているだけなのに、どんどん敵が増えていってしまうマヤ。
その辺根回しを上手くやっとかない大都芸能が完全に悪いように思うんですが、大丈夫か速水。
そしてさらに、マヤを憎む人達が。
それは、里見の親衛隊。
護身用だとかなんとかで、ナイフを持ってマヤに近づいてきましたが、それをなんとか追い払いました。
髪型がなんかよくわからない部分がものっすごいチリチリのパーマがかかった、独特な親衛隊の女性。彼女もまたマヤのアンチ。
そして、さらに敵は増え続けます。可哀想。
今度の敵は、次にマヤが主演となる映画『白いジャングル』で、実はマヤの前に主役に内定していたという巴万里という人気歌手のファン。
マヤが乗る予定だった車をボッコボコにして、さらに置手紙まで置いて抗議してきました。
万里ちゃんが主演の映画が始まると聞いて楽しみにしていたのに、卑怯な手(想像)を使ってそれを奪った北島マヤと大都芸能を許さない!!と。
このまま活動を続けるなら邪魔してやる!そんな内容の手紙を読み、その辺の事情をまったく知らなかったマヤは怒ります。
が。言ってどうなったわけでもない。主役を降りるつもりのなの?と逆に諭されてしまいます。
マヤに忍び寄る芸能界の影。闇。
これね。何話もかけてちょっとずつ増えたんじゃなくて、2ページに1人くらいの勢いで邪悪なエピソードと共に敵が増えるんですよ。こんなもん病むわ。
そんなわけで。現在マヤのアンチは
- 里見の親衛隊
- 出番を減らされた女優
- 大女優山崎竜子
- 人気歌手巴万里と、そのファン達
となりました。怖いわ芸能界。
そしてある日の収録の時、事件は起きたのです。
マヤを嫌う人々が、なぜか一同に集まりマヤの収録を見学しているという地獄のようなシチュエーションでの撮影中。
パイを食べるそのシーンで、とんでもない事が起きるのです。
一口パイを食べた瞬間ガキっと嫌な音がしたと思ったら……。
なんと、パイの中にガラスの破片が混入していました。最悪や。
一体誰がこんな事を……。
心あたりが無いのではなく、多すぎて絞れないとかいう悲惨な状況に。果たしてマヤは大河ドラマを無事乗り切る事が出来るのでしょうか?
それから
と、ここまでで14巻の半分くらいです。
ここからは、どんどんエスカレートしていく何者かによるマヤへの嫌がらせの数々。
衣装のエリにカミソリの刃。洗面所にズタズタに切り裂かれたマヤのポスターが貼られている。など。
そしてさらに極めつけは……。
芸能界超怖い!死ぬっつ~の!死ぬっつ~の!
マヤが登る予定だった船のセットのマストの部分のボルトが外され、さらにマストがかたむいた瞬間に部屋が停電になる。というね。金田一少年ばりの殺意。
ここからもさらに嫌がらせは続き
- 乗ろうとした人力車が壊れる
- クシに接着剤
- タオルにコショウ(クシャミが止まらなくなる)
- セットの上からバケツに入った水が降ってくる
- 演出で使うお手玉がバラバラになる
など。こんなもん頭おかしなるで。
しかし。そのどれもを、女優魂で乗り越えていくマヤ。絶対腐ったりしない。むしろ燃え上がる。凄いですよ。
マヤの大河はどうなるのか。嫌がらせの犯人はどうなるのか?
15巻へ続く。
画像:「ガラスの仮面」コミックス14巻より引用
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