【感想】ガラスの仮面37巻 急接近する速水とマヤ!4つの試練は終わりいよいよ最終目標へ!
あらすじ
「紅天女」のための課題が終わり、いよいよ「紅天女」の一部を演じることになったマヤと亜弓。そんな頃、月影千草に再び異変が…。
bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は美内すずえさんです。
登場人物
北島マヤ:紅天女を演じるための4つの試練の内の水の試練に挑む。この巻で速水と急接近する。
姫川亜弓:紅天女を演じるための4つの試練の内水の試練に挑む。今回のシリーズでひたすらコンプレックスを刺激されまくる。いわゆる『主人公補正』と最前線で戦う辛さ。
速水真澄:マヤの事が好き。この巻でマヤと急接近する。よく我慢出来るもんだと感心する。
感想
近づくマヤと速水!そして水の試練が始まる!
はい!というわけで今回紹介するのは『ガラスの仮面』の37巻です!
なんか段々49に近づいてきましたね。あともうちょっとがなかなか遠い。1記事ごとの文章量よ。
雨宿りの果てに
紅梅の谷で梅の木に登って雨に濡れていたマヤを助けるために、マヤを連れて近くにあった古びた神社へ行く速水。
そこでついに、速水が好きだと気付いてしまうマヤ。
この巻開いて1ページ目からいきなりこれですからね。なかなか衝撃の巻ではあります。
雨の中。田舎のさびれた神社で、告白してはいないものの内心では両想いの男女が2人。
これで何も起きないはずがないのですが、ガラスの仮面の世界はどうでしょうか。ワクワクしますね。
『速水さんが好き』から始まって、紫のバラのひとで締めくくるあたり、まだちょっと微妙なんじゃないか恋に恋してるだけなんじゃないかという気もしないでもないですね。
でも、今まで芝居一筋で生きて来た女の子の初恋らしきものならこんな感じなのかもしれません。
速水に対する恋心を自覚し、普段に比べて素直になるマヤ。しかし速水はそんなマヤの心境に気が付きません。
自分が速水に冷たく当たるせいで速水はその心を隠してきた。でも、この時点で別に速水がマヤを好きだと直接言った事はないわけですから『本心を隠してきた』かどうかはわからないわけで。
裏で紫のバラのひとを続けている目的も不明ですからね。
さて。この時代にはまだ携帯電話という物がありません。1992年の発売ですから、もしかするとあったのかもしれませんがたぶんあってもクソデカイ。
とにかく。雨の降るド田舎の神社の中でやる事がなんにもないわけです。事前に準備があったわけでもないし。なので、会話するしかありません。
速水から「稽古は進んでいるのか?」と聞かれれば「次は水の演技で龍神をやろうと思っています」と返すマヤ。
「会長(英介)は見つかりましたか?」と聞かれて「もし見つかっていれば俺はここにはいないよ」と返す速水。
神社の中を明かりで照らしてよく見てみると、そこには神社の由来が書いてありました。この里に伝わる紅梅の木とそれを巡る仏師の話。紅天女の元ネタとなった伝説がそこに書いてありました。
これを見て、自然と会話は紅天女の話題に。
「きみの紅天女をみたいものだな」と言う速水に「あたし速水さんに喜んでもらえるような紅天女を演じたい」と返すマヤ。
いいですね!恋!恋心が溢れてきましたよいじらしい!可愛い!
ずっと今まであたしは嫌われていると思っていました。仕事のためならどんなひどい事でもやる冷血漢だと思っていました。だから……。あたし……。
動揺するマヤ。まぁ『仕事のためならどんなひどい事でもやる』は特に間違っていないし、マヤ自身も被害にあったりもしてきましたが。マヤの母の件さえなければ総合で+の評価ではあったでしょう。
とにかくその1点においてのみ絶対に償いきれないのがもどかしい部分でもあります。
自分は嫌われていると思っていた。そう言ったマヤですが、これは速水も同じです。
自分は嫌われていると思っていた。本当はお互いに好きなのにすれ違う恋心。
そしてそんな空気の中、真顔で速水は言いました。
おれはきみを嫌いだと思ったことは一度もない
はぁぁぁぁぁぁ!!甘酸っぱい!!『嫌いだと思った事は一度も無い』じゃねぇんだよ!そこは『おれはきみが好きだ』って言えよ!
そして。この一言で変なスイッチが入ってしまった速水はこれまでのマヤの芝居への感想を熱く語ります。
『熱く語ります』と書いてありますが、これが尋常ではない温度で想像以上に熱く語っております。
若草物語、たけくらべ、ジーナと5つの青いつぼ、嵐が丘、奇跡の人、シャングリラ、夜叉姫物語、真夏の夜の夢、ふたりの王女、忘れられた荒野。
それら全ての舞台の感想をズラズラと語る速水。マヤがこれまで演じてきた作品の8割ほどを見てきた速水。中には学校行事だった関係で絶対に見る事の出来ない物もありますから、ほぼ全てに近い網羅っぷり。
そして、それらに全て何かしら思い出に残るエピソードがあるわけです。
当たり前ですよね。紫のバラのひとなのですから。
『いってくださいただ一言……!紫のバラのひとは自分だと……!そうすればあたしはあなたの胸にとびこんでいける……!』
熱く語る速水の想いを聞いて、覚悟を決めるマヤ。
押せっ……!!!いけっ……!!!!!!!
もうあと少し押せば、2人はどうにか何かを間違えてしまいそう。そんな空気の中、響く雷鳴。
一瞬冷静になった速水は。
他の女の名前を出した
あぁぁぁぁ!!!はいはいもう最悪。地雷踏んだわ。それも特大のやつ踏んだわ。デリカシー0。
このほぼ勝ち確鉄板シチュエーションでこのムーブ。俺、速水は金持ちの家の息子だし多少は遊んでると思っていたんですがこれはもう間違いなくピュア男子でしょう。推定童貞。
この一言を受けて一気にテンションが下がっていくマヤ。間違いを起こすなら今この瞬間だったのになにやってんだお前は。
ちなみに、こういう状況で本当にちゃんと最後まで走り切った作品を俺は知っています。結構衝撃だった。
そこからさらに速水はマヤの事を『商品』と言ってしまい、完全に空気はぶち壊しに……。
なりませんでした。
なんやかんやの売り言葉に買い言葉の果てに、マヤを抱きしめて暖める事になった速水。
こうして、抱き合い一夜を過ごす事になる速水とマヤ。
ついに2人は一線を越えてしまうのかっ……!!
一夜が明けて
気になる美味しいところは内緒にしておきまして、次の日の朝になりました。
何かあったのか無かったのか。もし読んだ事の無い人がいればぜひ買って読んでみてください(宣伝)
というかですね。1巻からここまで積み重ねてきたそれぞれの気持ちの集大成としてここに至るわけですから、本当の意味でこのシーンを楽しみたければやはり順を追って最初からここまで辿り着くのが最高なわけですよ。
で。
天気も晴れ、神社を後にする2人。
ここまで紆余曲折あった2人が、これまでよりも少し自分の気持ちになって繋いだその手。
これからは、この2人が幸せになっていくのが当然ですよね?
他の邪魔が入る事など許されませんよね!!!!(マジギレ)
この後、マヤと別れ1人で車を運転しようとした時に自分のコートに残ったマヤの匂いに、思い出したその感触に取り乱してしまう速水。
2人のこれからの関係はどうなっていくのでしょうか。見守っていきたいですね。
始まる水の試練
いよいよ水の試練が始まりました。
この紅天女の里もだいぶ色々な人に知られてきたのか、外から来た取材の記者や里の人達などでギャラリーも賑わってきました。
まぁ当の本人達からすれば紅天女の事以外は頭に無いのは間違いないので、どれだけ外野がいようとも関係無いですけどね。
というわけで、そこそこのギャラリーに見られながらの水の試練。先行は亜弓。
亜弓が演じるのは『人魚姫』でした。その美しい演技は見る人の心を奪います。
ギャラリーも含め大絶賛です。
しかし。この前の段階で月影先生から『稽古中に2人に声はかけない。写真は撮らない。それが守れるなら2人の演技を見せますが、もし破ったら今後出禁』というような注意がありました。
よってハミルはレギュレーション違反で出禁です。
なにがトレビアンやねんルールは守れよ!と思うわけですが、これを特に怒られる事はありませんでした。月影ルールは裁定がガバガバ。
大変美しい亜弓の人魚姫でしたが、個人的にはそうでもなかったです(暴言)
人魚姫がまだ人魚時代の頃から、薬を飲んで足が生えて陸にあがるまでを演技したわけですが、ちょっとパンチ弱いなという印象。あくまで俺の。
というわけで次はマヤのターンです。演じるのは『龍神』です。
滝の中に入り、雄たけびと共に再度滝の中から登場するマヤ。
要約すると『人間は愚か。滅ぶべし』という感じで大迫力で龍神を演じました。
この4つの試練は概念系の話なので正直どれも個人的にはあまり刺さりません。なぜかしら。
演技が終わり『どうして滝の中から登場しようと思ったの?』という質問に対して『なんとなくカッコいいなと思ったから』と答えたマヤ。
この反応にまたしても亜弓のコンプレックスが刺激されてしまいます。
なんと約3ページに渡ってマヤへの嫉妬の感情が描写されます。特に勝ちとか負けとか言われたわけでもないのに凄い悔しがる。
『わたしの演技がよくみえるのはそれはわたしが今まで努力して身に付けた技術よ。それに、人よりは少しきわだってみえる容姿のせい……!才能なんかじゃないわ……!ましてや本能でもない……!』
と、なんとなくまだ余裕ありそうな感じの悔しがり方です。マヤは確かに天才でウザイが決して自分も悪くはないどころかそこそこイケるという自信はあるようで。
わたしはダメだけど全部ダメってわけでもなくてそれとは別に長所もあるからそこは悪く言いたくない。という、精神的にはいい感じの悔しがり方ですね。ここで自分全否定モードに入ると病むので。自己肯定感が高いのはいい事です。
少なくとも、パっと見はわたしの方が可愛いとは思ってそうです。いいですね。
一応言っておくと、こうして自分は出来ない子だと思っているのは亜弓の勝手な感想で、月影先生の評価では亜弓は悪くありません。
今のところすべての面で亜弓さんの方が勝っています。
と、なかなかどころがむしろ全肯定です。ここに至るまでの亜弓の基礎能力の圧倒的な高さ。そしてそれを手に入れる事が出来た亜弓の努力。そここそが亜弓のいう才能というジャンルだと思うんのですが、なかなか自分ではそう思えないようで。
残るは土。2人の演技はどうなるのでしょうか?
それから
ここまでで37巻の半分くらいです。
ここからは、崖から車で転落してひき肉になったかと思われていた英介が実は生きていました。
自由落下する車の中から扉を開けて外に飛び出す事が本当に出来るのかどうかは疑問を感じますが、とにかく生き残ったようでした。
これ落ちるエレベーターの中でジャンプすれば助かる理論くらい怪しいと思う。
その昔。月影千草へのストーカー行為の最中に車のスリップ事故によりその両足に重症を負い歩行が困難になった英介。
そしてまた、月影千草への執着の結果崖から車で落ち死にかけました。厄介への天罰です。
耳も口も不自由な男にその命を助けられ、そこでの機転で外部の人物と連絡を取る事が出来たのでどうにか救出された英介。
そしてついに最後の土の試練が始まります。
さらに。4つの試練を終えた2人に課せられたのは、いよいよ本命であるところの。
紅天女でした。
加速し、収束し複雑に絡み合っていく人々の想い。
瀕死だったわしを助けてくれたのは推し
『これもしかして推しも俺の事好きなんじゃね?』となったかどうかはわかりませんが、また一段階覚悟を決めて階段を上る粘着系ガチ恋厄介オタク。どうしようもない。
そしてついに……!!!
何回目やねん
38巻へ続く
画像:「ガラスの仮面」コミックス37巻より引用
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