【感想】ヒナ 値付けされた子役たち 4巻 つぐみの毒舌キャラは成功するのか。そして明らかになっていくヒナの生い立ち
あらすじ
天才子役・ヒナを一人で担当することになった、新人マネージャー・烏丸。一見完璧に見えるヒナの演技に違和感を覚えた烏丸は、ヒナの演技を変えようとはたらきかけるも、ヒナから返ってきたのは「演者に心など要らない」という冷めた言葉で…。毒舌ジェンダーレス子役の奮闘、幼い天才子役の壮絶な過去。夢売る世界の裏側を描いた芸能お仕事ストーリー第4巻! bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は鈴音ことらさんです。
登場人物
烏丸省吾:フライトフェザープロダクションという子役専門の芸能事務所の新人マネージャー。ジャンダーレスタレント。いわゆる『男の娘』である『秋原鶫(つぐみ)』の再起の道を探すために頑張る
高宮雛:フライトフェザープロダクションに所属する7歳の超売れっ子子役。鶫のために奮闘する烏丸を見守り、助ける。大人に対して極端に黒い思想の持主で冷めていたが、少しずつ変わっていく。
秋原鶫(つぐみ):ジェンダーレスタレント。いわゆる『男の娘』というやつです。契約を切られそうになっていたところを烏丸に助けられる。復帰の為の道を探す。
感想
鶫の新たなる復帰の道は。そして少しずつ明らかになっていくヒナの過去。
はい!というわけで、今回紹介するのは『ヒナ 値付けされた子役たち』の4巻です。
世の中は自粛ムードという事で、家でひきこもってゲーム三昧をしているわけなんですけど、今はSwitchのなんかeスポーツチームを経営するゲームをやってます。
経営ゲームとしてやってるんですが、悲しい事にゲーム内のゲーム(ややこしい)のルールが1mmもわかりません。なんだかよくわかんないけどステータスが数字的に強くなってるし敵のチームに勝てるようになるんですが、何が向上してるのかさっぱりわからん。専門用語も全然わからん。
でも面白いです。自分でもよくわからん。なんの話をしているのでしょうか。
それでは紹介していきましょう。
鶫の再起の道を探して
芸能界でもう一度やっていくために、鶫の『新しい武器』を身に着けるために『毒舌』の個性を伸ばす事に決めた烏丸達。
さっそく烏丸相手に毒舌の練習をする鶫。だいぶ年下の子役にボロクソに言われてHPがゴリゴリ減る烏丸。
「毒舌キャラ上手くいきそう?」とつぐみを心配するあすな。
『刺すような一言。でもみんなに共感してもらえる毒である程度笑って許せる事が条件』
これ凄い難しい話ですよね。普通の会話より少し強い毒で相手の心を釣って、さらにそこにユーモアを加えて面白くする。こんなん人付き合いの極致の1つですよ。
行きつく場所は若いマツコ・デラックスみたいな立ち位置になるんですかね。なんかそう思うと可愛い男の娘像が少し変わっていく気がします。
自分の新しい方向性を見出し、またそれを支えてくれる烏丸やあすなという仲間もいるので段々と明るいムードになっていく烏丸達。
しかし。
その一方でヒナは少し難しい顔。
そもそもの京極さんの思惑は『つぐみを切る事で烏丸を成長させる』という事だったのに、烏丸はそれに従わずつぐみを活かす方向に進みました。
トップの判断を無視し、我が道を行こうとする事に対して考え込むヒナ。
合理的でかつ利となる事しか言わない京極の思惑を無視し、独自の道を行こうとする烏丸は愚かで理解出来ない。と言うヒナ。
なのに。なぜか、気持ちがもやもやしている。と。
ふさぎこんでたつぐみが元気になりやる気を取り戻し、あすなもそれを手助けしている。
合理的ではなく愚かな考え方のはずなのに、割り切れない『何か』の感情が胸によぎる。
このもやもやの正体はなんなのか。
そのもやもやは、君の感情そのものだと思うよ。
全てを合理的に処理していくなら、わざわざオフの日に烏丸の家を調べてまで押しかけたりしないだろうし『一発屋と言われる人は今何をしていると思うか』というヒントまでくれたヒナ。
今もこうしてみんなに付き合っている。それは、ヒナが理屈ではなく感情で動いた結果なんじゃないの?
そんな烏丸の問いを『理想主義らしいご都合解釈』と言い切るヒナ。
でも。
「それでも少し安心したよ。ヒナちゃんに気持ちがあって」
と言う烏丸。
そんな話をする2人のところへあすな達がやってきて、ヒナの手を引いて連れていきました。
その様子を見守る烏丸はもう完全にお父さんか何かの目線です。
これからも上手くやっていけるといいですね。
復帰のキッカケ
キャラも少しずつ固まってきて、あとはもう1度営業をかけて復帰の機会をなんとか作りたいところですが、あすなのような『そもそも目立った事がなかった』のとは違って『すでに落ち目のイメージがついている』という感じのつぐみの再起は少し難しい。
当然もう一回こけるわけにはいかないし、やるなら短期間で業界の偉い人に好印象を与えなければならない。
これはもう正攻法では無理でしょうね。と言い切るヒナ。
天才売れっ子子役ということで、作中でも色々な表情を見せるヒナですが、この巻ではこの顔が一番お気に入り。大人になったら可愛くなるんだろうな。という片鱗を感じる。
それはともかく。
ヒナのいう『近道』とは一体どんなものなのか。
場面は変わり、ヒナの出演するTV収録になぜか同行する事になったつぐみ。
今回ヒナが出演するのは『トラ子’sルーム』という番組。たぶん、毎回司会のお姉さんがゲストを呼んで色々なトークをする。という感じの番組です。
その番組の中で、プライベートで仲の良い友達の話を聞かれるヒナ。
これに対して「秋原つぐみくん!」と答えるヒナ。
実はあの子、プライベートで話すとすっごいんです!と。
と、いうわけで。
まぁ読者的には『そらそうやろな』という感じではありますが、急遽つぐみのTV出演が始まります。
まったく事前の打ち合わせ無しに急に振られて怒る鶫ですが、その辺は流石天才子役のヒナ。上手くフォローしていきます。
ふにふにヒナちゃん可愛い。
ここからTVでのヒナのお仕事が始まっていくわけですが、普段読者的な目線で見ると烏丸とのやり取りが多いので妙に大人びた感じが多いんですが、こうしてTV収録の様子の話だとちゃんと子供っぽい『ヒナちゃん』が見れて逆に新鮮な気持ちになります。
実際裏では何言われてるかわかったもんじゃないですが、これはTVの収録なので当然ですがおだやかなムードで進んでいきます。前回つぐみが嫌な思いをした撮影と時とは少し違う。
ヒナのナイスなアシストもあり、伸び伸びと楽しそうに言いたい事を言うつぐみ。
アシスタントのお兄さんのファッションセンスについて聞かれた時はこんな感じ。
ホンマにまだそんな人おるん?と言いたくなります。ホンマにおるん?
そして。
新しい方向性を見出した……というより、どちらかと言うと本来の感じを取り戻したつぐみのTV出演は大好評。
つぐみのTV出演など一切聞かされていなかったフェザープロダクションの人達はTVを見て驚愕しますが、直後鳴り響く電話の嵐。
『つぐみを今度の番組で使いたい』
こうして、つぐみの新しい道が始まっていく事になるのでした。
実は事前にヒナが知り合いの偉い人に『今度出演の生放送があるので見てくださいね』とお願いしていたヒナでしたが、それはあくまできっかけの1つ。
仕事を勝ち取ったのは、あくまで『秋原鶫』という個人の実力なのです。
そんな頑張った子役達を見て、やる気を出す烏丸。
次は俺の出番だな!!
まぁ、そらそやろな。という話ですよね。
上司命令無視してますからね。DOGEZAで済むなら安いもんですよね。
結果として上手くいったかもしれないけど、烏丸の判断は社会人としては決して褒められたものではなく、もし万が一にでも失敗していたなら、プロダクションが傾くような事があったなら。
他の従業員にとってもいい迷惑なので、この手の同僚の存在は非常に危ういですよね。ドキドキするやろなぁこんな人と一緒に働いてたら。
ボスである京極さんに呼び出され説教される烏丸。
なんかこう、漫画の話とちょっと関係ないんですが、京極とか烏丸とか何回も打ってると京都感が凄い。
まぁそれはともかく。
あらためてボスから『今回上手くいったかもしれないけど失敗したらヤバかった。君の行動そのものは非常に愚かしいので今後は控えるように』という内容で怒られます。
当然謝罪する烏丸。相手はボスですから。
しかし。謝罪だけではこの男は止まりません。
切り捨てるのをただ見ているだけなど出来ない。潰れていってしまいそうな、悲しい目をした子供を見放す事などできない。と語る烏丸。
この熱さが俺にもあれば。こんな事が上司に言えれば。と思わないでもないです。フィクションだとかそういう事は充分にわかったうえで、こんな生き方が出来ればなと思ってしまう39歳のオッサン。
こんな熱い新人の言葉に、ボスの返答はシンプルそのもの。
それが仕事だからだ。
ぐうの音も出ませんね。俺ならここで心が折れるところですが烏丸は折れませんでした。
どうして商品価値が無いと判断したものに時間を費やすのか?という京極の問いに
扱っているのは『モノ』ではなく『ヒト』だから。と返す烏丸。
しかし。
この作品における重要なテーマの1つかもしれません。
芸能界で生きる。それが本当に本人にとっての幸せなのか。
それなりに雇用の保証された正社員のサラリーマンとは違います。彼女達は5年後10年後どうなっているのかわかりません。
もしかしたら、ここで諦めた時以上に大きな傷を負う可能性だってあるわけです。
でも。
あの子達は望んでいた。その想いにマネージャーが応えてはいけないのか。子供達は喜んでいた。それが幸せではないとでも?
とあくまで食い下がる烏丸。熱い。めっちゃ頑張る。憧れる生き様。俺より超年下なのに。
そんな熱く食い下がってくる烏丸に京極は尋ねます。
ヒナは幸せに見えるか?という問いに対して『見えません』と答える烏丸。
何かに対して深く恨みを抱いているようにも見えます。と続けた烏丸に、なぜか京極はヒナとの新しい仕事を用意します。
そして始まる、新しい展開。
一夏の絆編
次に烏丸に渡された新しい仕事は『一夏の絆』という映画の続編の仕事でした。
前作は、ヒナが出演していてその評価を大きく伸ばすキッカケになった作品。この作品に関わるという仕事を任された烏丸でしたが、みんなに『試されている』と言われます。
なぜなら。
前作の時にヒナの担当をしていたのが京極だったからです。
ヒナの評価を大きく伸ばすキッカケになった映画。その続編の担当を任される事になった烏丸。
俺が烏丸ならストレスで失踪するレベルの案件ですが。
なにやら意味深な言葉も飛び出します。
そして始まる一夏の絆の収録。今回は遊園地での撮影のようです。
とりあえず偉大な先人に負けるわけにもいきませんから、自分に出来る事を全力でやろうと大量のお菓子を買いこんだりする烏丸。
なにしてるんですか。と冷たいツッコミをヒナから受けました。
こんな時、京極さんはどうしてたの?と聞く烏丸。
『表情や感情の作り方を教えてくれた』とヒナ。感情表現の乏しい方であるヒナに、演技以前の『笑い方』などを教えてくれた。と。
このクール過ぎる教え方に対して『変に感情論を出されるより助かった』と言うヒナ。少し寂しい気もしますね。
人を動かす演技って、もっと熱いもんなんじゃないのか?と悩む烏丸。
前作の映画を何度も見直し、また直接ヒナの演技を見ながらでも感じる『謎の違和感』の正体とは。
烏丸が思う『ヒナの演技に足りない物』とは一体?
それから
ここまででだいたい4巻の1/3くらいです。結構色々重要な要素が明かされていく巻なので、語ろうとか紹介したい部分とかたくさんあるんですが、このブログでそんなにいっぱい明かしてもつまらないので、気になったらぜひ買って読んでみてください。
別にこのブログからとかそんなんどうでもいいですから!買って読んでみてください(宣伝)
特にこの漫画に限った事でもないですけどね。
烏丸の感じる『謎の違和感』の正体。
屈折しまくって冷え切ったヒナの心を、果たして烏丸は溶かす事が出来るのでしょうか。なんか宇宙人みたい。
ヒナと烏丸。共に周る遊園地でのアトラクションの数々。そこで起きる出来事の中で、少しずつではあるが考え方が変わっていくヒナ。
そして、明かされていくヒナの生い立ち。その出生の秘密の数々。
大人への。世間への復讐を誓い生きるヒナ。
しかし、その心は少しずつ変化していきます。
ヒナは。烏丸は。どうなっていくのでしょうか。
5巻へ続く。
画像:「ヒナ 値付けされた子役たち」コミックス4巻より引用
WEB版で読む
できればアプリ版で読んでください。ブラウザ版だと読める話数が少なすぎるので。アプリ版なら頑張れば無料でいっぱい読めます。
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