【感想】ガラスの仮面29巻 復活の桜小路!少しずつ狼少女の心を掴もうとするマヤ

あらすじ
演劇界の鬼才・黒沼龍三が演出する「忘れられた荒野」で、狼少女になりきろうとするマヤ。黒沼の特異な稽古に、マヤはしだいに狼の心をつかみはじめる。
bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は美内すずえさんです。
登場人物

北島マヤ:次は『忘れられた荒野』で狼に育てられた少女ジェーンの役を演じる。内容とはそんなに関係無いんですが、この首に巻いてるやつなんですかね?昭和のオシャレでしょうか。気になる。

桜小路優:『忘れられた荒野』にてマヤと念願の共演。ジェーンを人間に戻すため努力する青年スチュワートを演じる。速水と言えば真澄。桜小路と言えば……。下の名前なんでしたっけ?桜小路君としか呼ばれないからわからん。という事で調べた。優でした。で、なんかえらいダサイ服着てるなと思ってこの画像を選んだんですが、YOUってのが自分の名前だと気付いて震えた。

黒沼龍三:演出家。マヤの才能を見出し『忘れられた荒野』への出演を依頼する。非常に厳しいが腕は確か。演出家版月影先生。マヤの周りにまた1人増えた芝居に命をかける狂人。
感想
次のマヤの役は狼少女!桜小路君は恋愛的な意味で逆転できるのか!?
はい!というわけで今回紹介するのは『ガラスの仮面』に29巻です!
更新を再開してから10冊目となります。これが多いか少ないかはわかりませんがこれからも頑張っていきたいと思います。
やさしい人
なんと共演者に桜小路君が選ばれました。どうやって選ばれたのかは一切不明。いつの間にかいました。
彼の役は狼に育てられたジェーンを人間に戻そうとする青年スチュワート。
ところで、本筋とは関係無いんですがGoogleで『桜小路君』と打つとサジェストに『かわいそう』と表示されます。まぁ作中でこれでもかと『やさしい』を連打されますからね。でもまぁ今はそんなに活躍しなくても今後はわかりませんよ。
というわけで、冒頭まずはぬるっとこれまでの思い出をダイジェストで振り返る形。

ここだけ見ると勝ち確の主人公に見えなくもないんですけどね。一応、俺はもうすでに49巻まで読んだうえでこれを書いているので今後彼らの人生がどうなっていくのか知ってはいるんですが、果たして桜小路君の想いは実るのでしょうか。
ふわっとお別れというか最後に会いに行った(会わなかった)マヤ的にはまさか自分が出演する芝居に潜り込んでくるとは思っていなかったのでかなりの衝撃のようです。そらそうよ。
しかも桜小路君は自分の事が好きなガールフレンド(女友達)である舞ちゃんを現場に連れてきている始末。何がしたいんだ。こういう所で女心を理解していない八方美人感が出てしまう。
まぁそんな桜小路君はとりあえずさておき。
マヤは『鏡を見ながら狼になる練習』などをしてみたり。
ここまでに、狼少女の気持ちを理解するために実生活でも言葉を使わなかったり四つ足であるいて生活してみたりと、常軌を逸した練習をしてきましたが、そんな自分の姿を鏡で見ると恥ずかしい。

『なろうとしているだけなんだ』とありますが、なんというか今さらそこなの?という気もしないでもないです。なんかそういう普通の感覚は超越した存在なのかと思っていましたが、結構普通のところでつまずく。
昔からの友達とはいえ、同居人の前で四つ足であるいたりご飯を地面に直置きのお皿から手を使わず犬食いしてみたりするのは羞恥心が無いのに、鏡で自分の姿を見るとメンタルに刺さった。

黒沼が言うには、人間は鏡の前では無意識に演技をしてしまう。しかし、動物は人間のように羞恥心もないので自分で自分の姿を恥ずかしいと思ったりしないし鏡の前で演技などしない。
『動物がはじめて鏡をみてまっ先に感じるもの』それが今後のマヤの課題だ。と。
とは言いつつも『狼少女ジェーンも鏡を見て驚くシーンがある』とありまして、感情を出すのか出さないのか。マヤは狼なのか狼少女なのかどっち寄りで演技すりゃいいんだよ。という感じの謎理論。
さすがにこれには無理があると思ったのか今後この鏡の話は一切出てきません。なんだったんだ。
そして、今後よりよい空気感を作るために稽古中はもちろんの事舞台が終了するまでお互いが役名で呼び合ってほしい。というお願いをされまして今日の稽古はお開きに。
さてそれでは帰ろうかという感じのところで桜小路君とばったり出会います。
久しぶりの再会なのにすぐに打ち解ける2人。
なるほどいい雰囲気に見えます。しかし。これが『普通の少女漫画なら』ですが。この世界は残念ながらガラスの仮面界なのです。ただイケメンで優しいだけの桜小路君では一味足りないのです。
自己中心的なモンスター大人達に振り回されて生きてきたマヤにとって『ただの普通』ではもう物足りないのです。
まぁここではとりあえずそんな踏み込んだ話題になるわけでもなく、これから同じ舞台で頑張っていく仲間として握手を求めます。

バターーーン!!!!
丁度2人が握手をしたタイミングで開かれたドア。勢いのある構図が面白い。
2人がいい雰囲気だったところに乱入してきたのは舞ちゃん。ここで、桜小路君からマヤに向かって舞ちゃんの紹介がされます。どうやらオンディーヌの後輩だそうです。
なんか久しぶりに聞いたなオンディーヌ。小野寺先生は元気でしょうか?ふたりの王女の時にも一応登場はしてましたけどね。

『今日は遅くなるかもしれないから待たなくてもいいといったのに』という感じで、マヤに対する態度とはやや違った感じ。少し強気。
どうやら2人はこの後飲みに行く約束があるようで、なるほど親密な関係なのかもしれないな。という感じ。桜小路君は舞ちゃんのママにも信頼されているようだし。
そんな2人の様子を見て、気を利かせてそそくさと退散するマヤ。
過去に自分に好意を寄せていた男性が、なにやら他の女性と親しくなっているようだった。そんな様子を目撃して、マヤの気持ちは……。

全然脈無しの予感
マヤの中ではすでに『色々あったけどいい思い出』のポジション。
一方。
実は舞ちゃんの言う『飲みに行く約束』というのはウソでした。そもそもそんな事舞ちゃんのママは許さないそうです。
では、どうして舞ちゃんはそんなウソをついたのか?
こんな事考えるまでもないですね。彼女は桜小路君が好きなのです。
桜小路君の想い人であるマヤが同じ舞台に出演するとなり、不安になる舞ちゃん。
『今でも好きなの……?』と震えながら桜小路君に尋ねます。

誰にでもいい顔をする
な~~にが『今では彼女とはライバルだよ』だ!!好きなくせに!!!
というわけで、彼には何か人を好きになる情熱という狂気が無い。この世界ではそんなぬるい生き様では食われる側に回るだけなのです。
今のままでは永遠の『やさしい人』ですが、どこかで覚醒するのでしょうか。
狼少女の特訓
桜小路君との仲が進展したりしなかったりのマヤですが、週刊誌で速水のお見合いの話を読んでしまいます。
これに全力で動揺するマヤ。ちゃっと前までの桜小路君とのやりとりとの対比がいいですね。全然違う。

自分の中に芽生え始める感情に対してとまどい、なんとついには速水に直接電話までしてしまいます。
本当は週刊誌の内容が正しいのかどうかを尋ねたかったのに、それを素直に出来ずに今度やる芝居の話と月影先生の捜索は順調かを聞いて電話を切ってしまいます。
これはもう恋する乙女。なんともいじらしい話ですね。

こうして、話の中に少しずつ恋の要素が入ってくる事になります。
一応、俺はこういう風に恋の要素が入ってくる事自体は嫌ではないです。桜小路君、マヤ、速水あたりの三角関係ならずっと見ててもいいんですがそれ以外の何か余分な物が混じってくるのが嫌なんですよね。まぁいずれ。
一方。
演出家の黒沼は、自身が所属する事務所の社長に『次に作る忘れられた荒野はぜひとも賞を取れるような売れる物にしてくれ』と頼まれます。
採算度外視で自分のやりたい事を詰め込んだだけの作品を作りたいという気持ちもわかりますが、それでも出資者がいる以上はある程度は利益も追及しないといけないのが世の中。
この社長の言う事が間違っているとは思いませんが、黒沼はそれが気に入らないようで。
『賞を取るために作品を作っているわけじゃない』と。
でもマヤは賞を取るための作品を選ばないと紅天女の資格が無くなってしまうので、今一番賞が欲しいのは実は主演のマヤなんですけどね。
黒沼先生の視点は、月影先生の元では見る事の出来なかった『大人の事情とのズレ』が見られて結構面白いです。月影先生は昔のパトロン疑惑のスキャンダルなんかはありましたけど、背景に速水がいたりで結構その芸風に肯定的な後ろ盾があったんですが、黒沼はそうでない。
でも、その『大人の事情』を演者サイドには見えないように努力している感じがします。『それはそれこれはこれ』として演者に不安を与えないように。
さて。
そんな黒沼組のマヤですが、これからはなにやらマヤのために与えられた部屋で隔離されながらの練習となるようです。
薄暗い部屋で『狼の魂の遠吠え』を要求されるマヤ。
しかしこれがなかなか上手く出来ません。
捕らえられ見世物小屋で出されていたジェーン。帰りたい。元いた荒野に戻りたい。家族に会いたい。

芸の肥やしというにはあまりに悲しい過去。自分の母親と理不尽に引き裂かれた経験が実際にあるわけですから悲しい。
こうして、母との思い出を思い出す事でマヤは魂からの人の心を貫く遠吠えを会得しました。
怖い人がいっぱい来る
こうして始まった隔離された部屋でのマヤの稽古。
マヤの部屋には様々な目的を持って色々な人がやってきます。
自分を捕らえにやってきた村人。捕らえられた先の見世物小屋の男。

首にはロープを巻かれ鞭打たれる狼少女ジェーン。
令和の世では絶対上映出来ないであろう過激な内容ですね。
そして見世物小屋から次はスチュワートの屋敷へと。
ここまで、様々な人の場を点々としてきたジェーン。スチュワートの屋敷ではオリに入れられ好奇の目線で注目されます。

ついに、人間に怯え始めてしまいます。
人間がこわい。
ジェーンを演じている間に心に刻まれたその感情に、演技を止めてもまだ余韻で人間に恐怖を感じるマヤ。
『役から戻ってこれなくなる』
これはよくない兆候ですよね。ガラスの仮面ではそこにスポットライトが当てられる事はあまりありませんが。他の作品ではここを大きな問題としていた物もあります。

違う作品で類似のテーマなのであまりその話をしないようにしようとは思っているのですが、大好きなんですねアクタージュ。もう連載が再開される事はないかもしれませんが。何も未完になりそうというところまでオマージュしなくてもいいのに。
それはともかく。
この作品ではそれを『良い傾向』として扱っています。ジェーンの感情を掴んだマヤ。黒沼の目に狂いはなかった。と。
黒沼がそこまで肩入れする北島マヤとは何者なのか?その正体に気付き始める者も出てきます。その実績も知られていく事に。
この世界でこの時点でのマヤの知名度がよくわからないですね。かなりでかいスキャンダルを起こした事があるので業界では有名人なのかと思ってたけどそうでもないのかな。
他にも、誤って毒を食べてしまい苦しむシーンではその苦しさを表現するために2分の息止めも披露します。意外な体力。

手を抑えつけられ、2分息を止める修羅場の演技を披露したマヤを気遣う桜小路君。
大丈夫?と歩み寄りますが、肝心のマヤは苦しかったけどそれ以上に嬉しそう。
これには桜小路君もドン引きです。芝居星人の言っている言葉が理解出来ない。何言ってんだこいつ。
しかしまぁこれがいわゆる普通の人のリアクションです。これまでがむしろ異常だった。
果たして桜小路君はこのインフレしていく演技バトルの世界感についていけるのでしょうか?
それから
ここまでで29巻の半分くらいです。ここからは、演技を通して徐々にではあるけど距離を縮めていくマヤと桜小路君。

マヤが友達として接するのに対し、時々男としての顔を見せる桜小路君。
まぁずっとマンツーマンで演技の練習をしていればそういう空気になる事もあるかもしれません。もしやこれはワンチャンあるのでは!?
しかし。

そこに届く紫のバラのひとからの花束と化粧ケース。フランスの一流品だそうです。
これを貰ってマヤは上機嫌。桜小路君を適当に舞ちゃんに押し付けてルンルンで帰宅です。
さらに、これまでの舞台での写真を集めた自作のアルバムを聖に頼んで紫のバラのひとに渡してもらうマヤ。もうすっかり紫のバラのひとに夢中。
アルバムの中に同封してあった手紙が落ちている事に気付き、それを持って聖を追いかけて速水に会うマヤ。そこで、ついにお見合いについて速水に聞いてみました。
『ぼくにはもったいないくらいの女性だよ』
速水にそう言われ、取り乱すマヤ。

恋と芝居の行方やいかに。
画像:「ガラスの仮面」コミックス29巻より引用
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