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【感想】ガラスの仮面39巻 魔が差す亜弓。しかし自分を取り戻し、ついに伝説の舞台の幕が開く

2024年2月21日

当ブログはその性質上、どうしてもネタバレを含みます。そんなの嫌だ!という方は十分に注意して読んでください。

あらすじ

思い直した亜弓は、マヤにはない自分の表現力に気づき、勇気を取りもどす。梅の谷へやってきた関係者たちの前で、いよいよ月影千草の「紅天女」が披露されることになった。

bookwalker作品紹介より

というお話です。作者は美内すずえさんです。

登場人物

北島マヤ:4つの試練を終え、ついに紅天女を演じるための練習を開始する。『紅天女とは?』という解釈に苦しむ。速水といい感じ。

姫川亜弓:4つの試練を終え、ついに紅天女を演じるための練習を開始する。腐ったつり橋を渡ろうとしたマヤを見殺しにしようとする。

感想

それぞれの紅天女。続々と集まってくる関係者

はい!というわけで今回紹介するのは『ガラスの仮面』の39巻です!

いよいよ残り10となりました!カウントダウン始まりましたね。

ストーリーとしてはどんどん核心に迫っていく一方、微妙に迷走を始めるというか時の流れがもったりしてくるんですよねぇ。面白いんですけどね。この辺はまだ大丈夫。

亜弓の心に魔が差す

マヤの天性の才能を間近で見続けついに心が折れてしまった亜弓。もうここにはいられないと東京に戻る事を決意します。

そして、せっかくなので最後に梅の谷を見てから帰ろうと思い谷に向かう途中で、里の人に教えてもらって谷に通じる橋が腐っている事を知ります。

どうやらもう一1回渡れるかどうかも怪しい程に板が腐っているようで、最後に見たかったけどこれも運命かと諦めようとする亜弓。

すると、そこに何も知らないマヤがやってきました。

そのマヤを見て、亜弓の心のスキマに悪魔が入り込みます。

『橋が腐っていることをわたしが黙っていればいい』

そうする事で、あの憎いライバルは自動的にこの世からいなくなるのです。

そして。

マヤはその腐った橋を渡り、本当に橋が壊れてしまいます。

下は谷。落ちれば確実に死ぬ高さです。この様子を見て我を取り戻した亜弓は大急ぎでマヤを助けに向かいます。

裏でどんな気持ちがあったのかはともかく、命の恩人である亜弓に満面の感謝の笑顔で返すマヤ。そらそうよ。マジで死ぬとこだったからね。助けてくれてマジ感謝。

さて。そんなマヤを見て、自分が今しようとした事の恐ろしさに震える亜弓。

不正な手段で役を手に入れようとする人など役者の風上にもおけないと、これまで心底軽蔑してきたのに。

自分の中にあった嫌な思い。醜い部分を自覚してしまった事で取り乱す亜弓。

マヤさえいなければ、自分の心は曇らなかったのに……!誇り高く生きていけたのに……!

このままでは。こんな気持ちのままでは自分は負け犬だ。負け犬になりたくない……!!

という事で。

強い誇りと高いプライドで気を取り直してまた紅天女に挑む事を決意します。

マヤを見殺しにしようとした→そんな自分はみじめで愚か→それは嫌だしそもそも今まで努力で手に入らなかったものなんかなくね?→絶対に勝つ!!!

というプロセス。前向きの権化。こういうところが努力の天才だと思いますね。そして、生まれつきの『持つ者』であるが故の傲慢。素晴らしいですね。適当に失敗して適当に挫折してきた人間ではこうなりません。

生まれつきの勝者。だったからこそ、自分の勝ちを信じて疑わないのです。そこに全賭け出来るのです。

それぞれの紅天女

気を取り直してまた紅天女を目指して頑張る事を決めた亜弓。

かといって、気持ちが切り替わっただけでまだ紅天女というものがわからないという事に変わりありません。

わからないなら聞けばいい。師である月影先生に『紅天女ってなんですか?』と聞いてみます。

あなた達はもう紅天女がわかっているはず

割と抽象的な概念の話ばかりになるので正直読んでてピンとこないというか、いや言いたい事はわかるんですけどね。『読むな。感じろ』という事なんですけど。

風とは?火とは?水とは?土とは?

改めて月影先生に問われる亜弓。

それに答える事で、自分の中の紅天女を作っていきます。

ギリギリ怪しいセミナー

そのうち『幸せを引き寄せるエネルギー』みたいな事を言い出しそうな空気も無くはないですが、こうして自分の中にある紅天女を見つけ始めた亜弓。

一方マヤは。

前回紅天女の練習をした時に掴んだ謎の感覚。その感覚は一体なんなのか。自分でもよく理解が出来ません。

ここでも、風、火、水、土について考えます。

なんだか壮大な話になってきました。

天女という人外の何かを演じるは難しい。という話です。色々壮大。こんなとんでもないスケールで物事を考えないと役者って出来ないのかと思わされます。

さて。

そんな、もはや森羅万象の化身ともいうような存在になりつつある紅天女ですが、そんな彼女が恋をした。これはそういうお話です。その恋のお相手とはどんな人物だったのか?仏師一真とは?

という事が気になったマヤ。

なんか、上手く文章で表現できないのですが、まさに万物の化身ともいうべき壮大で不思議な存在の紅天女なのに、それが『恋』といういたって身近で俗っぽいところに話が集約していくのが変な気分になるんですよね。

マヤや亜弓が『この人物は天女である』という説得力を舞台上で出すために死ぬ気で努力しているのに、じゃあ一真は『そんな天女が恋をしてしまうような人物である』という説得力を舞台で出せるのか?一真は神か何かなのか?と思ってしまう。

まぁそんな俺の感想はさておき。

紅天女の恋とは?を考えながらマヤが森の中を歩いていると。

超ド田舎の森の中でスーツでキメる野生のイケメン若社長

恋について本気だして考えている時に目の前に現れる速水。なるほどこいつは運命レベルでイケメン。

しかし。

それと共にゾロゾロやってきた小野寺&赤目(小野寺チームの一真役)&紫織。

小野寺&赤目のおっさんコンビが体力無いのは仕方ないにしても、紅天女の里に行くというのに山歩き用ではない靴でやってきてフラフラする紫織。速水と手を繋いで歩くところを目撃するマヤ。

何お前山舐めてんの?(好感度激低)

森の中でもなお美しい速水と紫織の2人を見て気おくれしてしまうマヤ。

どうやらチーム大都芸能の一行は梅の谷に行こうとしているようなのですが、そこに行く橋はもう壊れてしまったので行っても渡れません。

それを注意したいのにいけない。それを言いに行く勇気がない。なんともいじらしい乙女心ですね。

マヤがもじもじしている間に、偶然そこを通りかかった里の人によって橋が壊れている事を知るチーム大都芸能。梅の谷行きは諦めて、紅天女候補たちのいる場所を見に行きましょう。という事になりました。

その様子を物陰から見守るマヤ。

声をかけたいのに。あの人の事がこんなにも気になるのに。こんなにも切なくてくるしい……!

この自分の中の切ない気持ちに紅天女を感じたマヤ。

自然界を司るような天女が人間に恋をしたら?それはどんなに切なかったかしら?悲しかったかしら?

という事で、段々と物語の中心に『恋』という要素が強くなっていきます。『人が生きる』と書いて人生です。それを語る上で恋は欠かせない要素なのでしょう。

現代社会においてはエンタメも多岐にわたるようになってきたので、昔と比べると恋愛の占める部分もそんなに多くはなくなりつつあるような気もしますけどね。

集う人達

紅天女の恋。という事について考えて、そこからさらに『紅天女の日常』について考え始めるマヤ。

なるほど。これが令和の大人気少女漫画だったらそんなスピンオフギャグ漫画が連載されてもおかしくないですね。『紅天女の干物な日常』みたいな感じで、ジャージでこたつでダラダラしながら一真推し!みたいな紅天女を描く現代パロディ。全2巻(打ち切り)

紅天女はどんな遊びをしていたのかしら?と考えるマヤ。

山の中ターザンもどきで遊ぶ

こういう感じでつるが振れるという事は、その反対側にもそれ以上の勢いで振っているかその場から凄い瞬発力で飛ぶかしないとこうならない気がするのですが、結構エグイパワーが必要そう。

万物の化身である紅天女がこんな遊びをしていたかどうかはともかく、山遊びをするマヤ。そこに偶然フラっとやってきた桜小路君と衝突しました。どんな確率だよ。

どうやら桜小路君も梅の谷を見るためにこの地に来ていたようです。しかし橋は壊れているので谷には渡れない。とりあえず月影先生のところに案内するわという事になり2人パーティーの結成です。

しばらく歩くと、なんと偶然にも山籠もりをしていた黒沼と遭遇。

山の中で何か新しい価値観に目覚めつつある感じです。

こう、紅天女にしても演出にしても、壮大で高尚になっていくのは素晴らしい事かと思うのですがこれをエンタメに落とし込むのって大変そうですよね。

で、それ面白いのか?という部分でどうなるのか。そこに興味があります。個人的に。

これにて3人パーティーになりまして、チームとしては戦士、騎士、巫女。という感じでしょうか。前衛2枚の盤石編成。

別行動していたチーム大都芸能も月影先生の場所に辿り着いてここに紅天女役2名、一真役2名、演出家2名が揃いました。

自身のキャリアのここが最高潮になる可能性がありますから、誰もが相手に負けたくない。火花バチバチです。そして、なんとここで『本物の紅天女をお見せします』と宣言する月影先生。

ついに。ついに伝説の紅天女が見られるのです!

その前に、前座としてマヤと亜弓の紅天女お披露目タイムもありまして、その後初代紅天女を披露する。という流れ。

月影先生には相手役の一真がいませんから、基本的には1人芝居になるようです。

この知らせに衝撃を受ける一同。

伝説の厄介もやる気満々です。

これが現代であれば、この厄介は当日の舞台で何か犯罪行為をやらかす可能性がありますから出禁となるところです。

マヤの弱点

梅の谷で練習した時のマヤの紅天女の演技は凄まじく、見る者の心に残る演技でした。

それを見た後で演技をする亜弓はさぞ辛かろう。と心配する源造。

しかし。月影先生のジャッジは違いました。

自身の才能の無さに絶望し、一時は東京に帰ろうとまでしていた亜弓。しかし、月影ジャッジでは優位にあるのは亜弓だという。

『鈴を足に付けて歩く』という練習で、その意味が少しわかります。

基礎力の高い亜弓は鈴を足に付けて歩いてもその音が綺麗にリズミカルに鳴るのです。一方のマヤはどうしても歩き方が鈍いというかどんくさい。

そう。いくら本能で紅天女を理解してはいても、実際に演じるのは舞台なのです。興行としてやるのです。

いくら本能での理解力に優れていても、それを舞台上で『映える』ように演じるのは膨大な基礎トレと身体能力が必要なわけです。

ついにつけいるスキを見つけた

表現力。紅天女という人外の存在を信じさせる。そのに説得力を生むための身のこなしなどの表現力。そこがマヤにはまだ足りない。

一方の亜弓はそれこそ子供の頃からずっと努力をしてきた努力の天才です。これまでに費やしてきた時間は自分を裏切らなかった。

本能レベルでの理解力に優れるが表現力に乏しいマヤ。理解力には劣るが表現力は超一流の亜弓。

どちらも一長一短あるという事を自分達が自覚する事で、さらにライバルとしての気持ちが燃え上がっていきます。

お互いが闘争本能むき出しです。

これ食卓での一コマっぽくて、この下のコマでは2人ともお茶碗持ってバチバチやってるのがちょっと可愛らしくていいです。ライバル視するのはわかったからとりあえずご飯は仲良く食べなさい。

それから

ここまでで39巻の半分くらいです。

ここからは、より本格化していく紅天女の修行が描かれます。

自然の中で紅天女の気持ちを知る。天女の心を理解する。なかなか難しいですね。

そしてついに橋が修復され、梅の谷へ行けるようになりました。

ここで、わざとらしく弟子とその取り巻き相手にドヤる月影先生。

マヤ&亜弓と同じように足に鈴を付けていたのに動いても音が鳴ってなかった

『しっかり結んでいたと思っていたのに』じゃねぇよお前絶対わざとだろと言いたくなりますね。この次のページでは1ページぶち抜きでドヤ顔をする月影先生を見る事が出来ます。こういう上司マジでめんどくさい。

そして、ついに始まる梅の谷での3人それぞれの紅天女。

なんだか妙に距離が近くてイチャイチャしている桜小路君とマヤにジェラシー丸出しになる真澄。

義父と同じように暗黒面に堕ちないように祈るばかりですね。

亜弓、マヤの順で次世代の紅天女の演技お披露目が終わり、いよいよ真打登場です。

伝説の。本物の紅天女が、梅の谷に降臨するのです。

40巻へ続く。

画像:「ガラスの仮面」コミックス39巻より引用

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