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【感想】ガラスの仮面25巻 ついに月影先生が動く!地獄の特訓といよいよ始まる舞台

2024年1月11日

当ブログはその性質上、どうしてもネタバレを含みます。そんなの嫌だ!という方は十分に注意して読んでください。

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あらすじ

役の本質を気づかせるため、月影先生が二人に行った演技指導とは?そしてついに「ふたりの王女」の幕が上がる。演劇界のサラブレッド・姫川亜弓と北島マヤ、ふたりの闘いの舞台がはじまった。

bookwalker作品紹介より

というお話です。作者は美内すずえさんです。

登場人物

北島マヤ:『ふたりの王女』にてアルディスを演じる。役の自分のミスマッチに悩みながら、亜弓と生活を交換してみたりする。

姫川亜弓:『ふたりの王女』でオリゲルドを演じる。ダブルヒロイン作品の片方をこんな風に描く覚悟が決まっている美内先生は本当に凄い。

月影千草:『ふたりの王女』で皇太后ハルドラを演じる。今回、中途半端な演技を続ける2人に対して特訓を申し出る。

感想

久しぶりに見る月影流演技指導!法律ギリギリを攻める!

はい!というわけで今回紹介するのは『ガラスの仮面』の25巻です!ついに半分を超えました。

せっかくの正月休みなのでもっと更新頑張らないといけないのですが、なんかボールが画面をポコポコ飛び回るタイプのスマホゲーにハマってそれを見てるだけで正月休みはほぼ終わりました(マジ)

ではいきましょう。

紫の会食

ついに紫のバラの人から会食のお誘いがあり、そのための服やらなんやら一式までプレゼントしてもらい気合を入れて待ち合わせ場所に来たマヤ。

パっと見た感じだと、昨今流行りの『VIPに呼ばれてまさか何も無しで帰れると思ってないよな?』という状況みたいですが、この世界にそういうのはありません。いや、あるかもしれないけど。

というわけで、まず先に着いて1人待つマヤ。

そして、その様子を影から見守る謎の男(速水)

速水社長の指示で限界ギリギリのダーティーな仕事に手を染めている部下がたぶんいるだろうという世界で、当の社長はどこの馬の骨とも知らない少女のストーカーです。嘆かわしい。

速水が望めば金と権力でなんでも好きに出来るはずですが、そうはしないのが彼なりの男らしさであり武士道。その辺の線引きに関しては素晴らしいですね。

でもまぁまさか童貞でもないでしょうから、それなりに遊んでいるのかもしれません。しらんけど。

というわけで、ワクワクドキドキしながら待つマヤの前に、ついに紫のバラの人がやってくる!!

1ページぶち抜きの派手な登場コマの後に。

「奇遇だな。きみとこんな所で出会おうとは」

と白々しい事をいうピエロ速水。まだあまり自覚は無いですが、惚れた女のためならいい意味でなんでもする男。

我々目線で見れば感動の紫のバラの人との対面なわけですけどね。そこは言わない。どうやら速水は他の女優の方々とご飯を食べに来ていて、そこでたまたま偶然出会った。という設定だそうで。

しかも、本当に女優との会食自体はセッティングしているあたり真面目というかなんというか。

マヤからすればようやく初めて憧れの紫のバラの人との会食が実現しそうなのに速水など邪魔でしかない。さっさと目の前から消えてほしい。

でも、マヤが今日着て来たドレスを見てなぜかやさしい目を見せる速水……。気になる……。あの人のやさしい目が……。

ここでいう『やさしい』は、桜小路君に対するそれとは全然違いますね。悲しい事に。

そうしてしばらく会話をしている2人の元に1人の女性がやってきました。

やってきた女性の名前は北白川さん。どうやらこの場所には紫のバラの人からの招待で来たそうです。

この話を聞いて

「ほ……う!紫のバラ……」

というリアクションを見せる速水。自分で言ってて笑ってしまいそう。

北白川さんが言うには、どうやら最初はいたずらかと思ったんですけどお店に確認したら確かに予約されているし、丁寧な手紙と昔の自分の事をよく知っているらしい人物からの誘いだったのでとりあえず来てみた。という事らしいです。

そこで「ぼくもご一緒させていただけませんか?」と言い出し席も用意してもらい一緒に紫のバラの人待ちの会食に参加する事に。

やり方はともかく、まぁこの男はよくやってるよホント。なんか上手いサギの舞台裏を見せられている気分になりますね。やり手の男はこれくらい周到にやるよ。という事ですよ。ただハンバーガーを持ってくるだけの桜小路君とは違う。

それはともかく。

紫のバラの人こと速水の仕込みで始まったこの会食に北白川さんが呼ばれた。という事は、この方はなにかしらマヤにとってメリットになる何かを持っている。という事です。

そういえば北白川夫人は昔オペラでアルディス姫の役をお演りでしたね

そう。この北白川さんは、過去にオペラの舞台でアルディスの役を演じた事があるという経歴の持ち主でした。

速水っ……!!お前っ……!!!

涙ぐましい配慮ですね。過去、速水自身の至らなさからマヤの母を死に追いやりその出会いを妨害したという事があったわけですが、それはそれとしても本当によくやってるよ。

行き詰ったマヤの演技の成長の何かキッカケになれば。そういう想いがあったであろうわけです。そこに、紫のバラの人からカードが届き

『彼女はきっとあなたの役にたってくれる事でしょう。すてきな夜をすごされますように……あなたのファンより』

というカードが届き、どうやら紫のバラの人は今日この場には来ないんだという事を悟るマヤ。

その事に気付き思わず涙します。そして、それを複雑な表情で見守る速水。なんと不器用な。

アルディスを学ぶ

紫のバラの人はどうやら来ない。という事になりましたが、それはともかくここにこうして北白川さんを呼んでくれた紫のバラの人の好意を受けて会食は続行に。

そしてナチュラルに始まる速水による北白川さんの紹介。

ただアルディス役を演じた事があるというだけでなく、オペラ界の花形であったという事らしいです。それを聞いて謙遜するでもなく自然に受け入れているという事は、どうやら本当にそれなりに大物であるよう。

実質は最初の予定から誰1人欠ける事なく会食が始まったわけですが、当然話題はふたりの王女に。

マヤは、北白川さんに素直に自分が今ぶち当たっている壁について話します。

マヤの悩みを聞いて、自分がはじめてアルディスをやったのは31の時でしたよと言う北白川さん。

「31…!そんなに…!!」

そんなに?その続きは覚悟を持って喋れよ?戦争になるぜ?

若干失礼な感じのマヤの返答にも特に何を言うでもなくにこやかな北白川さん。いい人だ。

今のマヤみたいに若くもなかったし可愛いお嬢さんでもなかった。と語る北白川さん。

じゃあ何か特別な稽古でも?

と返すマヤ。そこはちょっとでもなんかフォローしてあげてほしいとこですが、演技に対して前のめりな少女にそんな気遣いは出来ません。

そんなマヤの質問に

『特別な事は特に何もしていない。ただ、自分はアルディオスだと信じて舞台に立っていただけだ』

と北白川さん。

北白川さんは、まず最初に綺麗なバラをマヤに渡し『これを持って綺麗なバラだと言ってみなさい』と言います。

次に自分で握りつぶしたバラを持たせ再び同じ事をさせ、汚いバラを見て言ったそのセリフはウソに聞こえると言われてしまいます。

そして最後にもう一度。

先を切ってもうバラの花が無い茎だけを渡し『舞台にたったつもりでもう一度言ってみてくださる?』と。

これが演じるという事よ。と教えを受けます。

即興でまずこれが出来るマヤは素晴らしいですね。

そして、感覚の再現。自分の本当の感情を素直にさせればそれは説得力があるのだ。

なるほど。メソッド演技というやつでしょうか。少し事情があってもう続きは読めなくなってしまいましたが、俺が今でも大好きな別の漫画でもこのメソッド演技の天才の少女が登場する作品があります。

『王女の心をもってふるまえばどんな動きもそれらしく見えるのよ』

と最後にアドバイスを受けました。あとの問題はその『王女の心』をどうやって手に入れるのか?という、最初にして最大の壁が残りました。

ついに巨匠が動く

生活を交換し、さらにオペラの花形に指導を受け、それでもなお迷走するマヤ&亜弓。どこか上辺だけを演じているような。いまいち気持ちが乗りません。努力はもちろんしていますが。

その2人の様子を見かねて、ついに月影先生が動きます。

自分の練習の出番になった時に『こんな中途半端な役者が相手では練習する気が失せるから今日は帰る』とか言い出し、いかにも厄介な大御所の空気を見せつけた月影先生。現場の緊張感たるや。

部屋から去ろうとする月影先生を呼び止め、その結果が上の画像です。ここから久しぶりの月影流が見られます。

俺はこれを待っていた!!!!

しばしの準備時間の後、ついに月影先生による特訓が始まります。

そのメガネはご自身の性癖か何かで?

マヤ、亜弓その両名はそのままの普段着であるのに対し、なぜか『なぞのメガネ』と『りっぱなつえ』を装備して登場した月影先生。

こうする事で気分が乗るんですかね。ちなみに、一応この2点は本当に月影先生の衣装です。別にこの時のためだけに用意した物とかではないです。

ここから始まるのは、月影先生ではなく『皇太后ハルドラ』に対して、アルディスとオリゲルドとして会話をしてみろ!という特訓。

完全に悪い魔女

洞窟の奥で大釜で謎の怪しい薬を調合してるタイプのやつですね。得意な魔法はギラ系。

そんな『まほうおばば』こと皇太后ハルドラと会話をするマヤ&亜弓。ラーの鏡を使うタイプのイベントの予感。

外から見ると何かのコントかと思うような装いですが、実際はそうではありません。この特訓での課題は『あなた達はどこまで自分の役について掴んでいるのか?』を試す事です。

ハルドラから次々と質問を受けるアルディスとオリゲルド。

途中渾身のベギラマが放たれたりもしました(ウソ)

好きな動物は何か?妹のアルディスの事をどう思うのか?ラストニア国のことをどう思っているのか?国王陛下としてのお父様の事をどう思っているのか?

斬首された母の事をオリゲルドはどう思っているのか?アルディスには、王女として反国王派についてどう思っているのか?

などなど、動物の好みから政治についての意見まで、それぞれの役としてどう考えているのかを訪ねる皇太后ハルドラ。

それに対し、ほぼ何も答える事が出来ない2人。

上司に詰められている時の俺と同じ顔で立ち尽くす2人。

令和の世では完全にアウトなパワハラの空気感で倉庫内は絶対零度ですが、そもそもこの2人は一般サラリーマンを目指しているわけではありません。

演劇界においてトップになった大女優と、それを目指す2人なのです。多少パワハラに見えようが関係ありません。これが、トップを。何かの業界の最先端を目指すという事なのです。厳しくて当たり前。この狂人ムーブこそがガラスの仮面の真骨頂と言えます。

とにかくな~んもわかってない。この中途半端な2人を少しの間わたしに預けてほしいと申し出る月影先生。

それを快諾する風魔先生。

俺にはわかる。この人はたぶん『なんでもいいから早くこの場から帰らせてくれ』と思っている。絶対に。

そしてはじまる月影ソウル

こうして、マヤと亜弓は月影先生預かりになり稽古を受ける事になりました。

なにやらどこかに移動する事になり、2人が連れて行かれた場所とは?

シンプルに意味不明

なぜか、精肉店の冷凍庫に連れて行かれました。冷凍庫で一体なんの特訓をしようというのでしょうか。

まさか入れというわけでもなし……。

そのまさかです

チェーホフの銃という言葉があります。その舞台にとって意味が無い物であるなら舞台上に存在してはならない。という創作における表現のルールの1つです。

そう。冷凍庫が登場した。ならば入るのです。当たり前ですね。入らない冷凍庫が作品内に登場してはいけません。

突如冷凍庫に閉じ込められパニックになり助けを求める教え子。それに対して、ゴリッゴリの精神論で押し返す師。

どうやらマヤと亜弓の演技には『気温』が足りないようです。なるほど?さすが?一流の女優はいい事言う?

わかりません。我々は今演技星人のやりとりを見ている。これが世界の最先端ならば、俺は一般サラリーマンの人生に悔いなどない。

今回2人が演じる劇の舞台となる『ラストニア』という国は北欧の国らしく、相当に寒い。

なんか『だといいます』とか『なるという話です』とか、微妙に根拠が怪しい話し方の月影先生ですがとにかく。

この冷凍庫内で極寒のラストニアの気温を掴めと。それがどういう世界なのか身を持って感じろ。というわけですね。何も精肉店の冷凍庫でなくともそういうテーマパークとかありそうですけど、そういう場所ではこんな非合法の特訓出来ませんからね。

というわけで。

事前になんの知らせもなくいきなり強引に冷凍庫に閉じ込められる事になった2人。これが金田一かコナンの世界なら間違いなく2人はアリバイ工作のための時間差トリックに使われる死体に変わるわけですが、そうでなくてよかった。

どうやら冷凍庫内はマイナス22℃という極寒であるらしく、ボーっとしてたらマジで死ぬ。というわけでなんとか寒さをしのがないといけません。もはや演技どころではない。

紅天女になるって大変なんだなぁ(棒)

ラストニアという北欧の国で生きる2人の王女を演じるために、冷凍庫でおしくらまんじゅうとマラソンに励む2人の女優。

壮絶です。意味がわかりません。

どれだけ体を動かして誤魔化そうとしても、現実問題今の気温はマイナス22℃。ついに亜弓が体の不調を訴え始めます。いよいよ、死が見える。

寒すぎて冷気が肺の中に入って苦しい。さらに、手も足もしびれて感覚が無くなってきた。

そこで、さぁ!!!機は熟した!演技をやってみろ!!!!!!と言い出す月影先生。

俺が中の2人なら、お前外出たら覚えとけよ絶対許さないからな!!と思うわけですが、素直に演技をする亜弓。

冬の、極寒の気温を知った亜弓の心が、魂が乗った名演技。

その演技を聞き、ついに開け放たれる冷凍庫の扉。

「さぁ出てらっしゃい2人とも」

と声をかけ、そこから出るように促す月影先生。

「お前!!!絶対許さんからなぶっ〇してやる!!!!」

とならないのがこの世界の狂気。先生に言われるがままに外に出る2人。なるほど。こうして洗脳されていくのか人は。

出て来た感想を聞かれこのコメント。自分をヒドイ目に合わせた先生に対する恨みなど微塵もありません。よほどの聖人かアホかのどちらかです。さすが芝居星人。こういうノリが俺は大好きです。

ここで、マヤにアルディスのセリフをやってみろと指示する月影先生。

そこで表現されるのは春のあたたかさ。春の女神の娘でありたいと願うアルディスの心。

これが、感情の再現であると。

冷凍庫内でやった亜弓の演技には、冬の寒さ冷たさに閉ざされたオリゲルドの心が。

外に出た時にやったマヤの演技には、暖かさと安らぎに包まれた春の心が。

それぞれが、実感を経て説得力のある言葉となったわけです。

なるほどこの理論でいけばいつか人を殺す練習をさせられかねない恐ろしさがあるわけですが、とにかく。

言ってわからないなら体で覚えろ!昭和の価値観を地で行く月影流の教育が今ここに終わったわけです。

特訓が終わりしばし喫茶店で談笑する3人。そして、去り際に『一週間後にテストをします』と、課題を言い残して去っていく月影先生。伝票を持って出ているので、たぶんお代は月影先生持ち。ゴチになります。

それから

ここまででなんと25巻のまだ半分にも到達していません。今回個人的に見所たくさんなので書きたい事がたくさんあるのですが、あまり長いと読んでても困るのでここからは省略モード。

というわけで、魂の中に刻まれたそれぞれの『温度』を持ち帰りさらなる役作りに向けて努力する2人。

マヤは、北白川さんがやっている聖歌隊の合唱の練習を見学に。

そこでの会話をヒントに、自分なりの『アルディスとしての感覚』を掴む練習に。

一方の亜弓は、顔にヒドイメイクをして夜の路地裏を徘徊する日々に。

誰もその顔を見て姫川亜弓だと気付く人はおらず、行く先々の店で煙たがられ追い出される。

あげくの果てには身に着けた高級品の時計を見られ路地裏でひったくりに絡まれるもこれを見事に撃退。

山賊崩れみたいな風貌の女性3人を瞬殺。亜弓さんは喧嘩も強い。即座にビール瓶たたき割って凶器に使おうとするとか場慣れしてる。

とにかく、両名それぞれの稽古に励むのでした。マヤと亜弓の落差が凄い。

そしていよいよ迎えた月影先生からのテスト当日。果たして2人の結果やいかに!?

その後、ついに舞台は始まります。

ここから始まる、天才女優2人の壮絶で素晴らしい演技の舞台。文字も多いし上手に感想を書くのがとても難しいシリーズですが、物語の山場でもあるし非常に面白い部分でもあるのでぜひ今これを読んでいてまだ原作読んだ事ないよ!という方は買って読んでみてほしいです。

26巻へ続く

画像:「ガラスの仮面」コミックス25巻より引用

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