【感想】ガラスの仮面46巻 目が見えない亜弓の特訓と始まる紫織の粘着
あらすじ
嫉妬にかられていく真澄の婚約者紫織。その想いはついにマヤへの嫌がらせとなって襲いかかる。どうにか誤解を解こうと真澄の所に行ったマヤだが、そこで暴漢に襲われ、マヤをかばって真澄は…。
bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は美内すずえさんです。
登場人物
姫川亜弓:倒れてきた照明が頭に当たった事により体調に異常をきたす。今のところ一番ヤバイ症状は『時々目が見えなくなる』事。現在作中で一番ガラスの仮面をしている。
北島マヤ:ひたすらに男女のもめごとを繰り返す。芝居の稽古?しないが?
感想
いよいよ紫織がやる気出してきた。紅天女はどんどん遠ざかっていく
はい!というわけで今回紹介するのは『ガラスの仮面』の46巻です!
これを今みなさんが読んでいるという事は、これを除いて残り3巻です。いよいよですね。
亜弓の壮絶な特訓
段々と目の調子が悪くなっていく亜弓。しかしそれが紅天女の試演まで絶対に周りにバレないようにしないといけないので、覚悟を決めた姫川親子が特訓です。
大理石で出来た部屋の床に大量のキャンドルを敷き詰めた部屋。ここで目以外の感覚を鍛える特訓の開始です。
まずは耳。どんな音も聞き逃さない。その音がどこからきたか。どんな種類の音か。
そして嗅覚。どんな匂いがどこから流れてくるか。匂いというのは空気の流れでもある。匂いで人や物を知りなさい。
全身の触覚を働かせなさい。皮膚で感じる温度や湿度。空気の流れ……。
視覚を除く、それら全てが今の亜弓にとっての現実世界なのです。
というわけで、まずは『今落とした物は何か?』を当てる特訓です。
まずは缶詰。これは『何か固くて重い物』と答えました。なかなか近い。次に雑誌。それから鍵。これは間違えました。スプーンだと答えた。
そして次はタオル。その次の物は落とした時に音がしませんでした。なんだこれ?もう1度落とす亜弓の母。今度は嗅覚に意識を集中する事でそれが菊の花だとわかりました。
ここまでは初級編。実際の世の中には全て動きがあります。世界に存在するのは自分だけではない。事情を知らない他の多数の人を欺くためにはこんな『今落ちた物が何か?』だけがわかったところでなんの意味も無いのです。
特訓は次の段階に。
部屋の中でヘアピンを投げる亜弓の母。
壁に向かって勢いよく投げると、壁に当たってそれが跳ね返って天井や床に当たります。その音を頼りに、どこに飛んでどこに落ちたのかを理解する特訓です。
『そうよ亜弓!あなたの目線は音の場所に合っている!そうやって音を観るのよ!』
視界を失った亜弓はこれからは音を頼りに物の方向や距離感を観るのです。この時に方角や距離感を間違ってしまうとすぐにバレてしまう。難しいところです。
投げたヘアピンを拾ってほしいと指示する亜弓の母。
足元には火が付いた大量のキャンドル。しかも亜弓は目が見えない。その条件で、どこに落ちたか正確にはわからないヘアピンを拾う。仮に目が見えていても怖い状況ですね。
その中で、歩く。何も考えないで歩いてしまっては足元にあるキャンドルで火傷をしてしまう。音のした方向を目指して、さらに足元にある火を感じながらその火が無い場所を。温度の低い場所を感じながら歩く。
時には足で引っかけてキャンドルを倒したりもします。でも床は大理石。燃え広がる事はないので大丈夫。流石姫川家。超金かかってる。床が総大理石だと、キャンドル倒しても燃えないかもしれないけど傷付きまくりそう。
そうして何度か同じ特訓を繰り返す事で色々な事に気付いていきます。
まずは『ヘアピンが空気を切る音』に気付きます。これまでの亜弓は、ヘアピンがどこかに当たった時の音しか聞いていなかった。
でも実際は、飛んでいる最中にもヘアピンが空気を切る音がするのです。
今までは見える物に惑わされて少ししか音を聞いていなかったんじゃないのか?もしかすると、世の中には今まで気付かなかったもっとたくさんの音があるのでは?
次に気付いたのが『火の流れ』です。
亜弓が動けばそこに空気の流れが出来て火が動く。
風。そして火。何か大切な事に、大切な感覚に気付き始める亜弓。徐々にですが覚醒が始まっていきます。
この部屋は窓が開いているので、ボーっとしていると風で火が流されて足を焼きます。そうなる前に、足が火傷だらけになってしまう前に風の流れを感じで動く必要があります。
全身で全てを感じて、全身全霊で歩く。
かすかな風。音。匂い。温度。空気。それら全ての流れをつかんで、絶対に紅天女になってみせる!!
北島マヤには渡さない!!!!
凄まじい執念と覚悟とプライド。いいですね。努力の天才姫川亜弓。応援したくなります。本当に壮絶な特訓なのでぜひここは読んでみてほしいところ。
昼ドラが始まる
どんどん目が見えなくなっていくというかなり深刻なハンデを背負いながらも、紅天女になりたいマヤに負けたくないという一心で過酷な特訓を繰り広げる亜弓。
一方、そのライバルのマヤは。
3ページほど芝居の稽古をしまして(そのうち1ページは桜小路君の脳内お花畑シーン)稽古場に紫織が登場。
これにて稽古は終了です。
亜弓の壮絶な特訓風景が20ページ以上あったのにこの落差よ。
これまでそんな単独で稽古なんかわざわざ見に来るような感じでも無かったのに、紫織は一体急に何しに来たんだ?と思うわけですが。
負のオーラ全開
速水の別荘を無断で捜索した結果、速水=紫のバラのひとだという事を知った紫織は、速水にとってマヤがとても大切である事に気付きます。
そして。そんなマヤに対して憎しみを燃やしていきます。わざわざ稽古場に来るくらいにはマヤの事が憎い。
なんとしてでも、速水がマヤを見るのをやめさせたい。速水の心からマヤを追いだしたい……!!
というね。マジでくだらない流れなんですけどね。
この辺りから、かなりの濃度で『鷹宮紫織』という不純物がこの世界に入ってきます。最初から言っていますが俺は紫織が嫌いです。
恋愛をするなっていうんじゃないんですよ。そこはいいんです。むしろもっとやってもいいくらいです。
ただ。俺はマヤと速水の恋愛が見たいんですよ。お互い不器用ながらも少しずつ歩み寄っていって、なんかちょっとずつイチャイチャしているその様子なら別に5冊くらいずっとそれでもいいんです。
少し前にあった雨の中の神社で朝まで一緒に過ごした話とか、最高にキュンキュンしました。ああいうのが読みたい。
でもそこに紫織が登場する事で一気にくだらない話になっていくんです。本当にマヤと速水がくっついてしまうと物語の1つの大きなテーマが終わってしまうので、そうさせないために反発するための要素として登場した舞台装置みたいな感じがするんですよね。
まぁ、何が言いたいのかはここから少しずつ見ていきましょう。
さて本題に戻りまして。稽古の休憩時間になったマヤをちょっと外に連れ出す紫織。喫茶店で話し合いです。
デカい指輪を見せてマウントを取っていく
紅天女に向かって一生懸命練習しているマヤをわざわざ喫茶店に呼び出して、なんの用か聞かれたら最初の言葉が『わたくし紅天女の試演が終わったら大都芸能の速水真澄さまと結婚しますの』とか、なんだそれ?自慢しにきたのか?意味がわからん。
しかもデカい指輪をこれでもかと見える位置に出しといて、それを見たマヤに『あら?どうかして?』とか言い出す。いやいやいやいや。マジでお前何しに来たんだよ。
一応、今回マヤを呼び出した理由は『なんとしても大都で紅天女を上演するという速水の夢をかなえてあげたいから、どうか速水を許してやってほしい』とかなんとかいうお願いをマヤにするために来た。らしいです。
しかし。これは建前です。本当の目的は別にあった。
紫織側の都合でそろそろもう時間が無い。という事で、マヤがそそくさと帰ろうとしたところを紫織が引き止めます。その時に、マヤのカバンが落ちて中身が床に散らばります。
それを、拾うのを手伝う紫織。
その時にこれでもかと見せびらかしていた婚約指輪をマヤのカバンの中に入れました。
そう。紫織が今日ここに来た真の目的はマヤに婚約指輪泥棒の罪をなすりつけるためです。
紅天女をやれよ!!!!!!!!!
帰ってカバンを見た時に、なぜか紫織の指輪が中に入っている事に気付くマヤ。なんだこれ?なんでこんなとこにこれが?意味わからん気持ち悪いですよね。
一方、婚約指輪を失くしてしまったと速水に泣きつく紫織。
マヤが紫織の指輪の話ばかりしていた。目を輝かせてみていた。そしていつの間にか指輪がなくなって……。まさかあの子が……。
なんだこの茶番は。
この巻の冒頭では目の見えない亜弓が凄まじい特訓をしてたんだぞ。それがなんだこれは。なんでこんな事になった。俺は何を見せられているんだ。亜弓に謝れ。マジで。
紫織のこんな怪しい妄言を速水が信じるわけもなく。とにかくこの場は流れました。
そして後日。
なぜか自分のカバンの中に混入していた紫織の指輪を返そうと、紫織がウェディングドレスの試着をしている会場へとやってきたマヤ。
受付で通されて、ドレスを試着中の紫織と話をします。
そこでまぁ、なんやかんや会話がありまして、紫織が『ちょっとそこにあるジュースを取って持ってきてくださらない?』とマヤにお願いします。
それを受けてジュースを持って紫織の近くに行くマヤ。
すると、そこで紫織が突然よろけて……。
ジュースで汚れたドレス。そして悲鳴をあげる紫織。
何事かとたくさんの人が駆けつけ、責められるマヤ。動揺したマヤが手に持っていたカバンを落とすと、なんとそこからはどこかに失くしたはずの紫織の指輪が……。
なんだこれ。マジでなんだこれ。
マヤのカバンから指輪が出てきた事で、みんなと一緒になってマヤを責める速水。お前魂のかたわれがどうとか言うてたのに、いきなりここでマヤを1ミリも信用しないでキレるとかどうなってんの?魂のかたわれが薄っぺらくない?
紫織がマヤをハメようとするのはまぁ1億歩くらい譲って理解するとしても、そこで一切マヤをかばわない信用しない速水はそれはどうなんだと思うわけですよ。
こういう言い方はあれですが、とにかくその時その時の場面の都合でキャラの好感度というか信用度がコロコロ変わり過ぎる。マヤの事が好きモードの時はもう何があってもマヤの事が気になるみたいに言うのに、いきなり全部手のひら返して好感度0信用度0になる。
これでは『魂のかたわれ』に説得力もクソもない。ウソじゃん。その場の勢いで言ってるだけじゃん。全然命もかけてないし魂もかけてない。
で。
速水に激怒されたマヤはその事がショックでメソメソと泣きます。
なんも悪い事してないのに大人にめちゃくちゃ怒られた
言いたい事はわかる。全然上手く噛み合ってない。それはわかるし、カスなのは紫織とマヤを1ミリも信用してない速水。でもよ。
紅天女をやれよ!!!!!!!(2回目)
それから
ここまでで46巻の半分くらいです。
ここからは、紫織が紫のバラに執着してハサミで切り落としまくったりします。まだまだこれから始まる紫織の愚行。マジで嫌い。何度読んでも好きになれん。
そして、ついに誰もいない別荘での生活から外に出てきた亜弓。
空気の流れ。匂い。音。それらを以前よりも敏感に感じ取れるようになった亜弓。
次の特訓の場所は広い倉庫でした。
おう。マヤとその関係者は亜弓に謝れ。
他には、マヤの元に以前マヤが紫のバラの人に送ったアルバムの写真がバラバラに切り刻まれて送られてきます。しかも『女優としてのあなたに失望しました』とかいう内容の手紙付きで。
当然速水がこんな事をするわけもなく。このアルバムを別荘で見つけたのは紫織なので犯人は奴です。マジでクズです。どうにもならん。
この事でショックを受けたマヤは、速水の元へと向かいます。
呼び出すわけでもなく、乱入するわけでもなく。ただ外で速水を待っていたマヤ。そして、それに気づいた速水。必死に先日の事を弁明するマヤでしたが、そこになんと速水を憎く思う人達からの刺客としてチンピラが登場。
チンピラからマヤを守るために自ら盾になる速水。そんな速水に心を打たれ、今度こそ速水を信じていく決意をするマヤ。
うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっぉぉ!!!!!
こういうのならナンボでも見たいわけですよ!
速水を信じると決め、心の平穏を取り戻したマヤ。
しかし。今度は稽古中のマヤと黒沼の元へ紫織の世話係をしているとかいう滝川という女性が現れ、小切手で手切れ金の1000万円を置いていきます。
黒沼はこれに激怒。
こんなもん受け取ったらお前の非を認める事になるんだぞ!今すぐこれを叩き返してこい!!!!と、紫織の居場所を調べてマヤに教えます。
紫織の居場所は港。どうやらアストリア号という船に乗る予定らしいのですが……。
このアストリア号での話は俺個人的には凄い好きなのでワクワクしますねぇ!楽しみですねぇ!!!!
47巻に続く。
画像:「ガラスの仮面」コミックス46巻より引用
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