【感想】アンデッドアンラック 7巻 ビリーvsジュイスからのサマー戦!
あらすじ
激闘の末、オータムの捕獲に成功したアンディと風子。報告を受けたジュイスはビリー説得に赴く。だが互いに譲れぬ想いを抱えた二人に、剣を交える以外答えはなく…。一方シェンの前に現れたファンの正体が明らかに!?
bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は戸塚慶文さんです。
登場人物
アンディ:『不死』の否定者。アンダーのメンバーであるリップ達と協力してオータムを捕獲する。
風子:『不運』の否定者。アンダーのメンバ達と共にオータムを捕獲する。
リップ:『不治』の否定者。今回登場当初は子供姿だったが、安野がアーティファクトの能力で具現化した『ライフイズストレンジ』によって大人に戻る。
感想
vs季節の第2戦!今度の敵はサマー!
はい!というわけで、今回紹介するのは『アンデッドアンラック』の7巻です!
特に言う事もありませんのでサクサクいきましょう!
6人の勝利だ
安野と、アン風&アンダーの活躍により見事オータムの捕獲に成功しました。
アンデラの凄いところの1つだと思うんですが、ここに至るまでのフリはそこそこ長いわけですよ。安野の能力でアンディの過去に行って、そこでアン風で旅をして戻ってきたら次はリップを大人に戻すイベントや安野の過去回想があって。
まぁ、それでも他の漫画に比べれば濃度はあってもそんなに長いというわけでもないテンポ感なんですが、そこからさらに、ボスであるオータム戦。これが短い。
『これだけの条件が揃ったらあとは勝つだけ』という状態になったら、残りの消化試合をダラダラと見せたりしない。過程と、それが実ったところに全力を注ぐスタイル。あくまでオータムはそのための舞台装置。
なんならただの経験値稼ぎとして使われただけまである。一応季節を司る地球にとって超重要な立ち位置なのに。
とにかく。安野(の分身)という犠牲があったものの、オータムを捕獲。これにて今回のミッションは達成です。
その後、協力してくれたリップにお礼を言う風子。オータム戦では息も合ってたし、やっぱりこれからも協力して……。という風子のお願いをリップは拒否。
とにかくリップはアークが欲しい。そして、アークを手に入れてライラという少女を救う。その目的のためなら全てを賭けられる。
愛重めのイケメンですね。読者に自分との夢を見させないスタイル。俺はこの漫画の『公式でガッツリカップリングが決まっている』というスタンスが大好きです。
アン風のカップルとはまた違った形のこの関係。今後どうなっていくのか今の俺は知っているわけですが、この当時ではあまりわかる事もありません。
協力してオータムを倒し、捕獲したコアをユニオンにくれたリップ。借りも出来たし構わねぇよとのこと。
結局のところ、リップ目線で見れば最後の瞬間にアークを使えればそれでいいので過程にはそんなに興味無いのかもしれません。むしろ早く話が進む方が楽でいいのかもしれません。
能力を使い砕け散ってしまったGライナーもラトラが回収してくれました。結構いい人達。
安野は……何だったんだ?
安野に対して尋ねるリップ。リップは安野の推しでしたからね。こうして気にしてもらえるのは嬉しいでしょう。まだ死んではいないですが、それでも外の世界との関わりを一切捨ててみんなを助けた、その漢気はみんなの記憶に永遠に残る事でしょう。
その後、記憶の世界から出て来た後の疲労感で倒れるアン風。色々ありましたがとにかく強くもなったしオータムも捕獲した。ミッションはこれにて完遂です。
サマー
オータムとの戦いの顛末を聞いたジュイス。どうやら未来と過去の情報を知る方法に心当たりがあるようでした。
UMA『インフォメーション』の捕獲というミッションの報酬で『現存するアーティファクトのどれかに過去未来の情報を一度だけ付与』というのがあって、そのアーティファクトに触れた安野が情報を手に入れ、その代償として『不能』の否定能力を付与された。という事のようです。
『インフォメーション』というと『(情報の)通知や伝達』という意味ですが、それが無かった世界はどうやって成り立っていたのでしょうか。言語はあるが伝達という概念が無い世界とかも存在する可能性があるわけで、想像つきませんね。
まぁそんな話はともかく。見事オータムの捕獲に成功したアン風の次なる仕事は台湾にいるUMA『サマー』の討伐です。
今回は捕獲ではなく討伐。
中途半端に捕獲するより、思い切って討伐の方がミッションとしては楽そうな気がしますね。
さて。アン風が来るまでの現場の指揮権をシェンに渡し、どこかへ出かけるジュイス。その行先は。
UMA『ウィンター』の前にいるビリーの元へとやってきたジュイス。
めちゃくちゃ寒そうな場所ですね。寒いのは苦手なので、この場所で当たり前のように屋根壁の無いところで休憩しているビリー凄い。
ビリーはUMA『バーン』を所持しているので、ウィンターを倒そうと思えばいつでも倒せる。
現在のビリーの目的は、このまま四季の課題を続けていき最後にウィンターが残るような状況を作り、ジュイスに交渉する事です。
最終的な報酬受け取りの段階になった時に、このままだと円卓が無いユニオンは報酬を受け取れない。だから、アークと円卓を交換しろ。と。
なるほど。もしここでユニオンが開きなおって『んじゃ報酬なんかいらねぇよ』となったらどうなるのか気になるところではありますけどね。
それがわかってここに来たという事は、交渉に応じるという事か?と切り返すビリーに対して、ジュイスの主張は『もう1度手を組めないか?』というものでした。
これを書いている今の俺はこれからの展開がどうなるか知っているので『ふ~ん』という感じに読めますが、リアタイで読んでいる時はこの辺があまりピンときませんでした。
上手い事言えないんですが、言いたい事はわかるけどわからん。という感じなんですよね。
神を討伐するという大目標を達成すれば一応のハッピーエンドに向かうように思える。だからそれを目指すユニオンの気持ちは理解出来ます。
一方アンダーは、アークを狙う事に固執しています。アークとは『世界をループするための道具』であるとした場合、つまりアンダーは今回のループを諦めている。
それはつまり、例え次周に行ったとしても結局は課題の先延ばしでしかないのではないか?と思うんです。
でも、事態がこんなにもこじれているのはなぜか全てを内緒にしよう内緒にしようとするジュイスにも原因がある。最初から全てを正直にみんなに話していれば、無用な衝突は避けられたのではないか?
しかし、それを話してしまうと今度はアークを狙う輩が続出するのでは?……という、その辺のやりきれなさでモヤモヤしながら読んでました。
そして、ここで新たに開示される情報。
報酬で手に入るアーティファクトは全て神が神を倒すために作った武器なんだ
なので、報酬はビリー達にも必ず必要になる。我々はもう1度手を組むべきだ。と。
神が神を倒すために。ドMなのでしょうか?どうして、わざわざ自分を倒す可能性のある武器を用意するのでしょうか?
『こういうアイテムがありますよ。これを手に入れるために犠牲は必要ですが、上手い事使えばラスボスにも勝てるかもしれませんよ』という言葉でプレイヤーを釣って沼にはめるという事なのだと思いますが。
個人的には、こういう流れを見るたびにヴァルキリープロファイルを思い出します。思い出すと同時に『俺は絶対騙されないぞ裏切りやがってボケカスが!!!』という気持ちにも支配されます。システムに裏切られた。
手に入れたアイテムを献上しない。という意味では、真ルートに向かっているわけですけどね。
それはともかく。それを聞いて、なぜそれを知っている?と聞いてくるビリー。アークに乗らなければわからない情報で、アークの存在を隠していたから今まで言えなかった。とジュイス。
さらに続けてもう1つ。
アークのエネルギーが切れかけている
ジュイスによると、どうも次回の周回でもう終わり。次はたぶんない。という事でした。
アークのエネルギーってなんぞや?と思うわけですが、これまでやってきた第一人者が『今回でもう終わりかも』と言っているのなら、それを信じるしかありません。裏の取りようもない。
別にアークを譲ってもいいんだけど、初見だと絶対ここまで辿り着くのは無理なので最善策は今ここで頑張る事だと思う。とジュイス。
それに対して。
それな!!
そんな大事な事をどうして黙っていたのか。1人で抱え込まなければもっと違う状況もあったんじゃないのか?
もうホントその通りだと思うんですよ。ただ、これまでのジュイスの経験値の中に『そう思っていた周回もあった』みたいな事があったのかもしれない。
正直に全てを明かした結果、組織が瓦解した経験があるのかもしれない。その辺はわかりませんが。
『どうして他の人を頼ろうとしないんだ』そんな当然の疑問に答えるジュイス。
1人だけいた。と。でも。
私の命を奪おうとした。
それに対して『アーク欲しさにか?』と返すビリーでしたが、それは違いました。
その1人とはヴィクトル。
ただジュイスを想って。理由はそれだけです。ヴィクトルはジュイスのループを力づくで止めようとしました。1人で抱え込もうとするジュイスを止めたくて。もう楽になってほしくて。
この2人の不器用な愛の物語はとても感動できるものです。
ヴィクトルは、ジュイスに対してこう想っていました。
惚れた女が苦しむ様を見たい男がどこにいる。
と。そして一方のジュイスは。
ただ好きな人の笑った顔が見たくて。
この不器用な2人の幸せを願うという事は、それはアン風を破棄するという事。1つ分の陽だまりに、2つはちょっと入らない。
この複雑で悲しい関係が今後どうなっていくのか。この辺も注目したいところではあります。
さて。
今まで肝心な部分を秘密にしていたのは、アークを隠している後ろめたさゆえ。しかしビリーの裏切りで目が覚めた。話せる事は全て話す。そのためにここに来た。と言うジュイス。
神を殺す力を持つ『不運』の能力を持った風子がここまで生きていてくれた。
あの子はきっと、この呪われた運命を否定する。
なるほど。色々合点がいった。これは確かに争っている場合ではないかもしれない。
しかし……。それでも『俺達は組めない』という結論を出すビリー。
そんなビリーに『それでも私はまだお前を信じているよ』と返すジュイス。
悲しい優しさの果て、どうしようもないすれ違いからの戦いが今始まろうとしていました。
UMAvsUMA
こうして交渉は決裂。ジュイス、ビリー共に使役するUMAを召喚してのバトル開始です。
ジュイスサイドにはスポイル。ビリーサイドには対ウィンター用のバーン。
『腐る』vs『燃える』ですから、これはどう考えてもスポイルの形勢が悪そう。炎は腐らないですが腐った物は燃えますから、どう考えても勝ち目は無さそう。
お互いのUMAと否定能力を使っての激しいバトルが繰り広げられます。
ここでのスポイルのセリフの中でUMAにも悪魔の実のような『〇〇系』という系統があるような事が明らかになりますが、俺が読んでいる部分まででは今後この概念は忘れられます。
もしかすると復活するかもしれませんが、もうそういう話でもなくなってるのでおそらくは無かった事になるでしょう。
バーンが、自分達を生み出した神に一目会ってみたいと思っている事などが明らかになったりもします。UMAも会話するので感情はあるのでしょう。
このバトルで、スポイルが起こした雪崩によって足場を崩され、スポイルのビームを受ける事になったビリー。
このビームを受けた事によりビリーの体は腐り始めます。しかし、ビリーには不死の能力があるので死んだりはしない模様。
『どうして私の不正義を使わない!どうして本気で来ないんだ!!』
ビリーは不死の能力をコピーしているので、負け=死ではないものの、ここは勝たなければいけない戦いのはずです。なのに、なぜかジュイスの能力をコピーして使ってはこない。
もし不正義をコピーして使えば、ジュイスは自決することになるでしょう。しかし、それをしない。
裏切ったんじゃなかったのか!!どうして本気でこない!!答えろビリーー!!
涙ながらのジュイスの訴え。
それに対して、裏切ったさと答えるビリー。
この時点で言える事はあまり多くはないですが、なんとも悲しい不器用な物語ではあります。お互いに信じる譲れない想いがあり、それ故にすれ違っていく心。
ただの1度も心を許した事はない。全てはビリーが神を殺すための弾に過ぎない。それだけの事だと。
仲間達が。タチアナが居たから必要無かった盲目のビリーに音を伝える靴の歯車。それをまた再び付けて。
『前に進めた』と語る男の心境はいかに。
しかし今ここでそれを悠長に語るのは難しそうです。とにかくここでビリーに勝つ。不死の力を持っている今のビリーなら死ぬ事はないので、その生首持って帰るといよいよ最後の戦いを挑むジュイス。
お前の正義を見せてみろ
そう言ってビリーに切りかかるジュイスでしたが……。
なんと。その能力を使ったはずなのに腕を落とされてしまうジュイス。
どうして……!不正義は発動したはずなのに……!!
俺が不正義を使わなかったのは手を抜いたからじゃない。使えなかったんだ。お前が俺を、信じているから。
そう言ってジュイスに銃口を向けるビリーから、ムーブを使って逃げるジュイス。これにて交渉は完全に決裂。ビリーはその体が腐り、ジュイスは片腕を失うという事になりました。
痛み分けと言うのはあまりの結果。悲しすぎる。
この戦いを終え、ビリーは風子を奪う決意をするのでした。
それから
ここまでで7巻の半分くらいです。この時点では謎の多いシーンばかりですから、言いたい事は本当はたくさんあるのですがそれはこの後のこの物語を読みながら語っていくとしましょう。
さて。ここからはいよいよサマー戦が始まります。
前回の四季は秋でした。次は夏です。秋は捕獲という形でしたが夏は討伐です。
もしこれが果たされたのなら、世界から夏が消えます。簡単に言いますが『夏が消える』ってどういう事でしょうか?とんでもなくないですか?
『夏』という、ちゃんと定義された物理現象があるわけじゃないんですよ?言い方は誤解を招くかもしれませんが、その条件は『日当たり』じゃないですか。それが消えるて。どういう事やねん。
しかも、別に日本だけに限った『おま国』でもないわけですよ。舞台は地球ですからね。全地球的に夏が消える。もう無茶苦茶ですね。
さて。
今回のサマー戦ではシェンにスポットが当たります。シェンの過去。そして、シェンに付き添うムイちゃんの話など。
普段のクエストはその参加に『否定者限定』という制限があるのですが、今回の四季戦に関してはその参加資格は『全人類』なので、否定能力を持たないムイちゃんでも参加が出来る。
これまで横で見ているだけでしかなかったのに、ついにシェン様のお役に立てるという事で張り切ります。可愛い乙女。
今回サマーに挑むのは、そんなシェンムイ&アン風です。
しかし、そこにアンダーからの刺客もやってきます。
今回やってきた刺客はファン。アンダーに所属する武術の使い手です。
その正体は、なんとシェンの師匠でした。しかも、どういうわけか老人だったのに若返った姿でシェンの前に現れます。
老人であったはずのファンがなぜ若い姿で目の前に現れたのか?シェンはこの時点ではその理由を知る事は出来ません。
その理由はリップを若返らせるためにアーティファクトを使ったからというものです。
ただひたすらに『自身の最強』にしか興味の無いバトルジャンキー。その覇道を往くためならどんな手段でも使う外道。
が……。
まさかこれが未来の世界で人気投票1位になるなどと、この時点で誰が予想したでしょうか。
今でも信じられません。謎の組織の関与があったとしか思えません。
個人的には、アンデラはカップル要素が強い傾向があるのでお気に入りのカップルに交互に投票した層と、孤高のソロ票を獲得し続けたファンとの違いだと思っているのですがどうなんでしょうか。
まぁそんな話はさておき。
そんなセクシーカンフーの使い手であるファン。
その恐ろしいまでに強い力。アン風&シェンムイとのバトルが開始されていきます。
オータムの能力で強化されたはずのアンディの攻撃を簡単にさばいていくファン。しかも、それは否定能力ではなく純粋な自身の身体能力で。です。
さらには『直接死に繋がる怪我でなければ不死は否定しない』というアンディの能力の弱点も見破りました。
強いだけでなく頭もいい。脳筋ですが脳筋ではない。
アンディにも最強を目指してみないか?と、どこかの鬼のような勧誘をするファン。
しかしアンディはこれを否定。
最強でなくても、風子と風子が大事にしてるものを守れる強さがあればいいと。
かっこいいですね。
サマーはもうただの足場程度の扱いになりつつありますが、ファンとのバトルはより激しいものとなっていきます!
8巻へ続く。
画像:「アンデッドアンラック」コミックス7巻より引用
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