【感想】ガラスの仮面 21巻 ダッタン人の矢よりも早く!妖精パックになるためボールをよけまくる

あらすじ
劇団一角獣やつきかげのメンバー達と、公園の野外ステージで「真夏の夜の夢」の妖精パックをやることになったマヤ。役作りのために月影先生の新たな特訓がはじまる。
bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は美内すずえさんです。
登場人物

北島マヤ:紅天女を演じる資格を得るために、2年以内に芸術大賞もしくは全日本演劇賞を受賞しろと月影先生に言われる。次に挑むは妖精パックの役。
感想
それ!ごらんの通り!ダッタン人の矢よりも早く!!
はい!というわけで今回紹介するのは『ガラスの仮面』の21巻です!3年間更新が途絶えたかと思ったらちょいちょい更新をしてみたりします。なるべく頑張る。いのちだいじに。
一角獣の野望
2年以内に芸術大賞もしくは全日本演劇賞を受賞しろ。でないと紅天女は亜弓の物だ!
という感じで月影先生に言われてしまったのでなんとかこの目標を達成したいマヤ。
もし紅天女になれなかったとしても、どうあってもマヤには演劇しかないので結局何かを演じる人生を送りそうではありますけどね。
まず冒頭は地下劇場でのシーンから始まります。
劇団つきかげwith一角獣による『フランケンシュタインの初恋』という劇を見るマヤ。

演者としてではなく観客として劇を見ていても、勝手に体が動いてしまう。その中に入り込んでしまう。まさに演劇狂。『何かを演じたくてしょうがない』というのはどういう心境なんでしょうか。そんな風に思った事ないので想像もつきません。
劇も千秋楽を迎え、打ち上げに参加するマヤ。『参加する』とは言っても実際に演者として出演していたわけではないですからお手伝いさんです。話の輪にも入りにくい。

月影先生の思惑としては、試練を与える事でマヤをより成長させたいというところだと思うのですが、この2本の賞がどれほどの物かわかりませんがもしうっかり未達で終わってしまったらどうするのか。
逆に、必ずマヤなら達成出来ると思っているのなら当て馬にされた亜弓が可哀想という気もします。
とにかく、2年以内に結果を出さなくてはなりません。
やるしかない。あたしには演劇しかないんだもの!!
密かに闘志を燃やします。
一方、劇団一角獣の面々も新たな野望を抱きます。確かに今回の劇は成功したしよくウケた。でも、このままで満足してしまっていいのか?もっと大きな場所でやってみたくないか?
と。一応今の場所は劇団つきかげの本拠地のような地下劇場ですが、そこを『この狭い場内ではたかがしれてる』とはなかなか厳しい評価です。劇団つきかげ的にはやや気の悪い話。
ともかく。そろそろ新たなステップに挑戦するべきだ!という気持ちで最近出来た『アテナ座』という劇場にとご込み営業をかけに行く劇団つきかげwith一角獣。月影先生の昔のコネとか無いんだろうか。あの人何気に全然人望無いような気がする。

the 塩対応。
こういう劇場の中でも堂々とタバコを吸えた時代だったんですかね。まだオープンして2年と短いながらすでに実績はあるようで、常に一流の役者や劇団しか出演しか出来ない。という事でした。
『いくら演技がうまいといってもだね 話題性がなきゃ客は集まらんのだ』
とはこの嫌味メガネの言葉ですが、なかなかに真理ではありますね。良い物さえ作っていれば放っておいても勝手に売れるなんてのは幻想です。まずは知ってもらう必要がある。
門前……ではなかったものの、取り尽く島もなく帰されてしまうつきかげwith一角獣。
力がほしい。
次の劇
『次はなんの劇をやるの?』
という事で、次回の劇は『真夏の夜の夢』という舞台です。
シェイクスピアの作品らしいです。
どういうお話か詳しく知りたい方はこの辺から。個人的には真夏の夜の夢と言えばユーミンです。骨まで溶けるよなテキーラみたいなキスをして。
この劇に参加したいと言い出すマヤ。

自己肯定感が極限まで低い。とにかくあたしには芝居しかないの。
思い返せば中学生くらいの頃からとにかく芝居を軸に生きてきて、普通の人が体験する事がないであろう激動の人生を生きてきたわけですから、良くも悪くも芝居に脳を焼かれている。このまま骨まで。最後は魂まで。
マヤのお願いはつきかげwith一角獣のメンバーに快く受け入れられました。あとは月影先生がどう言うかですが、その辺はみんなでお願いすれば断られたりしないだろう。という事で、次回の『真夏の夜の夢』にマヤが参加する事が決定しました!
で、マヤが参加したいとお願いしたその場でキャスティング発表があり、マヤの役もすでに決まっていました。仕事が早い。
今回のマヤの役は『いたずら者の小妖精パック』だそうです。この劇一番の人気者であり、一番の芸達者がやる役というポジション。
責任の重い役ではありますが、とにかくまたみんなとお芝居が出来る。その嬉しさに舞い上がります。
舞台を決める
演目もキャストも決まりまして、さてでは次はどこでやろう?という話。
地下劇場は狭い。かと言ってアテナ座は断られてしまった。はてさてどこかいい所はないものか?
ここから劇場探しパートに……となる事もなく。マヤの一瞬のひらめきで決まりました。

次の舞台はなんと野外ステージ!
元々この作品の舞台は森の中ですから、公園にある野外ステージなら大道具もいらない。ちょっと手を加えるだけでそこをそのまま舞台にしよう!!
公園にはいつも人がいっぱいいるし、駅近で繁華街。いつもの地下劇場とは違う客層に見てもらうキッカケにもなるかもしれない!!
そんな感じで、相変わらず芝居が絡むと才能を発揮するマヤ。

成功すれば話題にはなる。でも、普通の劇場とは違ってただの野外ステージですから、もしつまらないと思われたら容赦なくお客は席を立ってしまう。本当の実力を試される厳しい場です。
一角獣の団長の粘り強い交渉で野外ステージでの公演の許可もとり、次なる舞台に向けて準備を始めるマヤ達。
さらに、一番の問題であった月影先生の許可もいただきまして、いよいよ本格的に始動していく!!!
個人的にはこのシリーズ好きです。一番好きなのはカーミラなんですけどね。とにかく亜弓様がかっこいい。
月影先生降臨
みんなと一緒に芝居をやる事になり、パック役を頭に思い浮かべイメージトレーニングをするマヤ。しかしこれがちょっと上手くいかない。どうにも体の動きがどんくさい。
悩むマヤ。するとそこに月影先生がやってきました。久しぶりにちゃんと芝居を見てくれる事になった師匠は、果たして弟子にどんな言葉をかけるのか?

亜弓さんならきっともっときれいな動きをとるんでしょうね
久しぶりにまともな稽古をつけてもらえる流れになったかと思えば第一声がいきなりライバルの名前を出して下げてきた。
萎えるわ~こういうの。俺がやられたら超カチンとくる。
とはいえ、これは決して根拠の無いいじわるなどではありません。老いたとはいえ超一流の演者である月影先生。マヤが戦う世界は超一流の戦場なのです。演劇界の先端なのです。
ちょっと煽られたからって拗ねてやる気をなくすようでは生きていけません。
そんなわけで。
月影先生考案の『パックの動きの基本の練習』をやる事になったマヤ。

円になってマヤを囲むように立った6人。その6人に3個のボールを渡し、それを中央にいるマヤに向かって次々に投げ続ける。BGMはゴリゴリのロック。
そしてマヤはそのボールを避け続けるという修行。
パっと見た感じはシンプルにいじめですが、パックの軽やかな動きを身につけるという意味では確かに効果がありそうな気がする。最初はまずボール1個から。みたいな甘い段階が無いのが月影流よ。
さっそく特訓を開始しますが、当然ベコベコにボールを当てられるマヤ。
もし俺がマヤなら、こんなもん無理に決まってるやろ!そんなん言うんやったらお前がやってみろや!!!と月影先生にキレるところですが、一生懸命練習に取り組みます。
容赦なくボコボコにされますが、それでも食い下がるマヤ。
やらせてください先生!もう一度!今の訓練をあたしにもう一度……!
熱い。演劇のためなら死ねる。熱い女北島マヤ。
この心意気に心打たれ、もちろん再度の特訓の許可を……。

一度にやっても効果はないのよマヤ 疲れるばかりですよ
月影先生の口から出た言葉とは思えません。俺が知ってる月影先生ならマヤの全身の筋肉が悲鳴をあげ脱水症状になるまで同じ訓練をさせるはずですが、なんと今日のところは『一度にやっても効果はないのよマヤ』だそうです。
解釈違いです。月影先生はこんな事言わない。
いよいよ劇団つきかげにもコンプラ意識が芽生えてきたのかもしれません。
これから毎日1時間この練習をしなさい。との事です。なかなかハード。
大切なものはリズム感
公演に向けて練習が始まりました。練習の場所は舞台となる野外ステージ。元々公園にある物ですから、練習するにも迷惑にならなくていいですね。
劇団一角獣のメンバーは、昔から素晴らしい身体能力、アクロバティックな動きが得意でしたから、野外ステージでところ狭しと華麗な動きで練習です。
一方、マヤもひたすらに毎日ボールを避ける練習です。
最初のころこそどんくさい動きでしたが、ひたすらに毎日続ける事で段々ボールのかわし方が上手くなってきました。

ボールをよける練習の時に流しているBGM。その音楽のリズムに合わせてリズミカルに動くようになってきたマヤ。
そう。月影先生はこの練習を通してマヤにリズム感を教えたかったのです。
しかし当の本人はまだこの練習から何を得ればいいのかピンとこないようで悩み続けます。

マヤが求めるは妖精の動き。人外のごとく華麗ですばしっこくてきびきびした動き。
こういうのはやはり亜弓に軍配が上がりますよね。マヤは昔は普通の少女でしたから。一流の環境で積み上げ続けてきた亜弓とは違う。
そんな悩むマヤの演技を見る月影先生。マヤの演技に何度も何度もダメ出しをします。

よしきた!おいきた!それごらんの通り!ダッタン人の矢よりも早く!
もう一度!
よしきた!おいきた!それごらんの通り!ダッタン人の矢よりも早く!
もう一度!
よしきた!おいきた!それごらんの通り!ダッタン人の矢よりも早く!
もう一度!
……まだわかっていないようねパックの動きが。『それごらんの通り!』このパックの言葉は何をあらわしていると思うの?マヤ。
何度もマヤに演技をやり直させて、最後にそんな質問をする月影先生。
『それごらんの通り!』とは、妖精王であるオーベロンにパックが自分の動きの素早さをアピールする時のセリフなのです。
パックの、パックによるパックらしい動き。果たしてそれはどんなものか?
悩むマヤでしたが結局答えは出ないまま演技を続けます。
すると、そのマヤの後ろから月影先生がボールを投げました!

マヤの死角。見えないはずの後ろから投げられたボールを気配で感じ見事避けるマヤ。凄い跳躍。
かわしていた……!無意識のうち、うしろから球のとんでくる気配を感じて……!
反射神経!!
ついに何かを掴んだようです。今の感触を忘れないうちに、もっとパックの動きをあたしに教えてください!
月影先生にお願いしますが、先生の返事はこうでした。
あなたの体はもうどうしたらいいかわかっているはずですよ。
と。
月影先生は衣装部屋にマヤを連れて行き、パックの扮装をさせます。
パックとしてボールをよけてみなさい。

今度はマヤとしてではなくパックの気持ちになりきってボールをかわす練習をするマヤ。
これまでと違いボールを華麗に避け続けます。ついに覚醒!
妖精として。パックとしての動きをついに掴みました。

喜ぶ場面なのに楽しそうじゃない。
それから
ここまでで21巻の半分くらいです。
ここからは、マヤ達の公演の噂を聞きつけたアテナ座の支配人が野外ステージでの稽古を見に来たりします。

他の劇場の人からマヤ達の噂を聞き、不安になって見に来たアテナ座の支配人。ちょっとした口論から、3日の公演期間の間アテナ座よりも多くお客を集める事が出来たらきみ達の実力を認めてやるぞ!と。
そこにすかさず『じゃあもしそれが出来たらアテナ座出してくれるんか?』と約束を取り付けました。さすがマヤ。芝居が絡むと頭の回転が速い。
さらに、そんな約束をした場面を速水が見ており、ついに逃げ道を絶たれた支配人。もうこれは誰がどう見ても負けフラグ。対ありおつかれさまでした。ありがとうございました。
公演は速水の提案でチャリティー公演にする事になりました。

駅前コスプレ大道芸客引きなんかもやってみたり。
この宣伝も好評で、さらに町のお店にポスターを張ってもらいあげく新聞にも取り上げられるほどに。
しょうもない約束をしてしまったとガクブルになる支配人。大丈夫。心配しないでもお前は負けるのだ。
ここで小者界の大物である小野寺あたりなら、何かしらの妨害工作でもしたでしょうがそこまで悪人にもなれない支配人。
そしてついに公演当日……!!

集まりに集まってなんと1400人!!!
いよいよ始まる公演。果たしてどうなるのか!!
22巻に続く。
画像:「ガラスの仮面」コミックス21巻より引用
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