【感想】ガラスの仮面23巻 ふたりの王女オーディション!北島無双フルボッコ回。他の参加者に同情するレベル

あらすじ
オーディションでの難しい、いくつもの課題に挑戦するマヤ。そこには「千の仮面」をもつマヤがいた。マヤに圧倒されるライバルたち。マヤに与えられた王女の役とは?
bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は美内すずえさんです。
登場人物

北島マヤ:亜弓、月影先生との共演を勝ち取るために『2人の王女』のオーディションに挑む!!
感想
ほぼ1巻丸々北島無双!!ただマヤがモブを蹂躙するだけの話!!
はい!というわけで今回紹介するのは『ガラスの仮面』の23巻です!
全49巻(未完)という事で、だいたい半分近くまできました!他の漫画の感想を書く前にとにかくこのシリーズだけは終わらせたいという気持ちはある。年内にはいいとこまでいきたい。
オーディションが始まる
亜弓、月影先生と『2人の王女』で共演するためには、オーディションを勝ち抜かないといけません。
先に言っておきます。ひたすらにマヤが無双する回です。オーディションで周りの人々を蹂躙する回です。こういうの大好き。
まず第1次審査課題1は『毒』です。なんか恐ろしいお題ですね。
その『毒』というテーマの表現に対して、我らが北島マヤは台所でのパントマイムという方法を選びました。

他の人達が、事前に用意されていた台本を読み上げるだけの演技(多少は動くけど)だったのに対して、我らが北島マヤが選んだのはパントマイム。いえ。マイムです(通っぽい)
台所で料理を作るマイムをやるマヤ。こういう日常のマイムはもうお手の物ですね。以前の1人芝居が活きた形。
対象を確実に葬る事が出来る毒を手に入れたマヤ。心から憎む相手がのんきに隣の部屋で料理が出来上がるのを待っている一方で、果たしてこの毒を料理に入れるべきかどうか?という葛藤と戦います。

『殺したいほど憎い相手』というのはマヤの人生では何人か思いつきそうですが、その甲斐あってか迫真の演技。
この毒が体に入ったが最後。消化されるにしたがって体に毒が周り、4時間後には死に至る。どうやら証拠も残らないそうで、恐ろしい毒ですね。
台所で温めている、鍋に入った料理。その中に調味料を入れ、さらに横に置いたビンに目をやる。
これをほんのひとたらし……。ふたたらし……。あなたはそれを一口二口。
それですべてがおわる。

明確な殺意。そしてそれでもなお、それを混入する事に対するためらい。そして、これは全て何も無い部屋で行われているマイムである。という事。
見る者全てを引き付ける演技の果てに、はたしてマヤは料理に毒を入れるのか……?
他の者が、それなりに感情を入れたものの基本的には台本を読むだけの演技だったのに対してマヤはマイムで1つのドラマを感じさせました。
1次審査の1種目でもうこれです。今後モブ達が浮かび上がる事は一切ありません。これはまだこれから始まる北島無双の始まりに過ぎないのだ!!!!
1次審査その2
圧倒的な演技力の差を他のモブに見せつけたマヤ。続いて1次審査の2つ目が始まりました。
今度のテーマは『音楽』です。

課題曲は『キッスは目にして』です。この漫画を読んで、そういえばあれエリーゼのためにのリズムだったなという事に気付いた。
曲は2分30秒。これを使って何をするかは自由です。各自好きにやってください。という課題。
他の参加者達が迷い、やれジャズダンスだのディスコで踊るだのと言っている時に、我らがマヤは何を想うのか。
『自分達をアピールする場だ』という気持ちで他の参加者は挑むわけですが、マヤは違います。

そう。審査員とは言え自分の芝居を見ている以上は観客なのです。『いかにしてそれを楽しませるか』を考え始めるマヤ。
恐ろしい子っ……!!!!
で。
色々悩んだ末に何をしようとしたのかという話ですが。

突然会場の人から靴ずみを借りまして自分の体に塗り始めました。
こんなもん絶対なんか凄い事するやろ……。勝ち確演出やんけ……。
もはや周りのモブにはこの芝居星人は意味不明な狂人にしか見えないと思うですが、ここから始まるマヤ無双の壮大な前振り。
というわけで、他のモブの演技は超ダイジェスト。1ページで全部紹介されました。6人いたんですけどね。

この人達がこのダンスレッスンにいくらお金と時間をかけたか知りませんが、とにかく今回は相手が悪かった。諦めてください。対ありおつかれさまでした。
そしていよいよマヤの番です。

塀にペンキを塗ります
漫画だから。と言えばそれまでですが、他の人の思考の方が普通なわけですよ。共演相手にあの姫川亜弓に月影千草ですよ!?世間では紅天女の後継者問題で注目を浴びている人達と共演するチャンスなわけです。
そら置きに行くやろ。ダンスするやろ。
この大舞台で『塀にペンキ塗ります』はどんな心臓してるねんという感じ。そして、この構成を考え付く美内先生の漫画力よ。と思わされますね。
そしてついに始まるマヤの芝居。マヤは手ぶらですがマイムで全て表現します。ペンキの入ったバケツ、そして色を塗るためのハケ。見る者にその『バケツの重さ』まで感じさせる。
もはや幻術レベルのその何か。
まず歌に合わせて塀にペンキを塗っていく。軽快な動きでコミカルに。
順調に進むペンキ塗りでしたが、なんとそこには乗用車が!ノリながらの塗装の勢いで車の窓にペンキが飛んでしまい、それを必死に拭う動き。
つまづいて、ペンキ塗りたての塀に触ってくっついてしまう。それから脱出するための動き。勢い余って反転してしまい、また塀にくっついてしまう。そのコミカルな動き。
いやもうこんなん俺が審査員なら即決でマヤ優勝ですわ。それくらいの素晴らしい演技。

そして2分30秒の北島劇場が終わりましてのこの感想。
『観る人に楽しんでもらおうと思って』
もうこの芝居星人は立っているステージがそもそも違うのです。こういうナチュラル天才にはどうしても勝ち目が無い。
というわけで、当然ですが1次審査を無事にパスするマヤ。審査番号で言えば一番後ろだったのに一番最初に名前を呼ばれるあたり、相当の評価だったという事がうかがえます。
謎の影の男聖にインタビューなどされたりもしながら、次は2次審査となります。
2次審査始まる
というわけで始まりました2次審査。1次審査の課題は『毒』そして『音楽』でした。
2次審査なので、当然前回のそれよりは難しいはず。怯える参加者達は、レストランを模した仮設舞台に招かれます。
その舞台で、レストランの支配人が上手から歩いていきてテーブルのまわりをゆっくり歩いてそのまま下手に消える。それだけの演技をします。

このただそれだけの演技に対して何かを追加して『感動を生み出してほしい』これが今回のテーマです。
- 支配人の演技はそのまま。邪魔をすると減点
- この芝居には時間や季節の設定は無い。自由な発想で好きにしていい
- 芝居は自由参加形式。おもいついた人から順番にやってよい
以上がだいたいのルールです。なるほど。ただ歩くだけの演技をする支配人の動きを邪魔しないように何かして感動を生む。難しいお題です。しかも今ここで即興で考える必要があります。
さすが亜弓と月影先生との共演。一筋縄ではいきません。
この難しいお題を聞いて震える参加者達……。
これに対してマヤは……。

なァんだ!よかった…!第2次審査だっていうからどんなむずかしいことをやらされるのかと思っちゃった……!
最高の笑顔で。もう嫌だよこんなのと一緒にオーディション受けたくないよ。ストレスとプレッシャーで吐きそう。
しかし。読者的にはただのモブでも、一応は作中ではこのオーディションに賭けているのか、なんと他の人が名乗りを上げます。
エントリーNo1太宝プロより江川ルリさん。
まずは1番手としてこのオーディションに挑む事に。
これがなかなか悪くなかったです。演技の内容としては『恋人らしき人を閉店まで待つがついにその待ち人はレストランに来なかった』という悲劇を演じました。なるほど。いいじゃないですか。
相手がこの芝居星人でなければ。ですが。
次はマヤの番。今回マヤが演じるのは『ひょんな事から謎の男たちが拳銃を持っているのを目撃した少年がレストランの中で追手から逃げる話』です。

まぁその芝居の流れを全てここに載せるのは主義に反しますのでしませんが、スリルのある素晴らしい演技でした。でも、これだけであればそこまで各段に凄いというわけでもないようにも見えます。
そう。
これだけであれば。
2hitコンボ
というわけで2番手のマヤが演じ終わり、自由参加形式のこのオーディションは次の3番手を待つ事に。
続く3番手に名乗りを上げたのは……。

北島マヤ挙手!
『自由参加形式』というルールを逆手に取った恐ろしいプレイです。もう1回やらせろと。おかわりを要求してきました。モンスターです。
昔マヤは『舞台荒らし』という異名で呼ばれていました。マヤの演技は目立ちすぎるが故に周りから浮いてしまう。その演技には協調性が無いと。
しかしそれは、あくまで協力して演じる舞台での場合です。このようにバトルロワイヤル形式であれば、舞台荒らしは最高の勲章です。相手との協力など欠片も考える必要はありません。自分が目立ち、相手を圧倒すればそれでミッションクリアなのです。
そういう意味ではマヤとオーディションの相性が良すぎる。オーディション特効持ち。
もしここでマヤがもう1周演技を披露しそれが大ウケしてしまうと、もう他の参加者に勝ち目はありません。そこで、なんとか場の流れを変えようと他の参加者も挙手。
運営は他の参加者を指名。3番手は北島マヤではなく雪村みちるとなりました。
『とにかくなんとかしないと』
その気持ちで参加した雪村さん。彼女が披露したのは歌でした。
レストランをバックに失恋レストランを熱唱する雪村さん。最初の失恋の演技+舞台のレストランという、もう絶対ダメだろそれというミックスで挑みました。
が。
当たり前ですが『なんでいきなり歌うねん』という冷え切った空気。さらに、途中でステージで音楽が流れるのを失念しており、BGMの音楽と自分が歌う歌がごっちゃになって完全に空回り。

たぶんこれからの人生でこの時の事を思い出して夜中にのたうち回る事になると思うほどのトラウマを植え付けられてしまいました。
これを見た会場は完全にお通夜ムードに。芝居星人の圧倒的実力を1次審査から思い知らされ、さらに焦った1人が目の前でもう立ち直れないレベルの大事故を起こしたとなっては慎重にもなる。そらそうよ。こんなん田舎帰るわ。アタイには芝居は向いてなかったんよ。ってなるわ。
そんな絶対零度の会場の雰囲気とは裏腹に。
ついに始まる。
4番手北島マヤの演技が。
次のマヤの演技は『支配人の影』です。自分以外唯一動く支配人の動きを真似し、時に裏切りの面白コメディ。

他の参加者の心中を察する。こんなんもうこの場にいられない。たぶん、今後の人生でマヤを見る度に震えがくるレベルでボッコボコにされていく。
今回の演技も審査員に大ウケ。他の参加者がもう息をしていない空気の中で、それでも楽しそうに審査する審査員もたいがいに鬼。気を使ったりしない。
そして。
この空気の中、次の参加希望者が手を上げる。

5番手北島マヤ。
人の心とかないんか?
それから
ここまでで23巻の8割くらいです。どうしても北島無双を紹介したかった。
当然結果はマヤが勝ちました。本来3次審査まであったはずが2次で終了となってのコールド勝ち。演技オーディションなのにKO勝ちを狙いにきたとんでもパワープレイ。
それもそのはず。なんとマヤは最初の2回と合わせて合計7回演じたという事でした。他の参加者どういう気持ちだったんだろうか。死体蹴りからの死体蹴りからの死体蹴り。オーバーキル。
最終的には他のオーディション参加者からも祝福されての合格でした。まぁここまでされたらね。恨むとか嫉妬するとかそういうのとはもう別次元でしょう。高校野球に大谷さん来た感じ。
そしていよいよ、次からは亜弓と月影先生との共演の舞台『ふたりの王女』が始まります!
物語の1つの山場ですね!その分ボリュームも山盛りのシリーズです!お楽しみに!!
24巻に続く
画像:「ガラスの仮面」コミックス23巻より引用
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