【感想】ガラスの仮面48巻 秘密を打ち明けた亜弓とメンタル病んだ紫織
あらすじ
亜弓は失われゆく視力で、周りに悟られぬよう、母親と演技の稽古を続ける。そして真澄は紫織との結婚を破棄しようとするが、そのため傷ついた紫織は…。
bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は美内すずえさんです。
登場人物
北島マヤ:ついに速水とお互いの気持ちを確かめ合った。芝居?ちょっとよくわからないですね。
姫川亜弓:目の事を母以外にも小野寺や赤目に告げる。今のところその人生の全てが紅天女に向いている。幸せになってほしい。
感想
目の事を一部の人以外には隠したまま稽古を続ける亜弓と、ついに紫織に本心を告げる速水
はい!というわけで今回紹介するのは『ガラスの仮面』の48巻です!
さぁ!この巻を除けばいよいよ残りは1冊となりました!ガラスの仮面シリーズの感想紹介は次回で終わりという事になりますね。寂しいところですがそれにしても長かったなという感じ。
目の秘密を赤目と小野寺に打ち明ける
小野寺と赤目を倉庫に呼び出し、そこで紅天女の演技を始めた亜弓。
これまでの母との特訓のおかげで、実はあまり目が見えていないのだという事を感じさせない素晴らしい演技を披露します。
目がよく見えないという事は、つまり見える物に心が惑わされないという事。
よく見えない周りの風景をそこが梅の谷だと想像するのに目が見えない方が便利なのです。
まぁ、ここまでして評価しているライバルの方は最近全然芝居はしていませんが。
今までとはどこか違うその雰囲気に、引きつけられていく赤目。着ている上着を脱ぎ、本気になって亜弓の演技の相手をします。
とはいえまさかここから赤目の覚醒イベントなどあろうはずもないわけで、この中年に囲まれた努力の天才はどうにも不遇ではあります。
一方。前巻でバイク事故をおこし全治2か月の重傷を負った桜小路君の稽古の様子も描かれます。
こんな当たり前に稽古とかしてていいんでしょうか?もっと交通事故をおこしたという事実に向き合うべきなんじゃないかと思わないでもないですが、もうそれは過去の事。終わった話のようです。ヒドい。
松葉杖を使いながらの格闘シーンなどがあるのですが、こんなん相手役の人も可哀想ですよね。松葉杖が無ければ立つのも無理な怪我人相手に格闘とか。どこまで本気でやっていいものやら。
一応、一真は元野盗なので古傷の1つくらいあっても不自然ではないだろう。という事なんですが、それはそれこれはこれで、観客的に集中出来なくなりそうですけどね。たぶんバンバンニュースとかになってるだろうし。
そんな傷ついた桜小路君を必死で支えていく決意をするマヤ。
しかし。
マヤはあくまで一真役としての桜小路君を支えようとしているだけで、異性としてどうという事もありません。その心はすでに速水に夢中。
一方の桜小路君はマヤに異性として自分を好きになってほしくて、しかも速水との抱き合っているシーンを目撃もしているわけで複雑な心中。
芝居は芝居。恋愛は恋愛。と、キッチリ線を引いている感じのマヤと、そこを上手く区別できない桜小路君。
読者的には、まさかここから桜小路君が逆転するわけもないと思うので、桜小路君にはどこかで割り切ってほしいところですがなかなか上手くいきませんね。
場面は変わり、今度は再び亜弓の芝居へ。
一真役の赤目が投げ捨てた彫刻刀を真っ暗闇の中全て拾って揃えてきた亜弓。
この真っ暗の中どうやって……!驚く赤目。
ここでついに亜弓の目の真実を打ち明けます。
お医者さんには、今すぐ芝居をやめて手術を受ければ失明は避けられるかもしれないと言われているが試演が終わるまでは手術を受ける気はないと。
とにかくこのまま続けさせてほしい。必死で小野寺と赤目を説得します。
そもそも、小野寺チームの紅天女役は亜弓以外にいないわけで、小野寺や赤目の気持ちなど本当は関係ありません。亜弓がこうすると言えばそうなるのです。
つまり、配られたカードで勝負する覚悟を決めろ。腹くくれオッサンども。という事です。
同じ告白でも豪華クルーズ船の上で意中の相手に気持ちを打ち明けたマヤのそれとは雲泥の差です。この苦労が報われてほしい。
これでスっとマヤが勝ったら納得いかないですよ俺は。
さらに場面はマヤに戻り。
重傷を負いながらも必死で演技をする桜小路君を仲間達は絶賛。阿古谷役のマヤもそんな桜小路君を見てご満悦です。
ニッコリ笑顔で桜小路君を見守りながら稽古部屋を出たマヤ。
しかしその心は速水でいっぱいです
一応ですね。前巻での速水とマヤの甘酸っぱいイチャイチャは俺の大好物ではありました。
でもそれはそれとして、もうマジで全然芝居に集中してないな。
恋する乙女としては満点でも、ガラスの仮面界の登場キャラとしてはこのままでは失格でしょう。自らの視力を犠牲に努力している亜弓が可哀想すぎる。
とにかく一日でも早く伊豆の別荘に行きたい。頭の中はそれでいっぱい。こんなんで神秘性の塊みたいな紅天女を上手く演じる事が出来るのでしょうか。
そして。
その伊豆の別荘にてついに紫織との結婚のその全てをキャンセル手続きを始める速水。
いよいよ覚悟を決めた感じですね。
すんなり事が運べばいいですね(棒)
亜弓が稽古場で稽古を始める
芝居というのは1人では成立しません。大勢で1つの舞台を作るのです。
なので、亜弓もいつまでも1人で引きこもって練習しているわけにもいきませんから、いよいよ劇団オンディーヌのスタジオで他の人達との稽古に挑みます。
お医者さんにも『これ以上はマジでヤバイですよ』という事を言われますがそれも譲らず。
これで万が一にでも亜弓が失明などという事になれば、チーム小野寺だけでなくこの病院すらボコボコに叩かれそうな感じがしますね。
あまり目が見えない状態でありながら、それでも徒歩と地下鉄を使ってスタジオに向かう亜弓。信号待ちや駅のホームとか超危ないんですが、大丈夫なようです。
本人はそれでよくても。という話ですけどね。もし事故にでもなれば当然相手の過失も問われるわけで。本来であればほとんど目が見えない一流女優とか家でゆっくりしていてほしいところ。
一方で。
まさかメインヒロインが目に爆弾を抱えていたなどと知らなかったオッサン達は大慌て。
紅天女の試演というビッグプロジェクトはもうすでに動き出しているわけで、今さらこの船から降りるという選択肢はありません。
どうあれ、もう姫川亜弓と心中するほかないわけですから、そのためにベストを尽くすしかない。巻き込まれ系オジ達は今回は流石に可哀想。
しかしまぁ、試演とかもう延期せぇよと思いますけどね。メインキャストのうち2名が大怪我してるわけですから。この上あんな廃墟同然の場所で試演するとか何考えてんだと思わないでもないです。
延期出来ない理由がわかりません。月影先生の寿命問題でしょうかね?
とにかく。
マスコミにバレるのはマズイというわけで稽古はするものの一切の取材を拒否。事前にあれだけ盛り上げといてという感じですが仕方なし。
そんな状況にありながらも、亜弓の演技はまさに神がかっていきます。
以前のような派手さは無くなったものの、神秘性が上がった様子。
自身の目がハンデを負っている。『上手く見えない』という部分を、むしろ長所として演技に反映させていく。
しかしやはりそれでも万全とはいかないようで、ちょっとした気のゆるみから赤目の振る斧に気付かず危うく事故になるところでした。
そんな稽古を見ながら、亜弓の目の不調に気付いた人物がいました。
以前から亜弓の写真を撮っていたハミルです。
写真はその瞬間を切り取って固定させます。他の人の目は誤魔化せても、写真にウソはつけなかった。
あなたの目はなにも見ていない
目の事に気付き、亜弓の現状を聞きやめさせようとするハミルでしたが亜弓の熱意に押されて何も言わない事になりました。
自身の目を犠牲にしてでも1つの目標に向けて必死に生きる亜弓のその姿に、次第に心惹かれていくハミル。
後日。1人スタジオに居残り練習している亜弓の元へやってきたハミル。
『自分の被写体はしっかり演技が出来ているか見に来た』と言うハミルに、そんなに心配ならあなたを納得させてあげますと部屋を真っ暗にして『この暗闇の中で一真になったつもりで好きなように歩いてください。必ずそこに辿り着いてみせますので』と言う亜弓。
真っ暗なスタジオ内をしばらく歩いた後、停止したハミルに向かって一直線で近づく亜弓。
自分を捕まえにきた亜弓に対して、ときめいてしまうハミル。ここにまた1つの恋が芽生えようとしていました。
それから
ここまでで48巻の半分くらいです。
ここからは、そろそろ亜弓の目の不調に気付きそうなマスコミと、眼科に行った亜弓の窮地を機転を利かせて助けたハミルのエピソードがあったり、相変わらずいじけた桜小路君がマヤ相手によそよそしくしたり、黒沼が『マヤと桜小路君との間にいる謎の誰か』の存在に気付き始めたりします。
そしてついに。
自分の気持ちに素直になる事を決めた速水が、紫織に直接気持ちを告げる時がやってきました。
さらに、紫織の罪も暴きます。
まず最初に紫織に『指輪を見せてほしい』と告げる速水。
その言葉を受け素直に指から指輪を外し速水に見せる紫織。
その様子を見て『その指輪は簡単に指から外れたりしない』という確信を得る速水。
紫織がしていた指輪は、そもそも紫織の要望で少し小さいサイズで作られていました。簡単には外れない。そんな指輪がどうしてマヤのバッグから出てくるのか?
マヤのバッグを落として中身を拾って渡したのは紫織で、そのバッグから紫織の指輪が出て来た。それはどういう事か?
さらに。
マヤが紫織のドレスを汚してしまった件で、実はあの部屋には防犯カメラがあった。どうしてあんな事したのですか?と紫織を詰める速水。
いいですね。やはり悪党が裁かれる瞬間というのはゾクゾクします。ロジカルに問い詰める速水かっこいい。
そんな速水の詰めに負け、自分のした事を自白する紫織。
そこからさらにトドメが刺されます。
ズタズタに引き裂いた写真をマヤに送ったのもあなたですね?しかも紫のバラまで添えて。どうしてそんなことをしたんですか?
と。
この速水の鬼の詰めに対して自分の感情を語る紫織。
あなたを愛していたから。マヤに対する気持ちが深い愛情から出ているものだと気付いたから。あなたをあの子から遠ざけたかったから!!
あなたを愛しているからわたくしあんなことを……!!
偽りの無い本心を速水にぶつける紫織。
しかし。
本当は、ドレスの部屋の防犯カメラは作動していなかった。
他の件に関しては調べがついた。しかしどうしてもあの日あの部屋で起きた事だけは証拠が無かった。だから、紫織に『防犯カメラがあった』と言った。
そうして紫織に自白させるしか真相を知る方法が無かった。
『わたくしにウソをついたのですか……?』と尋ねる紫織に『ぼくは防犯カメラがあると言っただけです。あなたがそう思い込んだだけです』と切り返す速水。
ぼくはこういう人間です。仕事となればもっと汚い手でも使う。ぼくとの結婚を考えなおしてくれませんか?
同じ夜空を眺めていてもぼくとあなたとでは見ているものも感じ方も違う。ぼくは空の星を探しあたなは夜の夜景に感動する。結婚しても理解しあえないところがきっとたくさん出てくる。
ぼくではあなたを幸せにできない。
そう告げる速水。
その言葉にショックを受けた紫織は……。
化粧室の鏡を割り、その欠片を使って自らの腕を切ってしまいます。
血だらけになった化粧室の床と倒れた紫織を発見した店員さん。そして大騒ぎになります。
そして……。
部屋中に敷き詰めた紫のバラをちぎり続けるマシーンとなってしまいました。
も~~~~なんだこれマジで。誰がガラスの仮面でこんなシーン見たいんだよなんなんだよこれマジで。
俺がずっと『紫織が嫌い』と言い続けてきた理由がここにあります。
そりゃね。失恋がきっかけでメンタル壊してしまう人ってのはリアルでもいるでしょうし、今回の事に関しては実際速水もかなり悪いんですよ。ここまで引っ張ってのこれですから。
でもよ。でもですよ。それを、ガラスの仮面でこんな話読みたいんか?という事です。
メタい事を言うと、マヤと速水がお互い惹かれ合うのはいいとしてもそこであっさりくっついては困るわけですよ。そこで1つの大きなテーマが終わってしまうから。
だから、何かしらの理由を付けて2人の仲を離す必要があるわけですが、船の上であれだけお互いの想いを確認しあって出来た絆を引き離すのはかなり大きな理由が必要で。
なので、2人の関係の発展を引っ張るそのために、こうして紫織が用意されたと。その命をかけて2人の仲を引き裂く装置として用意された存在なわけです。
誰がどう見ても正攻法で速水とマヤの仲を引き裂けるわけなかったので、こういう荒業に出た。
最悪ですよ。こんなもん。なんだこれ。
しかも、これで終わらないですからね(白目)
さて。そんな紫織と速水のとんでも展開を知らずに、いよいよ試演の舞台に向かったマヤと亜弓達。
さぁ!いよいよ次巻49巻は2024年3月現在での最新刊!いよいよこのシリーズも一旦終わりという事です!
49巻へ続く
画像:「ガラスの仮面」コミックス48巻より引用
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