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【感想】ガラスの仮面 20巻 次の舞台はコメディタッチなロボの役!さらに亜弓のジュリエットも生で見る

2023年12月7日

当ブログはその性質上、どうしてもネタバレを含みます。そんなの嫌だ!という方は十分に注意して読んでください。

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あらすじ

学校中で喝采を得ていたマヤだったが、ライバル亜弓の一人芝居「ジュリエット」で、その実力の差を思い知ることに。姫川亜弓が、なぜ演劇界幻の名作「紅天女」をめざすのか、その熱い思いを知る一日が…。

bookwalker作品紹介より

というお話です。作者は美内すずえさんです。

登場人物

北島マヤ:1人芝居『通り雨』で見事に佐藤ひろみを演じ、次なる舞台は演劇部主催の『わが作品No777愛しのオリンピア』での召使ロボルル役。

姫川亜弓:1人芝居『ジュリエット』でジュリエット役を演じる。その鍛えられた身体能力の高さと演技力で観客を魅了する。

感想

演劇部の舞台でロボ役を演じ、亜弓の1人芝居ジュリエットを見るマヤ

はい!というわけで今回紹介するのは『ガラスの仮面』の20巻です!

なんか、昨日くらいから『乙部りの』で検索してくる人がいっぱいいて嬉しいです。どんどん読んでほしい。

さぁでは紹介していきましょう!

演劇部の舞台が始まる

演劇部の舞台『わが作品No707愛しのオランピア』に出演するマヤ。

マヤの役は召使ロボのルルです。

劇のストーリーとしては、ちょっと変わった発明家ヨハンの家にソフィおばさんがやってくるところから始まります。

『32にもなって独身で』とはなかなか突き刺さるお言葉です。『妙ながらくたにばかりお金をつぎこむ』というのもなかなか痛いところ。

とにかく、世間から狂人よばわりされているヨハン。ヨハンの元にいた使用人もついに逃げ出し、いよいよ狂人ここに極まれり。という感じでソフィおばさんに説教されるわけですが、なにやらヨハンには自作の使用人がいるようで。

という感じでマヤの出番が始まります。

天才と紙一重のヨハンの手によって作られた機械人形のルル。彼女はお世辞にも優秀とはいいがたい性能でした。ソフィおばさんをもてなせと言われたら、花瓶の置かれた台をテーブルに。そのテーブルの上には破いたカーテンをテーブルクロスに。

お茶を出せと言われたらカップに大量のお茶の葉を投入。部屋を掃除するとなったら家の家具を壊す壊す……。

などなど。とにかくポンコツでどうしようもない。

そんなルルの滑稽な姿を見て大笑いする観客。

プライベートな話で言えばルルの中の人である北島マヤも芝居以外の事はたいがいポンコツなので素に近いと言えなくもないわけですが、演劇狂の世界感ではコメディ舞台でも白目シリアス。なにやらせても凄い。

こんな感じで、今回の舞台は結構珍しいマヤのコメディタッチな役を見る事が出来ます。

マヤの演じるルルは観客に大人気のまま劇は進んでいきます。

いきますが、なんかストーリーを巻きで進めたかったのか、マヤの出番以外は唐突に大量の文字で説明が始まります。

1ページ貼るのはちょっと個人的な美学に反するのですがこの文字の多さをみなさんにも知っていただきたくて。画像は小さくしました。

なんか妙に説明臭い凄い勢いで劇は進んでいきます。正直ちょっと細かく読む気にはなれません。あまり知る必要も無かったりしますが。

ルルを作ったヨハンの元にある依頼がやってきます。その依頼とは、オランピア・ラインホルトという女性の機械人形を作ってほしいというもの。

なんでも、ラインホルト伯爵という貴族の娘であるオランピアが他の貴族の子供との婚約を嫌がって湖に身投げして死んでしまったと。

それを知ってショックを受けた伯爵は婚約を無理強いした自分を責め体を壊し、もうそんなに長くないと医者に診断されたそうで。

そんな可哀想な伯爵のために娘そっくりの機械人形を作り、一言『おじいさまをうらんでなどいません』と言わせてもらえないか?

というのが依頼の内容。

これを受けてヨハンは今は亡き伯爵の娘であるオランピアにそっくりな機械人形を作り上げました。

ただ、このオランピアには1つだけ欠陥がありました。なぜか歯車が1個余ったのです。

この事により、ポンコツロボになってしまったオランピアと、元祖ポンコツのルルとのドタバタ劇……。

という感じのところで劇のシーンは終わります。話のオチがどうとかそういう描写は無いのです。こういうのも珍しい。

最後は演劇部の部長に白目で『大成功よ…この劇…』と言わせてフィニッシュです。あんまりコメディ書きたくなかったのかな?と邪推してしまうくらいにはふわっと終わりました。まぁたまにはこんな回もあるさ。

紫のバラの人(偽)と出会う

とにかく大成功に終わった演劇部でのマヤの舞台。

そんなマヤの元に紫のバラが届きます。

高校の演劇部の舞台にまでこんな派手な事するとか速水の承認欲求もたいがいなわけですが、とにかくマヤが待ちこがれた紫のバラが届きます。

同じ演劇部の生徒にこの花を持ってきた人を教えてもらい走って追いかけるマヤ。

辿り着いた駐車場には、ついに念願の紫のバラの人が……!!!!

お前誰だよ

ストパーあてた花京院みたいな人が登場しました。俺の知ってる紫のバラの人とちがう。

深刻で意味不明ないたずら……というわけではなく、彼はどうやら紫のバラの人の代理人らしいです。その名を聖唐人(ひじりからと)というようです。

マヤからの『紫のバラの人と繋がれないならせめてあなたの名前を教えてください』という涙ながらの願いに応じて名前を教えてくれた聖。

ただしこれには条件があり

とにかく外でぼくの存在を明かさない事。触れない事。という事でした。とりあえず秘密にしてほしいと。

あまりの凄みに圧倒されてはいと返事をするマヤ。なんだか実はとんでもない事に巻き込まれてるんじゃないか感。

しかしマヤはいい子なので、これで1歩前進したんだと。聖さんは謎の人だけど、紫のバラの人との間に渡ってはいけないけど橋がかかったんだ。そう思って納得するのでした。

突如現れた謎の青年聖唐人。彼の正体は……!!

という謎が展開されるでもなく、次のページからあっさり彼の正体に関する話が始まります。圧倒的テンポ。スピード感。

彼は、速水の……というより大都芸能の『影』の存在。らしいです。

20年前に破産に追い込まれ一家心中を図った聖一家の父と唐人を救った速水の父親。それ以来その恩を返すために親子二代命がけで大都の影となって生きる男聖。

たぶん裏で何人か殺ってんなという雰囲気がバンバンです。怖い。

『父とぼくは戸籍をなくしました』とかサラっと言ってるけど意味がわかりません。死んだ事にして借金取りから逃げたんでしょうか。大都の力なら肩代わりしてやれそうな気もするんですが。

俺は速水親子のクズっぷりをよく知っているので、もはやこの借金による心中事件ですら実は速水親子が裏で糸を引いているんじゃないかと疑ってますけどね。俺の知ってる速水親子ならそれくらい朝飯前でやる。

とにかく、今後この影の男が紫のバラの人とのパイプになる。らしい。

ジュリエットを見る

速水が劇団つきかげが使用している地下劇場までやってきて、マヤに亜弓のジュリエットの舞台のチケットをくれました。

反発するマヤですが、なんやかんやで一緒にジュリエットを見る事に。

そこで繰り広げられるのは、圧倒的な身体能力と演技力でジュリエットを演じる亜弓の芝居。

まず開幕『鳥』を表現します。

ガラスの仮面を読んだことが無くてただこのコマだけを見た人には面白いコマに見えるかもしれませんが、俺には見える。優雅にも軽く美しい動きで舞う亜弓様の姿が。

ここまでに積み重ねてきた亜弓様の努力が、このコマに説得力を生むのです。

そして次に、亜弓様は鳥からジュリエットになりました。

優雅な動きから、友達であるひばり(鳥)を呼んで長椅子に座る亜弓様。

脅威のボディバランス

見ている観客に長椅子があるかのように錯覚させる。このハイレベルなパフォーマンスを発揮できるのも、亜弓様が才能を持った努力の天才であるからです。

持って生まれた才能に満足する事なく自らを鍛え続ける。凄い事ですね。

ここからも、亜弓の1人舞台ジュリエットは続いていきます。

斬新なラブシーンもある

本来はロミオという重要な役も存在するはずのその劇を、1人芝居ジュリエットとして抜群の演技力で演じていく亜弓。それを見て涙を流すマヤ。

このままでは亜弓にはかなわない。一体どうすればいいの……。

あまりの演技に圧倒され、パニックになり月影先生の元へと向かうマヤ。

自分の事しか考えていないエゴの塊みたいな大人だらけの世界ではありますが、演劇という事においてはとにかく超一流なのです。月影先生は。そして、演劇しか自分にはないと思い込んでいるマヤにとって、帰る場所教えを乞う場所は月影先生の元しかないのです。

月影先生の元へ向かうと、そこで『亜弓のジュリエットを今ここでやってみなさい』と言われるマヤ。

いやほんとなんというか漫画力ですよ。マヤの動きは残念な動きだったんだろうなという事を感じる事が出来ます。

この亜弓様の優雅な動きと比べると今のマヤの動きはセクシーコマンドーです。

内側からあふれる無限の才能。演技の天才としての素質を持っていたとしても、それだけでは乗り越えられない『基礎力』という壁。鍛え方が足りない。

マヤを責める月影先生ですが、そもそも指導役はあなたなのでは?と思わないでもないですが、とにかく。

幼少の頃から最高の環境を与えられてきた亜弓と、住み込み中華屋の出前をやっていたマヤとでは圧倒的に差がある。

果たしてこれからマヤは亜弓に追いつく事が出来るのか……。

それから

ここまでで20巻の半分くらいです。

ここからは、ついにマヤが高校を卒業してみたり、ついに月影先生が紅天女を演じる条件を発表したりします。

基本的には後継者は亜弓。しかし、もう一方の候補者であるマヤがある条件を満たした場合マヤも後継者として考える。という流れ。

マヤが『今から2年以内に芸術大賞か全日本演劇協会の最優秀演技賞を受賞した場合』という条件でマヤも紅天女候補として認める。というわけです。

なんとなくですが、月影先生が自分の弟子の選考基準をなにかしらの権威ある賞に定めるとかいう俗な事をするのが意外ではあります。まぁこれ自体がマヤに対する荒療治的側面もあるわけですが。

というわけで、正式に紅天女候補を亜弓と争うための前段階の戦いが始まったマヤ。

これから彼女の人生はどうなっていくのか。

21巻に続く。

画像:「ガラスの仮面」コミックス20巻より引用

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