【感想】ガラスの仮面 2巻 選択肢4つの即興演劇バトル!
あらすじ
マヤの人生を演劇の世界へと導く、かつての大女優・月影千草。マヤの劇団つきかげでのレッスン、いや修業が始まる。そして永遠のライバル、姫川亜弓との運命の闘いがはじまる。彼女たちの壮絶な女優人生を誰が予想できるだろうか? bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は美内すずえさんです。
登場人物
北島マヤ:その才能を月影先生に見出され劇団つきかげに所属する事になる。所属する事にと言ってもそんなに円満でも無かった。家出してきたし。中学2年生になりました。
月影千草:劇作家尾崎一蓮が書いた『紅天女』の主演女優。自身の後継者となる女優を育てるべく劇団つきかげを立ち上げる。そこには様々な女優の卵が所属するが、ちょっとマヤを贔屓しすぎのような気がしないでもない。演技のためなら暴力も辞さないスパルタ精神の持ち主。
桜小路優:劇団オンディーヌ所属。マヤとちょっといい感じのナイスガイ。今でいうイケメン。
姫川亜弓:劇団オンディーヌ所属。マヤのライバル。前巻ではマヤとパントマイム対決を繰り広げたが、2巻でも演技バトルを繰り広げる事になる。
感想
劇団つきかげはややスパルタ傾向
劇団つきかげに所属する事になり、ついに本格的な演技の稽古を受ける事になったマヤ。いくら才能があると言っても演技の経験は素人同然。周りからは厳しい目を向けられます。
なにより、マヤを後継者候補として見ている月影先生の指導方法がちょっと厳しすぎる感があります。
声が出てないので腹パン
令和の世なら間違いなく大炎上案件ですが、そこはそこ。昔はこういうのがまぁ通ったんですよ。たぶん。
そしてマヤは中学2年に進級。そんなマヤの所へ、親に黙って家出して劇団つきかげに入団した事で激怒していた母から手紙がきました、
怖い母親だけど娘がいないと寂しい
マヤが家出して入団した時に、ちょっと(かなり)暴れてしまったお母さんでしたがそれを反省。むしろ一人娘が離れて暮らす寂しさを感じる手紙を送ってこられました。
そして手紙と一緒にちょっとした生活用品と、できれば時々劇団での生活を教えて欲しいとマヤに伝えてください。
という、大変心を打たれる母からの手紙でした。
が。
それはちょっと
なんと月影先生。そんな母からの手紙や小包をマヤに無断で破って燃やして捨てました。お前鬼か。そもそもよく考えたらマヤ宛の手紙を先に読むとかとんでもない話なんですけどね。
そしてこんな鬼畜の所業を行っておいてこの言い草です。
あまりに自分勝手
黒夫人(月影先生のあだ名)ご乱心の巻です。後継者候補育成に執着するあまり頭おかしくなったのでは?というくらいひどい。今ならSNSで拡散の後フルボッコで謝罪会見です。パワハラなんてもんじゃねぇよ!
とにかく。演技の道はそれほどに深く険しいのだ。という事です。
そして、マヤの分の劇団の月謝だなんだの諸経費は月影先生が立て替えてくれているのですがあんまり迷惑もかけられない。という事でバイトをする事にしました。
そのバイトの給料というのもこれまたなかなかのもので日曜の朝8時から夕方の6時までで1日1500円!!
1万5000円とか凄いな!って話じゃないですよ。1500円ですからね。当時の価値にしていくらなのか気になります。しかも契約書なんてありませんからね。口頭です。炎上です。
そんな黒いバイト先に、ちょっと気になる彼が来店。
足が長い
シャツinのチェック柄にハンチング帽。往年のチェッカーズ風。時代を感じますね。俺はまだこの頃はギリギリ産まれてないくらいです。
演技バトル勃発
そんなラブロマンスもあったりする中で、着実に演技のレッスンを重ねていくマヤ。
しかし、どうも周りからの評判が良くない。繊細で表現力に乏しい風のマヤの演技は周囲に理解されにくいようでした。
笑いの表現
いわゆる『馬鹿でもわかるように演じろ』とか言われるやつです。アクタージュの夜凪と同じタイプの不器用さがありますね。
しかしこのマヤの演技を見てご満悦の月影先生。ついに芝居の練習をする事にしました。
来週までにこのセリフを覚えてくるように。言われて渡されたプリントがこちら。
たった4つのセリフ
セリフはこの4つ。なんだこれはと困惑するモブ。そりゃそうだ。一応劇団つきかげは望めば誰でも所属出来るわけではなく、ある程度月影先生の選抜によって決まっているっぽいので、モブといえどもそこそこの実力の持ち主のはずなのですが、これには流石に驚きです。
しかしマヤはこの謎の真意に迫ります。同じ言葉でもアクセントの違いで全然意味が変わってくる。雨。飴。蜘蛛。雲。
そんな繊細で扱いが難しい『言葉』に対する課題に違いない!
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その後ちょっと気になる桜小路君と一緒に大都芸能スタジオに練習を見学に行き、そこで劇団つきかげの創設の理由と伝説の演劇『紅天女』について知るマヤ。
そしていよいよ劇の稽古の日がやってきました。
今回演じる劇でのルール
- 使っていいセリフは「はい」「いいえ」「ありがとう」「すいません」の4つのみ
- 生徒と先生が2人で即興で演じる
- 生徒側はこの4つ以外を使ったり途中でつかえたり適切でない使い方をした場合は失格
というルール。なかなかにレベルの高い縛りです。先生はバンバン自由な話をするのに、生徒側の選択肢が非常に狭くどんどん失格になっていく生徒達。
そんな練習をフラっと亜弓が見学にきました。マヤ達の練習を子供っぽいとバカにしたあげくに
「わたしをそこの先生のかわりに舞台へあげていただけませんか?」
などと言い出しました。この流れになれば、当然生徒側は我らがマヤです。
こうして、舞台上での即興演技バトルが幕を開ける!!
序盤の、なんてことない日常会話は難なくクリア。その後家の中に入っての会話が始まると、亜弓が攻撃に出ます。
「コーヒーがいい?それとも紅茶がいい?」
亜弓は家の主人で、マヤはそこに招かれた。という設定で、まぁとりあえず飲み物でも。という流れからのこの選択。当然マヤは4つの言葉しか使えませんのでずばり名前を言うわけにはいかない。
それに対してのマヤの返答は。
ギリギリセー・・・フ?
「コーヒーがいい?紅茶がいい?」という質問に対してマヤの返答は「いいえ」でした。
切り抜け・・・た・・・のか?いいのこれ?審議じゃない?と思わないでもないですが、その後もやりとりは続行。
この返答を受け、紅茶もミルクもダメと受け取り、ミルクを出す亜弓。
「お砂糖は何ばい?」
「いいえ」
「まぁお砂糖も入れないの!」
と。・・・なんかちょっとマヤに甘くないかなぁこのジャッジ。ちょっと納得いかないなぁ。でもミルクに砂糖は入れないよなぁ。その辺もどうなんやろ。
その後もなんやかんやでなんとこのバトルは1時間も続きます。すげぇなお互い。
しかも1時間後の舞台上での会話は
「あなたおうちが横浜だとか?」
「はい」
とか、住んでる家の話してますからね。全然会話進んでない。どんだけ自己紹介長いんやと。そしてさらに亜弓の攻撃は続きます。
「あなたの学校の校長先生の名前はなんというのかしら?」
そんな事気になるかなぁ!?ちょっと無理のある話の振り方なんじゃないかなぁ!?と思うんですが、なかなかこれは難題です。名前ですからね。はいもいいえもおかしい。
それに対するマヤの返答は!
それはアカンやろ
ちょっとダメなんじゃないですかね!それがアリなら砂糖も指で言えましたよね!グダグダになってませんかねそれ!
ルールの穴というか限りなく黒に近いグレーでなんとか乗り切るマヤ。それに対してさらに
「校長先生の名前も知らないのはおかしい」
と追撃を繰り出す亜弓でしたが、モブの
「その子は転校してきたばかりだから知らなくても不自然ではないわ!」
とかいうガヤで切り抜け・・・て?えぇ?いいのかそれ?
そしてついに亜弓の最終奥義。
「あなたは音楽は好き?それではレコードをかけるわ。いろいろあるのよ。どんな曲が好き?」
レコードって現代っ子は名前は知ってても見た事無いと思います。時代を感じる。
とにかく。客人のために何かしらのレコードをかけてくれるという流れ。そんなおかまいなく。
やたら挑戦的な態度の家主
もうこの辺になると家主と客人設定を半ば忘れて、ほとんど私怨というか中の人の個人の感情でやってるわけなんですが、いいのかこれで。
そんないじわるな亜弓の質問に対してマヤの返答がこれ。
ドヤ顔
パントマイムで部屋の中からレコードを探し、家主に渡す。
これはいいですね!頭脳バトルのオチって感じがしますよ!この「ハイ!」の時俺なら脳汁ドバドバですよ。超ドヤ顔で渡すね!
これを乗り切られた事で亜弓はその能力で魂を抜かれ・・・みたいな事はなく、ここで演技終了。月影先生からストップがかかりました。大変よろしい演技でした。
若草物語
それからしばらくして、劇団つきかげで秋の発表会をする事になりました。演目は「若草物語」です。
マヤはこの劇で姉妹のベス役を演じる事になりました。
しかし。
同じ劇団の仲間のさやかちゃんがベス役を狙っていたのでした。役を落とされガッカリするさやか。でも、どうしてもこの役が演じたい。割り切れない気持ちが残る事になります。
そして、劇の発表が決まったのでさっそくみんなで練習しましょう!
と夜の部屋で昭和の女子会兼練習が始まりました。
華やかな
ネグリジェです。一応この格好を恥ずかしい!と思うくだりがあったりするんですが、この時代の少女は本当につつましい感じだったんですね。現代人なんか胸の所がねこちゃんの形のブラとかするよ。
少女達が自主的にキャッキャウフフしながら楽しく練習しているところに、パトロンとの関係問題で荒れて不機嫌な月影先生がやってきました。
ガチャガチャに荒れた部屋を見て、怒るどころかせっかくだからこのままやってみなさい。私も参加するわ。とか言って月影先生も稽古に参戦。
俺がマヤなら内心『あぁめんどくさい事になったな』と思う場面ですが、果たしてスパルタ先生の教えとは。
案の定ゆるふわ女子会は台無しに
その後朝まで稽古をする事に。厳しいなんてもんじゃないです。いつどこで先生の指導という名のパワハラ発生スイッチを踏んでしまうかわからない。スリリングな生活です。
ただまぁ一般的なサラリーマンとは違いますから。実力主義結果主義の芸事の世界では、これくらいの気合が無いと他から抜きんでるのは難しいのでしょう。
しかし。せっかく大抜擢され仲間も応援してくれているのですが、どうにもベスの気持ちというか心情を上手く理解出来ずに沼にはまってしまうマヤ。
このままでは降板もありうる。ベス役を狙っているさやかに代わってもらうぞ。と言われる始末。
そんなマヤに月影先生が突き付けた条件は。
- これから一週間ベスとして演技しながら生きてもらう
- 当然学校も行ってはダメ。
- 一週間後にテストを行い、ダメなら降板
というものでした。ハード過ぎないですかね?とくに学校行くの禁止とか。
ベスはその内気さ故学校にも行かなかった。という作中の設定からくる条件なのですが、いくらなんでも・・・。
不安しかない
演技のためなら義務教育すら放棄させる。厳しい。
そこから始まるベスとしての生活。果たして役はつかめるのか!若草物語はどうなるのか!
というのが2巻の内容です。相変わらず1巻の内容が濃いなぁ。
前の時も書きましたが、とにかく日常パートみたいなものがほとんどないんですよね。現代の漫画なら寮生活の描写でたぶん3話くらい使いますよ。転校後の学校生活でも2話くらい使う。
そういう無駄って言っていいのかわかりませんが、無駄がなく、とにかく演技の話のイベントが日常で隙間なくギチギチに詰まってる感じがします。まぁ描かれないだけで普通の生活もあるんだと思いますけど。
で、そんな演劇漬けの毎日ですがこれは少女漫画なので、当然恋愛パートもちょいちょいあります。今のところ桜小路君推し。
これからマヤはベスに入り込みすぎてちょっと人格変わったりするのですが、業が深いですね役者道。星アリサなら止めてるところですが、月影先生は容赦ないです。
画像:「ガラスの仮面」コミックス2巻より引用
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