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【感想】ガラスの仮面 4巻 怒りの感情も覚えいよいよ始まるダブルキャスト編

2019年12月1日

当ブログはその性質上、どうしてもネタバレを含みます。そんなの嫌だ!という方は十分に注意して読んでください。

 

あらすじ

亜弓の劇団オンディーヌと劇団つきかげは共に「たけくらべ」でぶつかりあい、競い合うことに。全国大会では新たなライバル劇団一角獣が現れ、益々白熱していく。そこでマヤと劇団つきかげに仕掛けられた罠とは。 bookwalker作品紹介より

というお話です。作者は美内すずえさんです。

登場人物

北島マヤ:劇団オンディーヌの陰謀により、オンディーヌと同じ演目である『たけくらべ』を演じる事になる。演じる役は亜弓と同じ美登利役。3巻の終盤で小屋に閉じ込められた状態で練習をするという地獄を味わう。が、教える側も雪の降る中で立ち尽くして演技して教えていたので、師弟でちょっとネジが外れている。

月影千草:劇団つきかげの創始者。パトロンと噂される社長とのスキャンダルが雑誌に取り上げられ、劇団のピンチを招いてしまう。それが事実かどうかはさておき、ちょっと脇が甘い。今なら謝罪会見に追い込まれてもおかしくないが特に謝ったりはしない。

姫川亜弓:劇団オンディーヌ所属。マヤのライバル。演劇コンクールの東京予選で劇団つきかげとおなじく『たけくらべ』にてマヤと同じ『美登利』を演じる事になる。練習の舞台でマヤの心を折るほど完璧な美登利を演じてみせた。

感想

いよいよ始まるダブルキャスト編!!

はい!というわけで、今回紹介するのは結構久しぶりになってしまった『ガラスの仮面』の4巻です!現在49巻まで発売されているので、残り45巻ですがボチボチやってきたいと思います。

で。

いよいよ始まりましたダブルキャスト編。演じる演目は羅刹女・・・ではなく、たけくらべです。

前回3巻で亜弓の演技を見て心が折れてしまったマヤを冷静にさせるために小屋に閉じ込め、自身は吹雪の中小屋の外でマヤの練習相手をつとめた月影先生。ホントマジ頭おかしい。

医者からストップがかかってもやめず、他の劇団員が手伝うと言っても断り、演技の事しか頭に無い師弟はついにぶっ倒れて気絶するまで演技を続け、なんとか『マヤだけの美登利』を掴む事ができました。

というところから始まる4巻です。

まずはオンディーヌの番

この手のバトル物?では『先攻は負けフラグ』というのがありがちな展開ではありますが、まずは劇団オンディーヌからたけくらべを演じます。

事前の舞台練習で実力の差を見せつけ、さぞかしマヤはビビってる事だろうと会場入りの時にマヤを煽りにいく亜弓。

この煽りに周りは露骨に不快感を示しますが、当の本人は

「ありがとう(ニッコリ)」

と返します。なかなかの煽り耐性。俺が近くにいたらもう帰りたいと思います。

実力を見せつけられるのが怖くてマヤはガクブルだと思っていたのに、まったく動じず返事をしてきた事に逆に動揺してしまう亜弓。

怖いよこの人達。

劇団つきかげの楽屋に、紫のバラが置いてあった事でやる気が上がったマヤ。いよいよオンディーヌの劇が始まります。

天才姫川亜弓

汚い手を使ってきたりするとはいえ、実力そのものも一流である劇団オンディーヌ。亜弓1人だけではなく他の団員もレベルが高いようで、舞台は大盛況で進んでいきます。

同じ演目を演じるライバルとして、当然その様子を偵察に行くつきかげのメンバーでしたが、マヤはその誘いを拒否。

差し入れられた紫のバラを見ながら『亜弓さんがどう演じようとあたしには関係ない』と。

鋼メンタルどころかオリハルコンメンタルだと思います。この劇で結果出なかったら劇団潰れるんよ?事前に舞台練習も出来なかったし相手は超一流の劇団だし主役も超一流なのよ?同じ役演じるんよ?

俺なら不安でいっそ殺せと思うところですが、そんなだからダメなんだ。俺は。

さて。マヤが演技を見る見ないに関わらず、オンディーヌが演じるたけくらべは進んでいきます。

この辺、演者の心理描写的なのは無くて、読者も『たけくらべという劇を見ている』という視点で話が進みます。あんまり他の漫画の話するのもアレですが、アクタージュは劇中は演者の心理描写が多いですよね。

俺はこの『一緒に劇を見ている目線』の方が好きかなぁ。この辺はそれぞれ好みですけどね。最低限『どんな劇を演じているか』がわかるのは感情移入に大事だよなと思ったりします。

で。ここで、そもそも『たけくらべ』というのはどういうお話かを説明します。といっても俺も詳しいわけではないんですけど。ざっとwikiからの引用で。

吉原の遊女を姉に持つ勝気な少女美登利は、豊富な小遣いで子供たちの女王様のような存在だった。対して龍華寺僧侶の息子信如は、俗物的な父を恥じる内向的な少年である。二人は同じ学校に通っているが、運動会の日、美登利が信如にハンカチを差し出したことで皆から囃し立てられる。信如は美登利に邪険な態度をとるようになり、美登利も信如を嫌うようになった。

吉原の子供たちは、鳶の頭の子長吉を中心とした横町組と、金貸しの子正太郎を中心とした表町組に分かれ対立していた。千束神社(千束稲荷神社)の夏祭りの日、美登利ら表町組は幻灯会のため「筆や」に集まる。だが正太郎が帰宅した隙に、横町組は横町に住みながら表町組に入っている三五郎を暴行する。美登利はこれに怒るが、長吉に罵倒され屈辱を受ける。

ある雨の日、用事に出た信如は美登利の家の前で突然下駄の鼻緒が切れて困っていた。美登利は鼻緒をすげる端切れを差し出そうと外に出るが、相手が信如とわかるととっさに身を隠す。信如も美登利に気づくが恥ずかしさから無視する。美登利は恥じらいながらも端切れを信如に向かって投げるが、信如は通りかかった長吉の下駄を借りて去ってしまう。

大鳥神社の三の酉の市の日、正太郎は髪を島田に結い美しく着飾った美登利に声をかける。しかし美登利は悲しげな様子で正太郎を拒絶、以後、他の子供とも遊ばなくなってしまう。ある朝、誰かが家の門に差し入れた水仙の造花を美登利はなぜか懐かしく思い、一輪ざしに飾る。それは信如が僧侶の学校に入った日のことだった。 wikiより

ちょっと長いんですけど、こういうお話です。樋口一葉の短編小説です。

この引用の段落3つ目。『ある雨の日』から『借りて去ってしまう』という部分が、ガラスの仮面内では劇の最大の見どころとして扱われます。

そしてこのシーンを見事に演じ切った亜弓。会場は絶賛の嵐になりました。

よく見ると中央付近に謎のパンダマンみたいなのがいたり。小さな遊び心ですね。

大好評のうちにオンディーヌのたけくらべが終わり、次はいよいよつきかげの番です。

マヤの美登利

オンディーヌの劇があれだけ盛り上がった後に同じ演目を演じるという事で、可哀想にという同情の意見も多数ありますがとにかく舞台は始まります。途中汚い大人の煽りあいもあったり。こいつらすぐ喧嘩しよる。

気になるマヤの演技ですが、かたやすでに有名な亜弓に対して無名のマヤ。前評判はもちろん亜弓優勢なのですが・・・。

亜弓が演じた『完璧な美登利としての美登利』に対してマヤが演じた『マヤが演じる美登利』という違い。

粗削りではあるものの、その演技は見る人を引きつけます。演技力としては亜弓の方が上のはずなのに、マヤの演技の方に魅力を感じてしまう・・・。

そしていよいよ舞台はクライマックスへ。

果たして予選の結果やいかに。

と、ここまでで4巻の半分くらいです。結果がどうなったか?はともかくとして、全国大会への切符を手に入れたマヤ達。そこでまたオンディーヌと激しい戦いを繰り広げる事になります。

演じる演目は『ジーナと5つの青い壺』という劇で、これは美内すずえさんのオリジナルの劇です。

ざっくりしたストーリはこちら。

説明ありがとう月影先生。親切な解説のコマなのに月影先生の地顔が怖いせいでなんかシュールですよね。

アクロバティックな演技を得意とする、北海道代表の『劇団一角獣』という新たな劇団が登場したり、演技の練習のしすぎでまた1人えらい事になったりします。

ガリガリやないかい!

いよいよ始まる全国大会編。マヤ達劇団つきかげは果たして結果を出せるのでしょうか。5巻へ続く。

ひどい事しやがる。

画像:「ガラスの仮面」4巻より引用

 

青空文庫で読む(たけくらべ)

俺はアホなのでちょっとレベルが高かったです。

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