【感想】モノクロのふたり 1巻 社会人になり夢を1度諦めた2人が再び夢に向かって走り出す!
あらすじ
【デジタル版限定!「少年ジャンプ+」掲載時のカラーページを完全収録!!】仕事熱心なサラリーマン・不動花壱。幼少期、絵を描くことが大好きだった不動は、母を喪ったことで絵で生きていく夢を諦め仕事一筋の生活を送っていた。そんなある日、営業成績1位の先輩・若葉が、職場で倒れているところに出くわす。趣味で漫画を描いているという若葉は、睡眠不足と実力不足で限界状態。不動はそんな彼女に漫画を描くのを手伝ってほしいと迫られ…!? 諦めた夢を、ふたりでもう一度。異色の漫画家物語、開幕!
bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は松本陽介さんです。前作の『その淑女は偶像となる』がめちゃくちゃ好きなので非常に楽しみにしている漫画です。
登場人物
不動花壱:絵を描くのが好きな少年であったが早くに母を亡くした事により家計を支えるために夢を諦め、労働三昧の日々を送る。優秀なサラリーマン。しかしその心にくすぶり続けていた絵への想いが物語を動かしていく。
若葉沙織:職場では優秀な女性。昔漫画家になる事が夢であったが結果を残せず社会人になりその夢は諦めた。しかし花壱の絵を見てその情熱が蘇り漫画を描き始める。ポンコツ可愛い。
感想
夢諦めた社会人が再び夢を目指す!熱血漫画家漫画!!!
はい!というわけで今回紹介するのは『モノクロのふたり』の1巻です!
個人的に今かなり注目度の高い漫画です。前作の『その淑女は偶像となる』が凄く好きなので、この作品も大好き。ではその感想を書いていきましょう!
ふたりの出会い
不動花壱と若葉沙織。この2人のシーンから物語は始まります。
いきなり盛大に嘔吐するヒロイン
なかなかのインパクトから始まりました。バケツに向かって吐き散らかしているのがこの漫画のヒロインとなる若葉沙織。そしてそれをドン引きしながら見ているのが不動花壱です。
さて。この衝撃の冒頭から始まり話は少し時間をさかのぼります。
まず、花壱の紹介から。
「ミスをせず」「迅速に」「なにものとも衝突しない」
そんな歯車サラリーマンが不動花壱。という自己紹介。いやいやなかなか出来る事じゃないですよ。人から頼られる優秀な男。彼がそのような生き方をする事になるには少し複雑な事情があるわけですがそれはのちほど。
この日も同僚の仕事を代わりに引き受けていました。
なかなかここまで歯車に徹する事は出来ないとは思いますが、基本的に人類は愚かなので『頼れるいいヤツ』というのは利用される側になりがちかなと思います。世界はそんなに他人に恩義を感じないと思っている派。
『出来て当たり前』は軽視されがちで、ヤンキーが気まぐれで猫を助けただけで賞賛される世界なんかクソくらえです。いや別になんかあったとかいうわけではないですよ?
さて。そんな俺の人生観はともかく。
そんなバリバリ働く花壱に声をかけてくれる先輩が1人。
冒頭ゲロ吐いてた女性がここで登場です。
彼女の名前は若葉沙織。どうやら営業成績トップのやり手の先輩のようです。吐いてたのに?
ちなみに、ここからどんどん彼女のポンコツ可愛いがしかし芯に熱い部分のある女性であるという魅力に我々は魅了されていく事になります。若葉ポンコツ可愛い。
花壱の仕事の手伝いをしてくれたようで、その完璧な仕事に感動する花壱。さっそく若葉の作ってくれた資料を確認するために離席する花壱と、その机の上に置いてあった絵を見て何やら考える若葉。
そして。
結局仕事は夜21時まで続く事になりました。他の同僚は帰っているのに1人遅くまで働いていた花壱。
社会人ウン十年目のオッサン目線から見てこれはいい事ではないと感じますね。やるからやらされる。ヤバイ負のスパイラルに陥る手前でしょう。このままではいずれ潰れてしまわないか心配です。
しかし。花壱がここまで労働に徹するのにはある理由がありました。
「俺には仕事しかない」と「俺に」言い聞かせるため
少年時代の花壱は絵で生きていくと決めて努力していました。
しかし。そこに訪れた現実は非情でした。花壱が15歳の時に母が急逝。母子家庭であった花壱とその妹は祖母の元へ引き取られる事になりました。
まだ思春期真っ盛り。その最中に訪れた不幸。
普通ならグレてもおかしくないその状況に対して、花壱が選んだ道とは。
彼はその夢を諦め、労働によって家計を支えていく道を選びました。
誰が悪いわけでもない
それはそうかもしれませんが少年にはかなり酷な判断に思えますね。
実は俺も、母が死んだわけではないですが家があまり裕福ではなかったのでこれに近い境遇で生きてきた過去がありまして、家庭の事情に貴重な青春を奪われた経験があります。
なのでここでの花壱の気持ちに自分を重ねて胸がえぐられる思いです。
こういうのって、若い頃は体力気力共にあるのでなんとか気合と根性で乗り越えていけるのですが、年を取ってから落ち着いてふと後ろを振り返った時に『真っ直ぐ人生が進んでいれば得られたであろう何か』を思うとしんどくなったりします。
お金と経験が十分にあっても、もう絶対に手に入れる事の無い貴重な何か。それを失ってなお満足のいく人生を手に入れるためには、普通の人よりさらに頑張るしかない。その頑張りのためにさらに貴重な何かを失っていく。負のスパイラルです。
今回主人公達が社会人なのでなんか色々複雑な感情で読んでしまうのですが、そういうところが好きな部分でもあります。
さて。そんな俺個人の感情はさておき。
やはり花壱も『何か』を失い我慢してきた。息抜きに描いていた絵をゴミ箱に捨てこれでいいんだと自分に言い聞かせます。
まぁ、大小あっても人はこうして大人になっていくのかもしれません。嫌な話ですが。
それから。
結局最後の1人になるまで仕事を続けていたさぁ帰ろうかとしたところ、別の部屋からなにやら大きな物音が。
何事かと驚いてその部屋に突入した花壱が見た光景とは!
し……死んでる!?
先程花壱を助けてくれた完璧かっこいい若葉が部屋で倒れていました。なんだこれヤバイじゃねぇかととりあえず救急車……。と思って部屋を見渡せば、そこに流れる液体とインク。
そして漫画の原稿。改めて若葉の方を見てみると……。
優秀さが少しずつ怪しくなってきた
俺、この松本先生の手書きのフォント好きなんですよ。『手書き風』なのかもしれませんがとにかく俺はこの手書きフォントが好きなのです。前作の時から。
あとなんですかねこの絶妙な表情。大変な事になってますよ。だいぶキマった顔でぐったり倒れる若葉。
営業成績No1の頼れる先輩。他の人が悩んでいる時にも素早く的確なアドバイスを与えてきた優秀な先輩。
それが今。
コピー機の前で自身のペン入れの才能の無さを嘆きながらバッドトリップ中。一大事。
乙女の尊厳が著しく破壊されたその様子。えらい事ですよ。
そしてここから場面は冒頭に繋がっていく。というわけですね。
若葉先輩
さて。そんなわけで話の流れは冒頭に戻り。『どうして若葉は吐いていたのか』という事が語られます。
若葉は趣味で漫画作成をしていて、その締め切りが近く寝不足。かつ印刷した原稿の下手さを見てショックで倒れた。という事のようです。
若葉頑張れ。
自分の実力不足を嘆いて吐くほど夢中になれるというのはそれはそれで凄い事かと思いますけどね。
さて。このとんでもない醜態をどうか秘密にしていてほしいと花壱に懇願する若葉。それはそう。
しかしまぁこのご時世いくらでも他に方法がありそうなものなのに、なぜわざわざ職場のプリンターで印刷するのか?という疑問を訪ねてみる花壱。
すると、どうやら若葉はデジタル派のようですがその仕上がりを印刷して確かめてみたいようで、でも漫画の仕上がりを綺麗に印刷するようなプリンターはなかなかお高いのだそうで。
コンビニでも印刷出来ない事はないんだけど、人前で自分の漫画を印刷する事がどうしても恥ずかしい……。
という事で、誰にも見られる心配のない職場のプリンターを選んだ。という事のようです。
まぁ結果花壱に見つかりましたけどね。
そしてさらに恐ろしい真実も明らかに。
進捗ダメです
なんと、締め切りは2日後。そして現在白い原稿が36枚!
これ詰んだんじゃね?
俺は漫画を描かないので詳しくはわかりませんが、この状況がヤバイという事だけはわかります。
だいたいまぁこんな感じなんじゃないかと思うわけですが、果たしてこの状況からでも入れる保険はあるのでしょうか。
今回の賞は絶対に受賞する気で頑張った結果ネームで詰まってしまいこの進捗になったそうです。なのでこの土日は頑張らないといけないと。
頑張って36枚の原稿が埋まるのかどうかはわかりませんが、気合と根性の範疇を越えているような気もしないでもない。
しかし。あの優秀で完璧な若葉がこれほど取り乱してまで追う『何か』。その姿を見て自身の過去を思い出す花壱。
そして。
そんな花壱に若葉先輩からお願いが。
怪しい勧誘
花壱に『副業を探していないか?』と尋ねる若葉。
実は若葉は花壱が時々絵を描いている事を知っていて、それを見て『不動くんの絵いいな』と思っていたようなのです。
なので、私の手伝いをしてくれないかと。これに対して少し考える時間をくださいと返す花壱。
俺が花壱ならこんな可愛い先輩の漫画の手伝いとか即答で了解するところですが、彼には彼なりのやらなければならない事がありますのでなかなか多忙な男。
その後2人で会社を後にししばらく話ながら歩きます。
変な話をして申し訳ないと謝罪する若葉。情けない可愛い。
そんな若葉に花壱が尋ねます。
どうしてそこまでするんですか?
なるほど当然の疑問ですね。仕事も出来ないわけではないし、その漫画が『副業』という立ち位置ならまだ理解も出来るがまだそれは『趣味』の範疇。なのになぜ倒れるまで頑張る事が出来るのか?
純粋に『そこまでやる』動機が知りたくて。
花壱の中にある『何か』に対する想いを刺激した感じですね。どうしてこの人はそこまで。
若葉の口から語られたその理由は意外なものでした。
夢ときっかけと
漫画家になるのが夢『だったの』
そう語り始める若葉。
でもそれも昔の話で、結局結果も出せずに社会人になってからはそれも諦めていた。仕事一筋だった。
しかし……。
時々描いていた花壱の絵。それを見て若葉の中にどうしても私も描きたいという気持ちが芽生え始めます。
それから、空き時間で少しずつ若葉も絵を描くようになっていき、今日はあれを。明日はあれを。
どんどんとやりたい事が増えていき、毎日忙しくなってきたけどそれでも。
やりたい事に一生懸命な今が一番楽しいの。
そう言って複雑な笑顔を見せる若葉。
若葉は、1度諦めた夢を再び追い続ける強い人だった。
そして。
そんな強い人に影響を与えていたのは俺だった。
これね。まず最初に話の流れを説明したのですが、ここの流れ俺好きなんですよ。
まず最初に、花壱が描いていたという手書きの絵。これからこういう描写が何度でも出てくると思うのですが、ちょっとメタい話になるんですけど『モノクロのふたり』としての画風があって、その世界の中で特別というか異質な、ちゃんと『花壱の画風』としてこういう絵が存在している。
ここに俺は感動を覚えるわけです。
この漫画は『漫画家漫画』ですから、この漫画にウソでは無い説得力を与えるためには作中作の漫画が面白い事心を動かす事というのが必要なわけですよ。
ちょっと違う漫画の話になるんですけど、俺は他にもガラスの仮面の感想とかも書いてたりするんですけどそこでもこの『作中作』にどれほど設定があるかそこに本当を感じさせてくれるかどうか?がかなり重要な事だと思うんですよ。
前作の『その淑女は偶像となる』の時でも、劇中に登場するアイドルのその迫力というか凄さの表現がとても好きだったので、俺こういうところちゃんとしてるのが凄い好きなんですよ。
別に適当にする事も出来るはずなのに、ちゃんと『この世界の中にいる不動花壱という男の絵』を感じさせてくれる。凄い事だと思います。
そして、花壱の気持ちです。
たぶん、家庭の事情で色々な事を諦め我慢してきたと思うんですが、そんな花壱から見て『強い女性』だと感じた若葉が追っていたのは自分だった。
もうこれでどれだけ衝撃を受けたか。という事ですよね。後頭部思いっきりぶん殴られた気持ちだったんじゃないでしょうか。
さて。衝撃の告白を受け花壱の頭に自らの過去が蘇ります。
物作りにおいて一番嬉しい瞬間とは。
作品が完成した時でも最高のアイディアを生み出した時でもない。
一番嬉しい瞬間は。
今は亡き母。彼女が自分の作品を見て薄っすらと涙を浮かべるその姿。
自分の作品で誰かの心を動かした瞬間だ。
こう、グッと胸を掴まれるシーンです。
そこからさらに花壱の独白は続き。
ただ、俺は妹を守らないといけない。仕事がある。家賃や生活費。税金だって払わなくちゃいけない。
だからこれでいいんだ。『やりたい事』より仕事を選んだ。
これでいいとわかっている。
なのに。
一度は捨てたはずのその絵。それをポケットから取り出し想う。
どうして俺は、紙切れ1枚捨てられないんだ
と。
ここのね。悔しさと複雑さがにじみ出た花壱の顔が心にくるところなのでもし読んでないという方はぜひ買って読んでみてほしいです。こんなところで切り張りで読んでいい部分ではないので。
俺はね。花壱も十分頑張ってると思うんですよ。幼くして母を亡くし、自分を押し殺して妹のために労働に必死になってここまでやってきた。
例えばここで若葉と出会わないでそのまま頑張り続けた花壱も人として胸を張っていいと思いますよ。おそらく世の中の大部分の大人は大小あってもこんな風に何かを諦め、その代わり他の大事な何かを手に入れ生きるのです。
本当に、この漫画はちゃんと社会人の漫画というかファンタジーの少ない漫画なので読むたびに疲れた社畜のオッサンの心を動かすのです。
いつかそのうち俺会社辞めて何か始めてみようかなみたいな夢を見てしまいそうな危険がある。
そして世界は動き出す
場面は若葉の家に。
花壱にあんなお願いをしてみたけど、絶対困ってるわ月曜日に会ったら謝ろう。と相変わらずの1人反省会。
そんな時、原稿作業に向かう若葉の電話がなりました。電話の相手は花壱です。
う、うおぉぉぉぉっぉぉぉぉぉぉぉぉx!!!!!!!
頑張れ花壱!!!俺はお前を応援してるぞ!!!!!
と手に汗握るシーンです。
そこから電話で若葉との作業に関する打ち合わせ。お互いの作業内容とか必要な時間などのすり合わせ。この辺流石社会人。お互い優秀なサラリーマンという感じですね。
本当は土日はバイト漬けの予定だったけど、若葉の漫画のアシスタントも給料がもらえるので副業みたいなものだし……。
それに……。
母が亡くなってから『少年』は『男』になった。
『やりたいこと』よりも『やらなくちゃいけないこと』をやる男として生きてきた。
ただ、24歳の春。9年の歳月を経て。
この下に『少年に還った』と続きます。この絵もとても好きなのでぜひ実際に読んでみてください。ここまででも『なんだこの漫画面白そうだな』と思った人がいましたらもう俺のブログとかどうでもいいのでこの漫画を読んでください。今すぐにだ!!!!
さて。ではこのブログに訪れたみなさまにおかれましては上記のリンクから読んでいただいたかと思いますが無事戻ってきていただけたでしょうか?
一応言っておきますがこれをクリックしたからといって俺に何かあるわけではありません。はい。
それはともかく。
ついに若葉の手伝いをする事になった花壱。
手伝いの舞台は若葉の自宅。
初手家とかなかなかの展開ですよね。これ社会人漫画だし。もしかしたらあるかもしれん。
何がかはわかりませんが。
初めて訪れた若葉の自宅。チャイムを鳴らし迎えてくれた若葉。その仕事ぶりも有能だし玄関からも綺麗で、さすが若葉さん……。
玄関入って5秒でお宝
俺は心の腐った大人なので、いきなりこんな歓迎されては『これはもしかして……!!』という気持ちになってしまいそうなところです。
こういううっかり可愛いところが若葉の魅力なので大歓迎です。実は服装もパジャマのジャージだったのでとりあえずお着換えタイム。
どうやら完全に今起きたとこだったようです。お疲れさまです。
というわけでスーツで着た花壱に合わせて仕事着に着替えてきた若葉。
俺この単行本を読んで初めて気づいたんですけど若葉のスカートの柄がエロい。
仕事着でこんな感じの柄のスカートって珍しくない?
そして。ここから今からする作業についての説明。
まずはデジタル派の若葉から同じくデジタル作業用のタブレットをプレゼントされた花壱。
実は事前に2万円のペンタブを用意していたのですがこの善意をありがたく受け取る花壱。彼は空気が読める出来る男。
ここで今日やる作業の割り振りについてなどの説明を受ける花壱。
ここで、本当は描きたかった背景があるけどそれは時間がかかるしデジタル初めての花壱にそれをお願いするのも……。という事で今回は諦めたから気にしないで!
というような話をされます。これを聞いて、なるほど自分は『時短係』として呼ばれたのだなと自らの立ち位置を再認識する花壱。
ではこれから漫画を描きましょう。となりまして、自分の背景が浮いてしまわないようにメインである若葉の絵柄に寄せて描く花壱。
しかし、そんな絵を見て『私の絵を真似してるでしょう?』と突っ込む若葉。
そこから『私が好きな不動くんの絵』について語る若葉。なんだこの人可愛いの擬人化か。
そして。若葉がどうして花壱の絵に惹かれたのか。どうして花壱を選んだのかの話がありました。
若葉は昔から『綺麗に描かれたキャラと重い重厚感のある背景とのギャップで魅せる』というのを目指していたのですが、背景が上手く描けず今に至りました。
そこに、自分の理想とする絵を描いている人が現れた。
重くてカッコいい。そんな私が理想とする絵を不動くんが描いていたから……。
こんなもんお前。そんなもんお前。
俺が花壱ならこの辺でもうなんかアレな感じになる事間違いなしのシチュエーション。
しかし若葉の想いというのは当然そんな不純な事ではなく、自分の想う理想の絵を見つけたその嬉しさ。その嬉しさのあまり、デジタルが初めてであろう花壱のために水彩道具一式まで買って揃えていた気合の入りよう。
なんとなく、若葉はダメンズを育ててしまう匂いがする。
この扱いを受けて衝撃を受ける花壱。
この依頼を受けて、花壱は自分を『アシスタント』としていました。あくまでメインは若葉であって、自分はその手伝いであると。
しかし。
若葉はそう思ってはいなかった。
嬉しいですよねこれ。若葉の純粋さも良いです。こんなん男だったらこの気持ちに応えてみせないとウソだなと思いますね。
これを受けて本気モードのスイッチを入れる花壱。
『若葉のオマケ』ではなく自分の描きたいものを描く。
若葉が『時間も無いし難しいから』と諦めてしまった海の背景。それを描く決意をする花壱。
本気の自分の絵を描くために、9年ぶりに使うその画材。
そして、ここから始まる透明水彩を使って描く花壱の本気のシーンがめちゃくちゃカッコいいので、まだ読んでない人はぜひ読んでみてね!(ダイマ)
こんな長文で色々書いてきて今さらこんな事を言うのもなんですが、個人的には当たり前の事ですが作品そのものを読んでいただきたいわけです。俺のこんなブログの感想はとりあえずおいといて、まず最初にこの俺が好きな漫画に触れてほしい。
ここからの気合が入った花壱の本気のシーンも、ここで切り貼りした世界ではなく最初から通して読んでその想いの熱量を感じてほしいです。
さて。本気を出した花壱の描く絵の仕上がりやいかに!
そこから
ここまでで1巻の半分くらいです。
というかここまでで2話です。最近電子派なので紙の本を手に取る事もないのですが、この単行本は分厚いらしいです。そらそうよ。1話だけで60ページ近くあるので。
さて。ここからは2人で挑む原稿作業が描かれていきます。
今この漫画の感想で初めて俺のブログにやってきた人がほとんどかと思いますので説明しますと、このブログでは単行本の後半はざっくりしか説明しないという方針です。
理由は『このブログの記事だけで全て完結してしまうような事があってはその作品に対するリスペクトに欠ける』と考えるからです。
他の作品も全てですが、このブログを読んでその作品が世に広まるキッカケになればなと思って書いております。
で、なぜ今そんな話をするかというと、ここから先も心情的にはネットリ話をしたいなと思うくらい好きだからです。というかむしろここからです。
水彩の道具を使い海の背景を描く決意をする花壱。その作業に没頭します。
そして、そんな花壱の熱意に、本気に。集中に応えるように若葉もその作業に集中。
熱いシーンですよ。最初、ゆるふわな感じに見えた若葉もちゃんと真剣にやる時はやる。お互いふにゃふにゃしたりせず、ガチモードで漫画の作業に向かいます。花壱の正座が気になる。足が死んでしまう。
こうして2人がその胸の内に眠っていた熱意を全力で注いで描き上げた漫画。
1度は若葉が形にするのを諦めてしまった海の背景。そのシーンに込めた若葉の想い。それを汲み取り描いてくれた花壱の絵を見て涙する若葉。
一番嬉しい瞬間は。自分の作品で誰かの心を動かした瞬間だ。
そしてついに漫画が完成します。
漫画が完成する。それはつまりこの関係が終わる。2日間のアシスタントだったけど、とても楽しかったなぁ。
そんな気持ちで惜しみながらも帰ろうとする花壱を引き止める若葉。
今後も、私と一緒に漫画を描いてくれないかしら!?
それぞれの理由で、それぞれの夢を諦めていた大人の2人の心に灯った小さな火。
こうして、2人がこれから一緒に漫画を描いていく事になるのです。
そして。
2人が応募した漫画を審査するのは若葉が憧れている『薔薇園華子』先生。大ヒット漫画の原作者である彼女がふたりの漫画を読んだ感想は果たして。
2巻へ続く。
画像:「モノクロのふたり」コミックス1巻より引用
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