【感想】アンデッドアンラック 13巻 きっと生まれ変わったって同じ場所で。きっと君を見つけてあげるよ。
あらすじ
神の使徒シールと、不滅の否定者ルインを相手に苦戦するアンディ。そこに割って入ったリップだが、彼の目的はアンディからアークに乗る権利を奪う事だった!! その頃、組織(ユニオン)では裏切りが発生し本部壊滅の危機が迫り!?
bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は戸塚慶文さんです。
登場人物
アンディ:『不死』の否定者。風子を救うためにUMAゴーストとルインを追う。
リップ:『不治』の否定者。自らの夢を叶えるためにアンディの前に立ちふさがる
感想
大切なもの。望むもの。自らの欲しいものを手に入れるために自身の全てを賭けて男達が戦う!
はい!というわけで、今回紹介するのは『アンデッドアンラック』の13巻です!
これを書いている今は台風10号が猛威をふるっています。みなさんも命を守る行動をこころがけてくださいね。
男の戦い
ラグナロクに向けての準備が整ってきたユニオン。
すでにビリーが発見した心器である『イージス』と、それ以外に2つの心器『リベリオン』と『ジハード』を探すユニオンのメンバー。
全然この漫画とは関係ない話なんですけど、俺『リベリオンズ』っていうゲームが大好きなんですよね。それは2作目でして、1作目は『シークレットゲーム』っていう名前なんですけど。
やたらと色々な機種に移植されてて(PC PSP Switch スマホなど)かなり古いゲームなんですけど面白いので興味のある方はぜひプレイしてみてください。
さてそれはともかく。
前巻のラストでアンディの元へやってきたリップがアンディを助けます。これで2vs2になりました。
アンディ&リップvsシール&ルインの戦いの始まりです。
冒頭いきなり謎のゲームの紹介から書き始めましたが、アンデッドアンラックの中で好きな巻はどれか?と聞かれたら、この13巻がかなり上位に入ります。この辺りからの盛り上がりがめちゃくちゃ好きなんですよね。
あまりに悲しい、しかし熱い男達の戦いが始まっていきます。さらに、今後の展開の流れも考えるともう何度読んでもこみ上げてくる感情があります。
さて。
それでは2対2の戦いを始めようか……となった時に、謎の振動が発生します。それは恐らく世界を揺るがすほどの大きな振動が。
それを感じたルインはなぜか大笑い。
『まさかこんなに上手くいくとは!キミ達って人って本当に面白いね!』
意味不明な事を言い出すルイン。そこにムイちゃんから通信が入りました。
なんと、ラグナロクに向けて集めていたUMAが全てやられました。組織内での裏切りが原因です。
ビリーに続き他の誰かが裏切った。しかもこの土壇場で。
裏切ったのはニコでした。
もうねぇ。なんと言えばいいんでしょうか。このブログだけを読んで本編を読んでいない人なんているのかどうかわかりませんが、極力先のネタバレはしないとしても、もうこの辺について語りたい事は山ほどあります。
俺が何を言っているのかわからない人はもう俺のブログはここで終わりでいいので今すぐ単行本を買って先を読み進めていきましょう。
しかしこの漫画は奥の深い漫画ですので、今これを書いている2024年8月30日以降の展開次第によってはまた違った感想とかになったりするんでしょうか。
あれほど組織のために尽くしてきたはずのニコが、この土壇場で裏切った。一体なぜ?湧き上がる疑問です。
これに対して
こいつホンマ許さんからなボケが
死んだ女に会わせてあげただけで。お前ホンマ許さんからな。
前巻の11巻の後半でニコの前に訪れたゴーストが連れていた魂の女性。彼女の名前は『イチコ=ネムリ』といいます。
ニコの妻でありミコの母でもあるこの女性。この時点ですでに故人なのですが、彼女の魂と出会った事でニコは組織を裏切りました。
ニコがその胸の中にずっと抱えていた想い。ニコにとって、これまで尽くしてきたはずのユニオンと引き換えにしても惜しくない、それほどの大きな感情。
その正体がこの巻の後半で語られていく事になりますが、まずはそれはさておき。
ユニオン内に捕獲されていた大量のUMAがニコの裏切りにより壊滅。この事により、あと1か月あった猶予はなくなりもうラグナロクは目の前という事になりました。
なんでやねんホンマ。頑張ってクエストこなしたのに、理不尽な理由でラグナロクに突入させられるこの展開。神はマジでクソ。
ニコの裏切りを知り、さっそくユニオンの基地に向かうルイン。当然それを追うアンディでしたが、リップがこれを阻止。
リップの目的はルインではなくアンディでした。
目の前に迫るラグナロク。もうすぐ今回のループは終わりを迎える。だったら、次の話をしよう。誰がアークに乗るかを!
ここから語られるリップの過去。
リップとラトラがどうしてアークでのループにこだわるのか。2人が救いたい想いとは何か。
これまでにも少しずつ語られていましたが、ラトラには『ライラ』という双子の姉妹がいました。
彼女は幼い頃から心臓に病を抱えており、長くは生きられないという運命でした。
しかし。
そんなライラを治すと誓うリップ。幼馴染の少女を救うためにリップが選んだ道は医者になる事でした。
ライラは俺が治す。
そのために、その後の人生を医学に捧げたリップ。そして、ライラの姉であるラトラもまた、妹を治すために努力を始めます。
彼女が選んだ道は占いでした。占いというと微妙に怪しく感じますが、それは膨大な歴史と情報で紡がれた統計学。
方向性は違えど、リップとラトラの2人はライラを救うために全力を尽くします。
リップは国内最年少で医師に。ラトラは的中率100%の凄腕占い師に。それぞれが、ライラを救いたいというその気持ちを持って生きてきました。努力をしてきました。
ラトラが手術に最適な最高の日を占って、最高の腕を持つリップがその手術を行う。
きっと上手くいく。そんな明るい未来を語るリップ。リップを『ヒーローみたい』というライラ。
でも、そんなヒーローみたいなリップに私は釣り合わないよ。だから、私の事なんて忘れてお姉ちゃんと一緒に……。
そんな話をするライラに、リップはキスをします。
そしてリップはライラにプロポーズをします。
結婚しよう。全てが終わったら。
それを聞いて、涙するラトラ。切ないですね。その胸にどんな想いがあるのか。それはあえて語るまでもありません。
……あぁぁぁあぁ!!何回読んでもこの辺はグっとくるわ。泣ける。オッサンすぐ泣く。涙腺のパッキンはもうガバガバです。
しかし。そんな3人の気持ちを悲劇が襲います。
否定能力のせいで
治るはずだった。それなのになぜ。
リップの不治の能力により、切った場所からは出血が止まりません。また、ラトラの能力も目覚め占いも当たらなかった。
結果として言えば、リップとラトラのその能力によって大切なライラは死を迎える事になってしまったのです。
自分達の手によって失ってしまった大切な人を取り戻すために。もう1度、3人で幸せな人生をやり直すために。ユニオンが所持するというアークを奪い、それを使いライラを救いたい。
その為に生きてきたのに。強い想いがアンディを襲います。
どうやら、アークの正体はユニオンが使用している円卓のようです。そして、アークを使ってループするにはポイントが必要なようです。
これまでポイント数が1位であったジュイスが、アン風を未来に飛ばすためにポイントを失ったため現在一番ポイントを所持しているのはヴィクトルです。
つまり、アンディからポイントを奪いたい。そのためにリップはアンディに戦いを挑みます。
神殺し?ラグナロク?知ったこっちゃねーんだよ!!!
終わりに向かう世界。そんな世界の事などどうでもいい。全てを犠牲にしてでももう1度。3人のあの時を取り戻すために。
今は仲違いしている場合ではない。このままではラグナロクによって世界は滅びみんな死んでしまう。
そんなアンディの説得にもリップは応じません。
もしここで自分の気持ちを押し殺し世界が救えたとしても、そこにライラがいないのであればそんな世界に意味などない。
これまで何度もリップと対峙してきたアンディ。その経験のため、リップの不治の能力をよく理解してしまっているアンディはその攻撃を抜けるための抜け道を使う事が難しくなっています。
脳に攻撃を受け、再生も否定され絶体絶命のピンチになってしまうアンディでしたが、なんとその状況を脳を破壊する事で回避。
脳をいじり『不治の能力が理解出来ないレベルまで知能を下げる』という、不死ならではのとんでもパワープレイで切り抜けます。
これでもうリップにとって能力でのアドバンテージは無くなりました。単純なフィジカルや技術ではアンディにも勝てない。今度はリップが絶体絶命の状況です。
脳をいじり、理性らしきものを失ったアンディがリップへのトドメの一撃を放ったその瞬間。
そこにラトラが助けにきました。
リップを間一髪助けたラトラは、リップにビンタをします。
アンタはいつだってそう!いつだって勝手に決めて、いつだって1人で抱えて……。
いつだって私を巻き込んでくれない!!
もうこの時点で胸が詰まる悲しいシーンではあるんですが、今の俺にとってはもう少し意味のある場面です。
強くなるって足を切った時も、アンダーに入る時もオータムの時だって、いつも私を置いていこうとする。
アンタが好きな人の為に命を賭けていいのなら!!私だってアンタの為に、命ぐらい賭けさせてってば!!
ここで大切なのは、この心からのラトラの想いを伝える場面ですが『私だってアンタの為に』と言っているところ。アンタ達の為に。ではないです。アンタの為に。です。
これまでリップがラトラ、ライラの為に命を賭け続けてきたように。ラトラもまた、愛する男の為に命を賭けようとしているのです。
いつも、アンタは私を巻き込んでくれない。
リップだって良かれと思ってやっていたとは思うんですけどね。
この悲しき運命も、本人達が悪いわけではなくあくまでカスでクズの神が原因であるわけですから腹も立つわけで。
そして。
命を賭けたラトラの作戦。2人の想いは未来に届くのでしょうか。
次は仲間に入れてくれ
命を賭けたラトラの作戦。それによりリップ&ラトラはアンディに致命的なダメージを与える事に成功しました。
その様子を、脳内から見るアンディ。そこにヴィクトルがやってきました。
『負けてやるつもりか?』
このままここでアンディが心の底から負けを認めれば、ポイントはリップに移る。そうすればリップはループし、ライラは助かるだろう。
しかし、ここでアンディではなくヴィクトルに代われば不治の能力の対象外となりアンディは復活出来る。
アンディに、そこまでの正義があるのか?と問うヴィクトル。
方向性はどうであれ、2人の想いには『ライラを助けたい』という強い正義があります。今ここでこの2人を超えて行くという事は、それを超える強い正義を持っているのかどうか?という事。
もしそれが無いようであれば、代わる気はないとヴィクトル。
いよいよ滅びゆく世界。その崩壊の時、最後のその時を目の前に、それぞれの想いがぶつかり合います。
リップ達を超える強さの正義。それを問われたアンディの答えは。
俺もやつらと同じ。好きな奴の笑った顔が見たいんだ。
しかしこれがなかなか難儀な道です。風子の最高の笑顔のためには全員の笑顔が必要なのです。
敵だとか味方だとか関係なく。アンディだけじゃない。リップもラトラもまだ見ぬライラも。もちろんユニオンメンバー達も。全員。もれなく全員です。
そう。次週のループにて『全員救出してオール問題解決のトゥルーEND』が目標です。
風子をループさせての次週という事になれば、初見プレイで一番難易度の高いENDを目指すというかなりのハードモード。
しかもおそらく次回のループで最後となれば、たった1度のミスも許されません。
今もしここでリップを先に行かせたら。確かにライラを救うかもしれないがそこで終わる。また全員が滅びるラグナロクがやってきてそこで終わり。
そうならないために。自分達だけではない全てを救うために。
風子をアークに乗せ、ループする事を決意するアンディ。
そして、そのためには今回のループは捨てる必要がある。今目の前の想いを止め、必ず、絶対に次のループで助けてみせるから。
この世界の全ての運命を背負う覚悟がお前にあるのか?
ヴィクトルに問われるアンディ。
ああ。背負うぜ。そして全てを救う。そのためなら、俺は死神にでもなる。
こうして、今ある世界の全てを背負い、そしてそれを全て救うために覚悟を決めたアンディ。
その正義を見て、アンディへの協力を約束するヴィクトル。
一方。
死にゆくラトラにアンディを倒したと涙ながらに報告するリップ。これからアンディにポイント譲渡の宣言をさせ、リップがアークに乗る。
そして辿り着いた次の世界で、絶対にラトラを迎えに行くよ。
そう告げるリップの体のアーティファクトに触れ『次はこんな物騒な物がないリップに会いたいな……』と答えるラトラ。
その後ろには。
もう本当に俺はこの巻が大好きなんですよ。何度読んでも鳥肌が立ってしまう。
男が。心の底から惚れた女を幸せにしたいがために命を賭けて戦う。本当に悲しいが、しかしそれ故に心に響くんです。
どちらの気持ちもわかる。出来れば全部が幸せになってほしい。でも、それはもう今回の世界では無理なのです。これからの未来は変える事が出来たとしても、すでに起きた悲劇はもうどうにもならない。
必ず、次は助けてみせるから。
さて。ここで少しだけ話を脱線したい。
もし出来るのであれば、このシーンあたりでJanne Da Arcというバンドの『HEVEN』という曲を聴きながら読んで欲しいです。出来れば歌詞を読みながら。
歌のyoutubeの動画を置いておきます。そのポップな映像とメロディーに反して、こんなにもこの状況に合う歌は他にないと言いたい。
例えば君の手を取り 死ねるのなら 構わなくて 君がいれば優しい死神が来て 安らかに逝かせてくれると思うんだよ
もしアニメでここまで辿り着く事があればこの曲のアレンジをBGMにしてほしいと思ったりします。
さて。
世界の全てを救う決意を胸に秘め、今目の前にある想いを止めに来た優しい死神とリップとの戦いもいよいよ決着の時です。
傷ついたリップを、すでに倒れたラトラの横へ連れていき並べて寝かせるアンディ。
無理だよ。お前の考えてる事くらいわかる。
アカン。もう本当にこの辺は何回読んでも泣いてしまう。めちゃくちゃ切ないんですよ。すげぇいい奴なんですよねリップ。
確かに、この世界にはループというシステムがあって、メタ的な読み方をすればそういうシステムが存在する以上絶対に風子達が使うんですよ。そうでないと物語が成立しない。
でもですよ!そんな事十分にわかったうえで、それでもこの終わり方は悲しすぎる。
次回の世界があったとして。それがどういう世界かは今のリップにはわからない。でも、それでも。もし次があれば、今を覚えていなかったとしても必ず、絶対にリップ達はライラを治そうとする。
この、優しいが悲しすぎる物語の結末は、ぜひこんな切り取って紹介するブログの端的な部分ではなく単行本で読んでみてください。
果たして、次の世界でこの優しい2人……3人の世界は救われるのでしょうか?
それから
ここまでで13巻の半分くらいです。
いやぁ~マジでもうこの巻はヤバイ。涙腺が崩壊しまくります。だってめちゃくちゃ可哀想じゃないリップ。もう絶対ここまではアニメでやってほしいんですよね。これに声と動きが付いたら俺号泣する自信あるわ。
そして、ここまでがアニメ化されたなら、当然これからもアニメ化してほしい。この悲しい物語の本当の結末をぜひアニメで見てみたい。
しかし。しかしです。
この戦いだけでこの巻は終わらない。これから続く後半でも俺の中で好きなエピソードが始まります。
俺はこのブログを書いていくうえで単行本の全てを紹介はせず、後半は省略していくと決めています。なぜなら、このブログを読むだけで全てが完結してしまっては作品へのリスペクトに欠けるからです。
このブログを読んだうえで、本編を読みたくなるようなそういう記事を書く事を心がけています。
なのでここから先の展開は省略しながら説明するのですが可能であれば全編紹介したい。
というか、単行本買って読んでください。俺のブログとかどうでもいいので。
一応毎回記事の最後に購入リンクみたいなの貼り付けてますがそこから本を実際に買った人などどうせほとんどいないので、ご自身の好きな感じで買ってもらえばいいと思いますので、とにかくまだちゃんと読んだこと無いよって人はぜひ読んでほしい。
さて。
リップとの戦いが終わり、いよいよ戦いの舞台はユニオン本部へと移ります。そこで待っていたのはニコでした。
この戦いで語られる、ニコがユニオンを裏切った理由。そして、その能力が故の悲劇。
ここもホントにね。今の段階で言える事ってほとんどないんですけど、いずれまたこの感情を爆発させる舞台が登場するのを楽しみに待っていたい。この状況にたいするアンサーに辿り着いた時にはぜひ色々語りたい。
ニコがユニオンを裏切った理由。それは、ただ妻と会いたかったから。
妻であるイチコの死の直前に発動したニコの能力。それ以降、ニコは全てを忘れる事が出来なくなりました。
忘れる事が出来なくなったそれ以前の記憶が、ドンドンと潰されていく。それ以前の記憶がドンドン思い出せなくなっていく。
ニコの能力。それは『不忘』でした。
能力が発現したその時に見た、忘れられないもの。
もう1度愛する妻に会うために。ニコはアンディと戦うのです。
あぁぁぁぁぁ。もうホンマこの巻だけは泣ける。この先を知っているからこそ、こみ上げてくる感情があるわけなんですよ!!!!
俺ニコめっちゃ好きなんですよね。次のループの世界で、その想いが報われればいいのですが。
ニコの思い出がたくさん詰まった大切なラボで行われるアンディとの戦い。『アストラルドールズ』という名前の、能力者を模した人形達。
その人形達の本当の力を発動させるために必要だった物。魂。
今は亡き妻との『消えない思い出』を求めて、戦うニコ。果たして戦いの行方は。
14巻へ続く。
画像:「アンデッドアンラック」コミックス13巻より引用
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