【感想】アンデッドアンラック 9巻 囚われの風子と『好き』ってなに?そしてついに始まるスプリング戦!
あらすじ
ウィンター討伐と引き換えに身柄をアンダーに差し出した風子。アンダーは季節(シーズン)最後のUMAスプリング討伐に、ユニオンはスプリング討伐に加え風子奪還に動き出す。そんな中アンディ達に情報を伝えようと風子は…!?
bookwalker作品紹介より
というお話です。作者は戸塚慶文さんです。
登場人物
出雲風子:『不運』の否定者。UMAウィンターをビリーに討伐してもらう代わりにアンダーに自ら出向する。
アンディ:『不死』の否定者。アンダーに出向した風子の事が心配で仕方ない。この巻では大変珍しい喫煙シーンが描かれる。
感想
昔の人は言いました。会えない時間が愛育てるのさ。目をつむれば君がいる。
はい!というわけで、今回紹介するのは『アンデッドアンラック』の9巻です!
特に言う事もありません!(手抜き)この巻ではくるるちゃんというキャラが出てくるのですが、これを書いている今現在は本誌でくるる回なので、何か感慨深いものがあったりします。
と書いたところから結構間が開いてしまったので、くるる回はもすでに終わりました。頑張って書きます。
囚われの風子姫
前巻でアンダーの拠点へとやってきた風子。『囚われの』とか書きましたが、一応ここへ来たのは自主的。
アンダーの基地で安野が描いた『君伝』を読んでいるところから始まります9巻。敵地のど真ん中にあって余裕。
大好きだった漫画が、実はヒロインのモデルが自分だという事を知ったうえで読むというのはどういう気持ちなんでしょうかね。ゾワゾワしそう。
文字が小さくて見えませんが、このページでは
「触れたらバイ菌で病気になる?じゃあ俺と同じだな。俺もサッカーばっかりしてるからバイ菌だらけだぜ」
という安藤君(たぶん)なりの優しさ?の場面っぽいですが、これを聞いて胸キュンのシーン。
そうはならんやろ
このヒロインっぽい少女はおそらく風子がモデルなので、特徴としては『触れた相手がバイ菌で病気になる能力』という感じでしょうか。バトル物ではない……と思うのですが、宇宙サッカー編とかドぐされ高校乱闘編とかかなりトンチキな内容があるので、もしかすると触ると病気になる能力持ちでもおかしくありません。
あと『サッカーばっかりしてるからバイ菌だらけ』という発言も、なんか変な感じで燃えそう。
そして、これを読んでの風子の感想が
『思い返せばここら辺アンディまんまだなぁ』という事らしいです。
せやろか?
もうちょいアンディかっこいいと思うんだけども……。
まぁ、謎の大ヒット漫画君伝については色々思う事はありますがそこは本筋ではありません。
ラトラが全巻風子の所に持ってきてくれたようなのですがそれはどうやらリップの私物のようで。当然リップがモデルのキャラも登場するはずですがどんな感じなんでしょうかね。『天才ヤブ医者編』とかですかね。物語としてはかなり後半の方のはず。
そんな君伝の話はともかく。まず目の前の風子の目標は『スプリングを倒す事』なのですが、なんか倒す方法があるの?とラトラに詰められる風子。
今回のミッションではアンディと離れているので、風子1人でやらないといけない。しかも大きな不運をぶつけるにはスプリングの事を好きにならないといけない。そんな事できるの!?と。
俺ね。正直このスプリング編はあんまり好きじゃないんですよね。なんでかというと、いまいち意味がよくわからないんです。目的が。
大きな目線で見れば、ビリーが不運とユニオン全体の能力を出来るだけたくさん欲しかった。という事だとは思うんですが、それが明らかになるのはまだ少し先。
そんな事情を踏まえた上で、でもさらによくわからん。
『アンダーとユニオンが対立する』という事には一応は意味があります。そのボスであるビリーにヘイトが集まるようにするためです。
しかし、奪った風子が1人でスプリングと戦うというのはまったく意味がわからんのです。ビリー自身のポリシーにも反する行為だと思う。
風子を奪ったうえで、アンダーのみんなで協力してスプリングを倒せよ。なんで風子単体でいこうとするんだよ。
とまぁ、ちょっとモヤっとする俺の気持ちはさておき。
能力の進化。自分の凝り固まった思い込みをほぐす事が出来れば、きっとスプリングの事も好きになれて不運も届くんじゃないかなと思って。と語る風子。
相手を倒すために相手の事を好きになる必要がある。大いなる矛盾を抱えた辛い能力ですね。
そして風子はラトラに質問をします。
『ラトラさんは好きってなんだと思います?』と。
ラトラには少し厳しいタイプの質問ではありますが、どうですかね。『好き』ってなんですかね?
年をとって色々な経験をするほどこの『好き』が理解出来なくなっていきます。難しい。
そんな風子の質問に対して、ラトラは『リップは仲間。友達以上恋人未満』という関係との事。リップはラトラに気を使っているだけ。そして、そんな関係にラトラも甘えているだけだ。と。
個人的な意見としては、別にそれでもいいんじゃないかと思いますけどね。大人って言っても結局はただの年取った子供なので、1人で立つのがしんどい日もある。
そんな日に、寄りかかる先があるのであればそれは良い事だと思いますよ。都合のいい関係だったり依存と言えばそれはそうかもしれませんが、今の辛さをなんとなく乗り切っていけばいつかどこかしらのゴールにたどり着くわけですから、1人抱え込んで潰れるよりはよほどマシだと思います。
2人の間に肉体関係はあるのか?という事に関しては考えるだけ野暮なのかもしれませんが、俺としてはあってほしい。月1回くらい、なんとなくお互いがこれではダメだなと思いながらも心の穴を埋めるためのそういう関係があってほしい。
そんな微妙な地雷を踏んだ会話をした事で、アンニュイな感じになってしまうラトラ。そこにリップがやってきた事でこの会話は中断となります。
現れたリップに、ここがどこか教えてもらえませんかと頭を下げてみる風子でしたがこれは却下。
というより、そもそも現在地を知っても意味がない。なぜなら、今から移動するから。と言われ、なんとアンダーの基地を丸ごと食べるでかいシャチ。
どうやらアンダーはカインという名前の超でかいシャチのUMAを従えており、その腹の中で移動していくようです。
そして、スプリング戦の決行日は12月24日。そこまでに能力を進化させておけよ。というビリーからの伝言を伝えられます。
12月24日。クリスマスイブですね。だから何という事もないんですが。
さて。現状囚われの身の風子。しかも居場所が移動式で海の中ともなればこれ以上特に出来る事もありません。
まずは君伝でも読みながら今やるべき事を改めて整理。
- ビリーの真意の確認
- ユニオンとなんとか連絡してアジトの場所や作戦の日を伝える
- 能力の進化
以上の3点。
ビリーの真意は聞いても教えてくれなさそうなので、今出来そうなのは2番と3番でしょうか。
そんな事を考えながら君伝を読んでいると、頭の中で考えるのはアンディの事ばかり。
俺この漫画のこういうところが好きなんですよね。男女バディもので、相棒の事が好き。
昨今は、もちろん全てではないですがこういう男女の恋愛みたいな事をぼかそうとする事も多いと思うんですよね。具体例をあげるとそれすなわち開戦の合図となりますので避けますが、個人的にはこういうハッキリした好意の表現は大好物です。
この優しい表情。風子ちゃんの気持ちが伝わってきますね。
アンディの事を思い出してちょっとメソメソしてしまいましたが、荷物の中からクロちゃんが登場して風子の手助けをしてくれる事になりました。
まずの目標はなんとかしての外部との通信!
脱出作戦
一方その頃ユニオンは。
風子の事が心配なのか、なにやら大量の書類を目の前にして3日も寝てないらしいアンディ。寝てないくらいで死なないとは思いますが、死なないという事と脳の処理能力とはまた別の話だと思いますので、気持ちはわかるがちゃんと寝ないと頭の働き悪くなるよ。
そして、超貴重なアンディの喫煙シーンです。俺の知る限りではここだけじゃない?
アルコールを飲んだ場合はその能力の作用ですぐシラフに戻ってしまうそうですが、タバコはどうなんでしょうか?アルコールよりよっぽど健康に悪そうなのですぐ肺細胞が良い感じに戻るんですかね?気になるアンデッドの喫煙事情。
3日寝ないで風子からの通信を待ち続けるアンディと、いよいよ基地からの脱出というか通信を決行しようとする風子。
どうやらアンダーの基地を食べて移動しているUMAのカインは1日に1回呼吸のために浮上する必要があるらしく、その時が外部との通信のチャンスとの事。
UMAなのに呼吸が必要なんですね。いやそらそうやろという気もしますが、なんでわざわざ海の中に住む哺乳類の不便な点まで採用するんだよという気もします。
シャチ型のUMAなのか『UMA シャチ』なのかよくわかりませんね。カインを倒すとこの世からシャチが消えるのだろうか。
それはともかく。
カインの浮上のタイミングに合わせて外に出る。と簡単に言ってみても、その道中にはどうやら見張りがいるようでそこを抜けなければなりません。
風子1人で気の利いた案も思いつきませんから脳筋正面突破です。
見張り1人目はvsラトラ。
これを瞬殺。
こうして考えてみると、風子の『不運』の威力は『風子の好感度依存』なので、対策のしようがないですね。風子がこちらを好きでいる限りは高威力の攻撃が飛んでくる可能性が高いわけで、かなり厄介な能力です。
続いての見張りはvsくるる。
ここでほぼ初登場(顔合わせで登場してた)のくるるです。その能力は『不貞』です。
俺は寝取られ好きの脳が破壊された異常者なので、なかなかわくわくする能力ですね。
あまり情報の無い初見の能力者相手の難しい場面。まず相手に先手を取られてしまいます。
アリと戦ったどこかの会長のようなポーズ
先手取られてその能力の発動をまともに食らったので、風子は死んでいてもおかしくないですが今回はくるるの能力は不発。
不貞の能力は
- 特定のポーズをする事で発動。見た者を虜にするが自分に襲い掛かってくる
- 回避手段は『恋を知らないこと』と『どんな時にも揺るがないほど愛する人がいる事』
という事で、風子はアンディが好きなのでこの能力を回避しました。
おいおいおいおい!どういう事だよ!『不貞』の能力なんだから、むしろ『好きの想いが強ければ強いほどその効果は増す』でないとおかしいだろうよ!本気の好きには効かないとか否定能力もずいぶんぬるい事言ってんなぁ!!!
あぁ!あの人の事がこんなにも好きなのにどうしてっ……!ってならないと、薄い本が厚くならないだろうが!!
と脳を破壊された異常者目線では思うわけですが。この漫画はそういう話ではありません。
初能力が不発であっさり倒されたくるるですが、その活躍はもう少し先の話となります。まぁ、活躍したかと言われると賛否あると思うのですが、とにかくメイン回はもう少し先。
こうして2人の見張りを撃破し、その後カインの呼吸の穴?のような場所から外に出る事に成功。
ここでアンディに通信を送り、作戦の決行日と今の居場所を伝える事にも成功します。
アンディからの返信により
- スプリングは人を花に変える
- 変わる条件は『舞っている花びらに触れる事』
という事を教えてもらう風子。さらに、アンダー側にいる否定者である『友才』と仲良くなって助けてもらえ!という事でした。
どうやらその友才はアンディの元カノ(みたいなもん)らしいです。
そして、そこまでのやりとりでビリーに見つかり通信は切断。
風子の能力を奪えないので使うしかないから、自らでスプリングを討伐してもらう。というビリーと、じゃあそこで奪い返してやるよと宣戦布告するアンディ。という形で今回は終わりました。
『最高だ』ではなく『上等だ』と返すブチキレアンディかっこいい。
奪還作戦
そして。
12月24日にアンダーとぶつかるという事。今回の相手は強敵揃いなので自分1人では風子の元へは辿り着けないという事。
そのうえで、ユニオンのメンバーに頭を下げるアンディ。
お前らの命を貸してくれ
このアンディの漢気お願いにタチアナが激怒。
『不死じゃなくても友達のためなら命くらい賭けられるわよ!!』と。覚悟ガン決まり集団怖い。
ここで少し考えたいのが、アンディは不死なので『命を賭ける』という事は出来ません。そこからの過程がどうであれ、必ず生き残ってしまうし長い生の中でそれを心底感じているはずです。
なので、タチアナが言う『命を賭ける』というその言葉はアンディにとっては重いですね。本人の意志がどうであれ、アンディの『命を賭ける』は必ずウソになるので。そう思うと、残機0なのに自らの命を賭ける事が出来るタチアナの意志は尊いわけです。
というわけで、結束も新たにvsスプリング戦への準備が始まりました。
スプリング戦に向けて自らを鍛える者。そして、作戦を練る者。
アンディとジュイスの会話が描かれます。
アンダーのメンバーとの能力の相性や戦力差で悩むアンディ。ユニオンのメンバーは経験も浅く若い。チカラなんかちょっと前まで普通の学生でしたからね。今回の敵は強敵です。
もしかすると死人が出るかもしれない。
いかにして被害を出さないようにするかを考えるアンディに対して。
ヴィクトルも同じような考えだった
不死であるが故の『俺は死んでもいいけどお前達はダメ』という感覚。『肝心な時ほどアイツは臆病だった』と語るジュイス。
どうですかね。もし自分が不死だったら。これまで何度もループを経験し、親しい者達の死を見続けていく人生。愛する者、大切な者の為に自らの存在全てを賭けそして散っていく命達。
それらを何度も何度も何度も何度も目の前で見てきて、想う事とはなんでしょうか。
俺なら、きっと『寂しい』と感じると思います。どれだけ表面上は大切なフリをしてみても、心の奥底では深い溝がありますよね。だって自分は絶対に死なないから。命がけのゲームに強制参加させられているようで、実質自分は蚊帳の外です。
しかも、広い広い世界で唯一自分だけが。です。こんな寂しくて悲しい事はないですね。
しかし、この会話では少し特殊で、アンディはもちろん死んだ事はありませんが会話相手のジュイスも死んだ事がありません。これはなかなか凄いですね。不死という特性の付与無しでこれまでの100回のループにてノーデスです。そんな事が可能なのか。
そういう意味では、本当の意味での『命がけ』を知らないこの世でたった2人の会話というわけで、その心中は俺達には理解出来ないですね。
悩むアンディに対して『1人で抱え込むな』という感じのアドバイスをするジュイス。みんながいれば不可能などない。風子とアンディが2人で様々な困難を乗り越え、それに呼応して他の者達も成長していった。
キミが風子を助けたいのと同じように、我々も風子を……いや、キミの力になりたいと思っている。
信じてくれ。私が出会えた最高のメンバーを。
と。
そんなジュイスに対して。
頭部に刺さったカードから流れ出る血。この言葉は、アンディからの言葉でありまたヴィクトルからの言葉でもあります。
いいとこだなここは。
常人には理解出来ないほど途方もない年月を共にしてきた2人。ただ一言で『好き』と言い表すにはあまりに長いその年月。
アンディのその言葉を聞いて、薄く微笑むジュイス。アン風も好きですが、ヴィクジュイも実って欲しいなと思いますね。
それから
ここまでで9巻の半分くらいです。
ここからは、ついにスプリング戦が始まります。
この辺が、いまいちよくわからんところではあります。
小さい目標の話で言えば『風子を奪還しにきたユニオンvsそれを死守しようとするアンダー』という構図であり、それは納得出来るんですが。
大きな目標の話として『わざわざ否定者同士で殺し合いをしてその頭数を減らす』という事の意味がよくわからんのです。『神殺し』が一応は勝利条件ではないのか?と。
そして、仮にユニオンが勝って風子を取り戻した場合スプリングはどうするのか。もちろん倒すという事になると思うわけですが、だったらアンダーとやる事一緒じゃないかと。
それならいっそみんなでスプリング倒せばいいじゃん。そっからまた改めて平和に喧嘩すりゃいいじゃん。と思うわけです。
30分という時間制限付き(それ以降は能力の射程内の人物は全て桜になってしまう)という状況で、両陣営共にこの場での最終目標は『スプリングを倒す』なのに、なんでわざわざ殺し合いをするのかと。
チカラを助けに行った時みたいな野良での奪い合いなら戦うのもわかるんですけどね。
まぁそういう俺の気持ちはともかく。
風子を助けに来たユニオンvsそれを死守しようとするアンダーの戦いが始まります。
まずはチカラ&トップvsクリード。
『不減』の能力で弾数無限のまさしくチート能力で武装しているクリードと『不動』と『不停止』のコンビの対決です。
コンビの組み合わせとしてはなかなか面白いですよね。止める者と止まらない者のコンビです。
気合を入れて男を見せるチカラと、明らかになるトップの過去。
激戦の行方はいかに。
もの凄いスピードで加速するトップを急停止させた時、その運動エネルギーはどこへ行ってしまうのかトップはスーツの中でハンバーグになってしまうのではないのか?と思って読んでましたが、単行本のオマケでそのエネルギーを相殺する機能がスーツにはあるという事が明らかになって安心。ユニオンの超絶科学力。
双方命がけの戦いはどうなるのか!
10巻へ続く。
画像:「アンデッドアンラック」コミックス9巻より引用
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